バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

身体の向き・ポジシオンを示す言葉(2)

2009-04-15 11:39:47 | 日記
前回は《クロワゼ》《エファセ》《エカルテ》の身体の方向を示す言葉について確認をしました。
今回は“顔(頭部)の向き”を示す言葉についてご説明しますね。
《ファス(face)》はフランス語で顔、顔面という意味ですが、バレエのレッスンで《ファス(face)》または《ドゥ・ファス(de face)》と指示するときは、身体が向いている方向に顔も向いています。
右のクロワゼ・ドゥヴァン・ドゥ・ファスといったら、右足を前にした5番ポジシオンで左斜め45度を向いて立ち、顔も同じ方向を向いています。
また舞台上から見た《正面》あるいは稽古場の《正面》という意味で《アン・ファス(en face)》を使います。
《エポールマン(epaulement)》は、フランス語のエポール(epaule)=肩が語源です。
身体の向きに拘わらず、顔を左右どちらかの肩の方に向けます。
頭部を傾けたり顎を上げたりしてはいけません。
クロワゼまたはエファセのポジシオンに身体を向けて《エポールマン》にするときは、顔は主に稽古場あるいは客席の正面を向くようにします。
このエポールマンが前回確認した身体の向きのひとつ、《エカルテ》に大きく関わってきます。
ではまず右脚前のクロワゼ・ドゥヴァン・アン・ファスで準備して下さい。
そしてエカルテ・ドゥヴァンにポワン・タンジュしましょう。
右脚が自分の身体に対する“ア・ラ・スゴンド・ポワン・タンジュ”になっていますね。
さあ、顔を右肩の方に向けたエポールマンのポジシオンをとりましょう。
これが正しいエカルテ・ドゥヴァンです。
エポールマンがなければ、左斜めを向いて右脚をア・ラ・スゴンド・ポワン・タンジュにしているだけ、です。エポールマンが伴ってはじめてエカルテといえるポジシオンになるのです。
もう一度右脚前のクロワゼ・ドゥヴァン・アン・ファスで準備して下さい。
今度はエカルテ・デリエールにポワン・タンジュしましょう。
左脚が自分の身体に対する“ア・ラ・スゴンド・ポワン・タンジュ”になっていますね。
顔は同じく右肩の方に向けたエポールマンのポジシオンをとります。
これが正しいエカルテ・デリエールです。
エカルテ・ドゥヴァンのときにはポワントした脚と同じ側の肩の方にエポールマン、エカルテ・デリエールのときはポワントした脚と反対の肩の方にエポールマンのポジシオンをとることになりますね。
ポワン・タンジュした脚と同じ側の腕をアン・オーにして、軸脚側の腕をア・ラ・スゴンドにした場合、エカルテ・ドゥヴァンではアン・オーの手を見上げるように、エカルテ・デリエールではア・ラ・スゴンドの手先を通して視線を下げるようにしましょうね。
エポールマンをするのは“首から上の頭部”だけですよ。決して腰から捻ってはいけません。エポールマンをきちんと身に付けることで、ポーズや動きに立体感が生まれます。