墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

今夜ももう一人の俺

2005-07-20 20:07:38 | 妄想
 俺はもう一人の俺。今夜も俺が作文した。
 で、本人である元祖の俺はねそべり酒飲みながら、日曜に買ってきたマンガ雑誌読みつつチンゲをグワシとかきむしっている。

「んー。ドシドシご応募下さいってイヤくない?」

 俺は作文で忙しいんだ!下らない質問は却下だ。

「ドシドシ嫌いなんだよねー。なんでみんなしてドシドシ?」

 俺は何も答えない。答える気もない。
 元祖俺は、ねそべったまま背を向けると、今度は尻をボリボリ掻きだした。


作文

2005-07-19 19:44:23 | 妄想
 みなさんコンバンワ。俺はもう一人の俺です。

 実は今日の作文は全部、もう一人の俺である俺が書きました。
 では、元祖俺、本人は何をしているかと言うと、酒を飲みながら俺の背後で正座しています。


2005年度愛の似合わない言葉大賞発表

2005-07-13 23:40:52 | 妄想
「確かに言葉の頭に、愛をつけるとなんとなくおさまってまとまっちまうな」

「そう。一見、愛とは無関係と思われる言葉ですら、頭に愛をつける事で、とたんに愛の言葉にはやがわりしてしまう。例えば一方通行」

「愛の一方通行」

「順路記号」

「愛の順路記号」

「東京特許許可局!」

「愛の東京特許許可局!」

「な。なんとなく、どの言葉もそこはかとなく愛の気配をただよわせじめはしないか?」

「あぁ。無味乾燥な言葉が、とたんに愛の駆け引きを思わせるアンニュイな言葉に変換されちまうな。なんとなく意味深でムラムラしてくる。抜いていいかい?」

「駄目だよ。でも、そんな状況を打破し、徹底的に愛が似合わない言葉を見つけ出して表彰しちまおうてのが愛の似合わない言葉選考委員会の任務なのだ!意図としては聞く者にありえねーという違和感を与えられれば大成功だ」

「難しいな。人名と地名はまず無理だろう。あのフセインすら、愛のフセインとすると何となく艶やかな響きを持つもんな。愛の江頭24時はどうだ?」

「江頭2:50だろ。警視庁24時じゃないんだから」

「愛の警視庁24時」

「駄目だよ!もっと軽やかに飛躍しないと、愛が似合わない言葉は見つからないよ!」

「愛のウマから落ちて落馬して。
 愛のカッパの川流れ
 愛の二階から目薬
 愛の夜に口笛ふくと蛇が来る」

「ことわざや格言や重文は、反則だっての!」

「愛のネコのひたい」

「あぁ。それはなんでってかんじだよね。いちおう選考に入れよう。でももう一歩インパクトにかけるな」

「愛のセカンドインパクト
 愛のセカンドチルドレン
 愛のセコンド
 愛のテコンドー
 愛の文明堂
 愛の堂々巡り」

「うーん。いまいち。どれもふつーに愛を受け入れちゃってるよ」

「愛を絶対に受け入れないもの。そこに答えがあるんだな?」

「あるかもしれんねー」

「愛の別れ話。愛の破談。愛の成田離婚。愛の離縁状。愛の避妊。愛の中絶。愛の明るい家族計画。愛の親の決めた結婚相手。愛の集団見合い。愛の合コン。駄目だ!どれも真実の愛からほど遠いような気もするのに、すんなりと愛を受け入れちまう」

「ムズイだろ。でも必ず答えはあるはずなんだ」

「愛の反対語ってなんだ?」

「反対語はないだろ」

「愛の賛成の反対。愛の解体。愛の一向一揆。愛のフランス革命。愛のオスカル」

「全ての愛を忘れて、無我に走るとそこに答えがあるかもしれん」

「愛の無意識。愛の無我夢中。愛の五里霧中。愛の日進月歩。愛の座禅。愛の便所掃除。愛の無神論」

「だめだね。ぜんぜんでてこないじゃん。君って以外と期待はずれってゆーか。ま、君は本来こんなもんだしね」

「クソ、待てよ!待ってくれ。きっとある。愛が確実に似合わない言葉が」

「どんな?」

「形容詞だろうな。愛という概念と造反する形容詞」

「で、どんなだ?」

「プチとか極小かな。愛は広くわけへだてなくだもんだ。だから、さっきの愛のネコのひたいが変に響くんだ。しかし、範囲をくわしく狭く固定すると愛も固定すんな。愛の1ミリ。愛の四畳半。愛の押し入れ。愛の三角コーナー」

