明くる日、リアンは仕事を終えると、ヴァナディースの指定した住所へと向かった。重工業地帯特有の臭気を含んだ風が海からの湿った空気を運び、茹だるような暑さが相まって、心地良いドライブとはほど遠い重苦しさ。
スタジアムの横目にハイウェイを降り、煌びやかな繁華街を抜けると、ロームで覆われた起伏の激しい台地と狭小な削剥谷地形が点在する別の世界へと変貌する。車一台がやっと通れるような道を左右に折れながら指定 . . . 本文を読む
リアンは最果ての地(Fer East)に来てから日課となったWEBサイトの管理をする傍らで、コミュニティの記事に目を通しているとき不可解な信号をキャッチした。「猫が保健所に連れて行かれようとしています。誰か預かって頂けませんか」
この国では、ヒトの都合で飼えなくなった猫は保健所に引き渡されるケースが多い。一度ヒトの手で飼われても十分野良として生きていける世界も年々狭まってきている。
保健所とい . . . 本文を読む