墨汁日記

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金の首輪

2005-05-22 21:41:58 | ペット
 夕方の六時過ぎ、西国立の駅においてきたままにしてある自転車を取りにでかけた。
 昨日は自転車で西国立駅まで行き、帰りはタクシーで帰宅したので自転車は西国立の駅前の駐輪場においたままだ。
 明日の朝に自転車がないと不便だ。しかし六時過ぎまで出かける気になれず、日も暮れかかる頃になってやっと家をでる。

 くもってはいるが、雲の隙間から太陽がのぞいて西の空だけ夕焼け空。おもてに出ると小雨がふりはじめてきた。変な天気だ。

 西国立への道すがら、昨日の夜の事を思い出してみる。

 昨夜は「お食事会」が終了の後、知り合いの社長さんに誘われて、国分寺のキャバクラに行った。
 もちろん、キャバクラは社長のおごりだ。彼はすごく気前がいい。

 社長は1968年生まれの36才。
 現在35才の俺の一つ上で、ほぼ同級生と言ってもおかしくないだろう。
 俺が、若い頃に見切りをつけ辞めてしまった職業で社長は成功をおさめた。
 社長につきそうのは俺を含めて3人。みんな社長のおごりだ。

 社長は金持ち。
 俺がかって勤めていた職業で、俺と社長のスタートラインはそんなに変わらなかったはずだ。しかし、現在の俺は貧乏なフリーター。社長は金持ちな社長。
 若い頃の社長は映画を撮りたかったそうだ。
 しかし、そんな夢にはとっとと見切りをつけて社長まで登りつめた。
 かたや、俺は下らない漫画家への夢に見切りをつけたのはつい最近。いつまでも、下っ端のペーペーだ。
 下手に、俺には漫画の才能があったのがいけなかったという事にしておこう。

 社長のおごりだ。社長に気をつかいつつ、楽しくはしゃぐ。
 となりに座った女の子に「今日のボスは彼だから、熱いネッ視線を送って下さいネ!」とか言いながら、女の子のケツに手をのばし「さわらないで!」と叱られながらも彼女を口説く。
 いつから、俺はこんなキャラになったんだ。

 水割りを飲みながら、俺の頭に「カネの首輪」という言葉が浮かぶ。
 今の俺は社長のカネにくくられた哀れな飼い犬だ。

 二時過ぎに飲みはおひらき。社長に三千円もらってタクシーで立川に帰る。
 どうせ、貰った金だ。スキンヘッドの運ちゃんに「ツリはいいから。」と全部くれてしまう。後で領収書を見たら彼は260円もうけた事になっていた。

 かなり酔っぱらっている。
 立川に戻ると気が大きくなり、ラーメンを食って風俗に行き散財する。

 風俗店でもなぜか出稼ぎの中国娘を中華風に口説く。
 
 そして、自分がカネでくくったメスイヌを前にしながら、頭の片隅でさっきの俺と彼女がどれだけ違うのかと考える。

 それだけでない。
 毎日。時給という「カネの首輪」をつけて働いている俺と今の彼女とどこがどれだけ違うのか。
 パン屋は肉体労働で、俺は労働力を売っている。彼女はまんまの肉体を売っている。
 それだけの違いだ。 


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