満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

乙嫁語り1.2巻 作:森薫

2010-11-04 | 漫画紹介


19世紀のカスピ海周辺での物語り。
多分、アジアの東端かな? 衣装を見るとイスラム系とは違う雰囲気があるので
○○スタンとか…トルコ系民族ではあるまいか? っと思って読んでいた(笑)

それにしても作者の森薫さんには頭が下がる。
彼女の作品「エマ」を読んで、大変丁寧に作品を仕上げる方だな~とは思っていたが
今回の「乙嫁語り」はエマを遥かに超えた細かさではないかと思う

この物語に登場する民族は常日頃から、とても手の込んだ刺繍が施された衣装を着ている
それらの衣装は全て、女たちの作品である。

それぞれの家には、女達から女達へと脈々と伝わる伝統模様が数十種類以上あり
その家に生まれた娘や、嫁として嫁いで来た者は、それらの模様一つ一つを覚える。
また自分でも模様を創作して後世の者にも伝えていくのだ。

布を選び、糸を選び、一針、一針に思いを込めて縫いあげる。
「どうか健康で過ごすことが出来ますように」「狩りの腕があがりますように」
そうした複雑で、とても素晴らしい刺繍の作品を
森薫さんは、読者である我々の「健康」や「長寿」をも祈るように
一針一針を手描きで仕上げているのである。

とても、ザっと見てページをめくることなんぞ出来ない(笑)

今回のお話しは主人公である20歳の「アミル」が山を越え
遠い町へお嫁に来た所から始まる
彼女の部族は、まだ古い因習を残し遊牧の民として生きている。
ところがアミルの嫁ぎ先は、新しき生活を取り入れ定住した生活を送っている

私は、こういう話にとても興味を持っている。

孤高で誇り高き彼らが、
家畜を第一と考え遊牧しながら移動する生活を捨て、村で暮らすのには
それなりの覚悟と思いがあったのだろうと考えている
生活面でも安定というプラスの部分と
伝統や自由といった物を失いかけないマイナスな部分もあるのではないかと思う
それらにどう折り合いをつけながら生活していたのか?ここに非常に興味があった。

このような新しい文化との融合を「乙嫁語り」はとても上手く表現している

アミルの実家は、個人や家を主体としている。生活の土台となる遊牧地への執着も強い
女に対しても羊以下として扱う風習が根強く残っていて
力強く、逞しく、無駄口を効かず、良く働く女は、婚姻による戦略的な道具として扱う

それに比べアミルが嫁いだ村での生活は、ある意味共同体である。
皆で井戸やパンを焼く場所などを共有している。
他の家族の動向に目を向け、色々な情報が手に入り、外国からの客人も居る。
敵とみなせば同じ窯のメシを食った仲間のように、全員で一致団結し対処する。
ただし遊牧の民と違い、子供たちは弓を引くことなどはしない。

どちらも生活様式の違いはあるが、女が結婚相手を選べないという部分では一致している
アミルは20歳というこの民族としては高い年齢で嫁として来たが
嫁いだ先の夫は8歳も年下のまだ12歳の子供であった(笑)

でもこの初々しい新郎新婦の関係がとてもいいのだ。

どう良いのかは、皆さんご自分の目で確かめて欲しい(笑)
それほど良い作品だと、私は思う。

この「乙嫁語り」。一人一人の人間に様々な物語があるように
これから色々な新婦の物語が展開していくのではないだろうか?
どのように話が広がり、どのように話が終わるのか…
彼女たちが作る刺繍のように、話が紡がれ、色をなし、どこかで交わるのかと考えると
今からとても楽しみである

ところで、前にも述べたが私も夫とは出会って3ヶ月で結婚した
しかも総合5日程度しかお互いの顔を見ていない
あとの時間は電話と手紙で語りあっていた(ハハハハハ)
最初の数回はお互いに顔すら覚えておらず、待ち合わせの場所で困ったくらいである

遠く離れた地で暮らす11歳も歳の離れた、都合5日しか出会っていない男と
よくぞ結婚したな~っと今でも思う(笑)
でも、あの時、思い切って踏み切った自分の英断に、心から拍手を送りたい
人との出会いに時間は関係ないのかもしれん。
出会ったその瞬間に全ては見えているのだ。
それさえシッカリと見極めることが出来れば、自然がことを運ぶ(笑)

そんな風に平然と思う私にも…
遊牧民の血が流れておるのかもしれん(ハハハハハ)

しかし…今回は11歳年上の夫を選らんだが…次回は…8歳年下ってのも…
エエの~~~~~(ブワハハハハハ)

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18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
大好きだ~♪ (でぃ~れいく)
2010-11-05 11:10:57
前作の「エマ」も良かったんだけどこの「乙嫁語り」は更に良いよ♪
私もこういう中央アジア系、好きだ~!
(神坂智子さんの「シルクロードシリーズ」なんかも良かった)
このマンガ、ホント読み飛ばす所がない!
緻密な刺繍なんかもそれは丁寧に描かれている、これぞマンガの醍醐味!
小説のような文字だけ媒体では表現しきれない所をそれは見事に描いてくれてますね♪
2巻の刺繍について描かれた話で、不器用な嫁もいた事に少し安心した(爆)

あ、この記事トラバさせてください♪
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良質な作品 (まりんか)
2010-11-05 13:34:20
満天さんのブログで紹介されている漫画は、
どれも良質で大人の鑑賞に堪えうる
素敵なものばかり

どうやって探すのでしょう?