「愛は早くもあり遅くもあるからな。時間系の形容詞も駄目だろ」

「愛の手抜き」

「愛の手抜きじゃ、ありえるだろ」

「愛の手抜き工事!
 で、どうだっ!」

「おっ!いいじゃん。もう今夜はこのへんだな。愛情こめて工事したのなら手抜きはありえないでしょって、ツッコミを聞く者にさそうもんな。じゃあ、今年度の愛が似合わない言葉大賞はソレでいくか」

「待て!まだ身近でためしてない言葉が」

「なに?」

「愛の内山憲久」

 二人同時に叫ぶ。

「ありえねー!」

 内山憲久に愛は似合わない。


愛の似合わない言葉選考委員会

2005-07-12 19:27:42 | 妄想
「よう!」

「おう。今夜は早いな」

「君が早くから飲み過ぎなんだよ。そんなで、今夜は愛が似合わない言葉選考委員会を開催します!」

「なにそれ?」

「いや。愛って意外になんにでもあうんだよね。なんでもいーから今思いついた言葉を口にしてみ」

「ムシキング」

「愛のムシキング!次に思いついた事を言う!」

「イカの金玉」

「愛のイカの金玉」

「なんだそれ」

「愛に国境はなく。愛はわけへだてない。頭に愛をつけてもほぼだいたいの言葉は違和感なく聞こえる!だが。俺らは大人だ!あえて愛の違和感をほじくりだしてみようでないか。それが愛の似合わない言葉選考委員会の役割なのだ」

「え?例えばどんな?」

「愛の俺!」

「あいのおれ?なにそれ意味がわからん」

「だろ。それが俺らの今夜の任務なのだ!愛をつけたら似合わない言葉を探し出すのだ。思いっきり愛が不自然で不似合いな言葉を見つけ出し聞く者にありえねーと言わせるほどの愛が不釣り合いの言葉を!」

「愛のアイアイ。おさーるさんだよー」

「うくっ。確かにいっしゅん受けるけど、それは駄目!選考に選ばれない」

「なんで?」

「たんなる言葉遊びだよ!もっと真実にありえねーと言わせなきゃ。とりあえず身近な言葉に愛のをつけてみな」

「愛のブルドック中膿ソース。愛のマウス。愛の黒ラベル。愛の扇風機。あれ。なんか、それなりに愛のをつけるとまとまっちまうな」

「そう!ソレだよ!愛のをつけるとたいがいはこじんまりとまとまるんだよ!試しに過激な言葉と愛をつなげてみ!」

「愛の強姦。愛のセンズリ。愛の露出狂。愛の強盗殺人。愛の乞食。愛の奴隷。あぁっ!なんとなく言葉として完成されてしまう!」

「そう。だからこそ。俺らの出番だ。愛が徹底的に似合わないうえにありえねーとうならしちまう言葉を見つけ出して喜んじまおうと言うのが今夜の主旨だ」

「愛の愛の。愛のあたし。愛のわたし。愛の僕。愛の君。愛のあなた。愛のかなたの山とおく幸い住むと人は言う。愛の旅人。愛の用心棒。愛の渡世人。愛のフーテンの寅さん。愛の犬。愛のアイヌ。なんてこった。俺のボギャブラリーの全てが愛のをつけるとこじんまりと小さくまとまりやがるぜ!」

「それだよ。ソレを打破した上にありえねー言葉。ソイツを発見せねばならない」

「最初の例えが愛の俺か。愛のおいどん。愛のわらわ。愛のそれがし。愛の拙者」

「あ。愛の拙者はいいね。選考にのぼらしとくか。」

「ソレ以外だと、愛のパン屋。愛の新聞配達。愛の休み。愛の日曜日。愛の愛。駄目だ、もっとヒントをくれ」

「愛のショッカー」

「愛のショッカー!なんでやねん!あー。これかー。これがありえねーって叫びか。ショッカーだからいいんだよな。これが他の悪の組織だとまたおもむきが違う。以外に難しいな。愛のデビルマン。愛のど根性ガエル。愛の星一徹」

