バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

トルソー

2013-04-04 09:55:01 | 日記
この≪バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル≫、昨年9月までにポワントの基本レッスンまで進めて一旦休止しましたが、これからは日々のレッスンの折に気付いたこと、バレエのレッスンをしている皆さんに是非伝えたいと考えることなどを中心にアドバイスをしていきたいと思います。
夢中でレッスンに取り組んでいると、ついつい“やってるつもり”になって通り過ぎてしまうことや、注意を受けてもその意味するところを理解できないまま、次に進んでしまうことなどもあるでしょう。
レッスンを続けるなかでふと“これでいいのかな?”と思ったときに参考にして頂ければ幸いです

今回はトルソーを真っ直ぐに保つことについて。
近頃“体幹を鍛える”ということを良く耳にしますし、参考書籍などもいろいろと書店に並んでいますね。
この体幹、バレエにおいても極めて大切な部分です。
私は以前のレッスンでもずっと『トルソーを真っ直ぐに。トルソーを歪めることなく。トルソーを縮めない』ということを繰り返しアドバイスしてきました。
私が“トルソー”と表現する身体の部分とは、首・頭部・両腕・両脚を除くいわゆる“胴体”のこと、つまり“体幹”のことです。
いくら“引き上げる”とか“軸を保つ”とか“上から吊られるように”などといったところで、この“トルソー(=体幹)”があやふやなままでは意味がありません。
クラシック・バレエのレッスンそのものが、あらゆるパにおいてトルソーを真っ直ぐに支えることで、十分に体幹トレーニングの効力を有するものです。
では、はじめましょう。
一番わかりやすいのはプリエです。
左手バーで1番ポジシオン、アームスはプレパラシオンでア・ラ・スゴンドへ。
→8 プレパラシオン⇒1 ドゥミ・→2 プリエ→3 元に→4 戻る→5 ドゥミ・→6 プリエ→7 元に→8 戻る→1 グラン・→2 →3 プリエ→4 →5 元に→6 →7 戻る→8 1番ポジシオン⇒

ドゥミ・プリエのときはアームスはア・ラ・スゴンドのまま。
グラン・プリエのときのアームスはア・ラ・スゴンドからアン・バへ、そしてアン・ナヴァンを通ってア・ラ・スゴンドへ。

さぁ、自分のトルソーに意識を向けながらプリエをしてみて下さい。いかがですか?
グラン・プリエのときに特に注意が必要です。
ア・ラ・スゴンドからポール・ドゥ・ブラを始めるときにアームスをアロンジェにして軽く煽るのは構いませんが、煽ったアームスをアン・バの方に下げていく動きに釣られて、アームスと同じ側のウエスト部分が縮みトルソーが傾いていませんか?
アン・バに下げたアームスに対して顔を向けるつもりで、今度はバーの方にトルソーが傾いでいませんか?
そうです。じつはこの とが大問題なのです
アームスの動きではなく、トルソーに注目してみて下さい。
腕の動きに合わせてトルソーそのものはグニャグニャですね。
“いかにもバレエらしい優美な曲線を描きつつ動いている”と思い切り勘違いしているのでしょうね
もっともシンプルな1番プリエですらこうなのだとしたら、4番・5番のプリエではさらにトルソーはグズグズになるでしょう
ポール・ドゥ・ブラに合わせて頭部も動かしていくのは大事なことであり必要なことですが、それはトルソーをきちんと支えられてこそ美しくコントロール出来るものです。
まずは勘違いの“優美な曲線もどき”を真似ることをやめて、正しく真っ直ぐにトルソーを支えてプリエをする、その練習を大事にすることです。そうすればアームスの動きに引きずられることのない強く美しいトルソーを育てることが出来ますよ
ではもう一度ドゥミ・プリエから始めて下さい。いかがですか?
ドゥミ・プリエを通過してグラン・プリエに移るときに、お尻を後ろに引いていませんか?
グラン・プリエに達した時、しゃがみこむような姿勢になって尾骶骨が膝よりも低い位置に下がっていませんか?
これもまた大問題なのです
のようにお尻を後ろに引いてしまったのでは、股関節のターン・アウトの妨げになってしまいます。個人差はありますが、それぞれ自分の股関節に可能な限りの100%のターン・アウトを守るためには、骨盤は真っ直ぐに立てておかなければなりません。そして骨盤を真っ直ぐに立てることによって、トルソーを真っ直ぐに保つことも可能になるのです。
のように下でしゃがんでしまっては体幹の筋肉は脱力したままになってエクササイズの意味をなしません。さらには、もとのポジシオンに戻るためには上体を前方に漕ぐような醜い反動を付けなければならなくなります。これでは強くしなやかなトルソーを育てることはできませんね
極めてシンプルで派手でもなく目に立つ華やかさもないプリエですが、バレエのあらゆるパやダンサーの身体にとって最も大切な動きです。目先の安直な華やかさや優美さは不要です。
丁寧で正確であること、それが最も大切なことであり有効なことですね。
では、また次回。