私も漫画を読んで育った人間で、
漫画大好きなのですが、
最近の作品は疎いのです~。

少女漫画は、さすがにもう読めないけど、
それ以前にもう興味がなくなったかなと思って自分の年を感じてしまいました~。
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ふむふむ。 (木家マス)
2010-11-05 13:40:25
満天しゃんはご主人と出会って3ヶ月で結婚したんだすか?
しかも総合5日程度しかお互いの顔を見ていないとは・・・。

ということは一目惚れか、心で繋がって好きになったのどっちかですよね!

すばらしい結婚じゃ~ないだすか!!

恨めしい、いや、うらやましい。

えっ、僕っすか?

結婚なんて・・・・ノルマ達成したみたいな・・感じです・・・。    


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Unknown (ちか)
2010-11-05 14:33:24
日本は国土の問題から遊牧民と言うのは非常に少ないと思う。
やはり古来から稲作による定住民族だろう。
そう思うと、日本人のDNAが田んぼ、つまり土地であるのに対して、遊牧民では家畜とそれを守る家族とも言えるか?

中央アジアやヨーロッパ、アフリカなどに古くからいた遊牧の民、しかし年月と共に定住に変わっていくのは自然の流れなのかもしれない。
アミルさんが、その流れの中でどうやって自分の場所を見つけていくのか楽しみです。

今度…ちょっと立ち読みしてみよう…笑

そうそう、20代の頃は、憧れの人は皆20歳以上は年上ばかりだった。
若いあんちゃんなどに魅力を感じなかった…のに…
最近「あら素敵!」と思う人は皆年下…
まあ、今20歳年上だと…もう完全に爺ちゃんだからなあ…笑
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刺繍が素敵 (ueharatomoe)
2010-11-05 21:42:57
「聖☆おにいさん」に、続きまして、、、

このマンガも、しっかり読んでます♪

絵が、細かくて、
あちこち見るところがあって、素敵ですよね(^^)

ただ、
アミルの帽子(?)布(?)が
どういう構造になっているのかわからなくて、

ものすごく、いつももやもやしております(笑)
返信する
ご返事どす~ (でぃ~れいくどんへ)
2010-11-06 14:08:01

>神坂智子さんの「シルクロードシリーズ」
ああ、私もコレは大好き!(笑)

あと、今市子さんの「水シリーズ」
これもシルクロードっぽい雰囲気が良く出ていて好きっす~

まったく毛色が違うんだけどね
ウチのダンナが…コレ、読み飛ばす所が無くって読むのが大変だ~って言った作品があってな
それは「ナニワ金融道」(笑)
アレもトーンを使わずに手書きオンリーだったから
なんか悪くって飛ばし読み出来なかっただ(笑

それとは少し毛色が違うけど、コレも本当に見事な描きっぷりだと思うだ
どうか、どうか。手が腱鞘炎になりませんように
何時までも彼女の漫画が読めますように。っと祈りながら読んでしまうだよ(ハハハハ)
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ご返事どす~ (まりんかどんへ)
2010-11-06 14:13:01

私も…10年くらい前までは、少女漫画に少年漫画から足を洗っておりました
その間は本ばかり読んでましただよん

ところがある日、あの往年の萩尾さんやら
竹宮さんやらが、まだまだ現役で頑張ってらっしゃるのを本屋で見かけ
あまりの懐かしさに手が出て、はい。読み始めたら止りませんでした~

それからはブログでお友達になった方から、色んな漫画の情報を頂き
今では、本プラス漫画で…家が溢れそうです
(ハハハハハハ)
漫画文化を作って確立した日本。侮れませんです(笑)
今度、機会があれば読んでみて下さい。
本当に面白いですよ~~
返信する
ご返事どす~ (木家マスターどんへ)
2010-11-06 14:18:16

はい。マジです。
ピピっと来ました。
コンロじゃないっすよ(笑)

マスターはママさんとピピっと来なかったんどすかい?
あんなに…子供を作っておいて?

そうか…マスターはママさんの…
「体だけが目当てじゃったんだ!」

そういうことになりますの~(ハハハハハ)

6万人に押しつぶされないように
頑張ってネ。満天は遠くから応援します~
返信する
ご返事どす~ (ちかどんへ)
2010-11-06 14:24:50

そうだの~。
遊牧民気質は確かに日本人の中では少ないかもしれんの(笑)

ただ、北海道民の気質は…チト違う感じもするだ(ハハハハ)
なにせ広い大地に雄大な自然を見て育つもんで
隣の境界線でも余りケンカはせんのだ
我が家の実家も、隣の家との境界がアヤフヤだったんだが…
なんの問題もなく「これでエエんでないかい?」っと手打ちとなった(呆れるじゃろう)

この漫画は始まったばかりなので…どこまで巻が重なるか解らんだよ
手を出して、後戻り出来なくなったら怖いぞ~
家が本で溢れるようになる可能性大だぞ~
(アハハハハハハ)
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Unknown (ライチ!)
2010-11-06 14:29:05
中~高校生の頃のアタクシ、
今で言う『腐女子』(オタクの女子版)でした。
高校では、仲間内で漫画アニメ同好会を結成、
萩尾望都や竹宮恵子、美内すずえ、くらもちふさこ等等、
どっぷりと浸かっておりました。
ジャンプ等、男子向けの漫画なんかもよく読みましたし、
もちろんアニメも大好きで。
出会って3日で結婚を決めた夫とは数ヶ月後に結婚しました。(ちなみに旦那は三歳年下)
彼も漫画やアニメが好きで、良かったっす。
いいトシをした夫婦が、朝からアニメを見てるので、
姑様もあきれてますわ。
あ、自分の話ばかりしてしまいましたね。
スマンです(笑)!
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