「まー。ゆっくり考えれば」
 もう一人の俺はそう言って笑った。


記憶

2005-07-12 02:28:44 | 妄想
 今夜も酒を飲みながらコンピュータで作文する。
 現在完了で、黒ラベルを1本にドラフトワンを3本。現在進行でカクテルパートーナーのソルティドッグ。
 そろそろ、指がもつれキーボードのキーを満足に押せなくなってきた。一度に近所のキーを2、3個いっぺんに押してしまうので、oleと打込んでも、お;、れtpとなり。変換すら出来ない。
 ちなみにMacのことえりでは「俺」は「ole」で「おれ」となる。いいでしょ?
 てゆーか。すでにことえりに身も心も慣れきっちまってるんで「ore」で「おれ」だと「俺」な気がしない。

 なんて事をのんきにのほほんと書いていると、久しぶりに奴が後ろで正座している。そう。もう一人の俺だ。
 奴の気配に気づきながらも、そしらぬふりしてモニターの黒い部分で奴の動きを観察してみる。あっ!今夜は3人いる!
 まぁ、13人いるよりはましか。
 酔ってるので、目の錯覚かともう一度モニターを覗き込むが、たしかに俺が3人いて正座している。
 3人の俺は、俺の背後でなにやらごにょごにょ相談している。どうやらネタあわせの真っ最中のようだ。今夜はナニを披露してくれるんだが。俺は俺の隠し芸なんか見たくもないし、見る気もない。

「せーの!」

 真ん中の俺が小声でかけ声をかける。隠し芸を阻止するには今がチャンスだ。隠し芸なら永遠に隠し続けるが良い!振り向き様に俺は叫ぶ。

「ゴォラァ!ネタなら寝てからやれ!!」

 ビクッとして背後の3人は、開きかけた口を閉じる。

「ネタはいらん。ネタならやらんでよろしい。だいたい、きのうおとといと二日もあらわれなかったくせに、なんで今夜は3人もいるんだ?」

「なんかお前と、本人格と分離出来なくてさ。」

「ふーん。いいじゃん。いいことだよ。」

「そんな事より、せっかく俺がこんなにいるのに。とっときのネタがあるんだよ。やらせてくんないかな?」

「おめー観察者なんだろ。自分がネタ披露してどうすんだよ。じゃなくて見る事に徹底しろよ。」

 そう言うと、もう一人の俺はさびしそう。
 こいつはずっと見てきただけだもんな。やはり、具現化出来た以上は自己表現したいんだ。でも、俺は突き放す。俺は俺の芸など見たくない。

「で。なんで今夜は3人なんだ?」

「あー。俺はもう一人の俺で観察者。でも、酔って分離する人格は別に一つだけじゃない。」
 もう一人の俺は、左側にいるもう一人の俺を紹介する。
「こいつは、もうもう一人の俺。本性は理性。こいつがいないと道行く女の子に抱きついたりする。」
 今度は右側で正座している俺を紹介する。
「こいつは、もうもうもう一人の俺。本性は記憶。」
 もう一人の俺がにやりと笑う。
 あー。どうりで、さっきからなにもかも忘れてチンチンさすりながら作文してたはずだ。

 もうもうもう一人の俺と、もうもう一人の俺が、同時に立ち上がる。

「じゃ。電車なくなるとヤバいんで俺たちはこのへんで。」

 二人は部屋から出て、玄関を開けてどこかへ行ってしまった。

「おい!あいつら何処に行ったんだ?」

「なんでも、記憶の奴。せっかく分離できたんで記憶の確認の為に俺が生まれた家に行きたいんだってさ。理性はそのつきそい。あいつら仲いーんだ。」

「今から。神奈川まで行って明日の朝までに帰って来れんのか?」

「酔いさえ覚めりゃ、一瞬で合体できるよ。酔いさえ覚めればね。」

「ウワッ!なんで今日にかぎってこんなにも俺の人格は分離する。明日の朝までに二人が帰ってこなけりゃ、俺は、なにもかも忘れた上に、飢えたオオカミで仕事するはめになる!」

「ま。生理と一緒だよ。今夜は精神的排卵日だと思ってあきらめな。じゃ。俺もこれで。」

「どこへ行く?」

「浅草でストリップでも見学してくる。じゃあねぇえん。」

 全ての俺がどこかにいってしまった。
 まったくのまるはだかな俺が一人ポツンとあぐらをかいている。
 一人はさびしい。