ちょっとピンぼけ/倉敷界隈

日々の記録。見たり、聞いたり、買ったり、食べたり。

今日の見もの(ナルニア国物語・第一章)

2011年04月26日 19時03分45秒 | 見もの

ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女
2006年 140分 アメリカ

待望のDVDだった。と言うのは、以前別の店で借りたDVDには「BBC」と書いてあって、4:3の画面だったからだ。明らかにTV放送されたもののDVD化。まさかそんなものがあるとは思いもせず、どうせ見るなら映画バージョンがいいと次回借りることに決めていたからだ。たまたまTSUTAYAに行く機会があり、今度こそと思ってこれを借りた。

第二次世界大戦のロンドン、空襲を避けるために4人兄妹は田舎のでっかいお屋敷に住むことになった。そこに住んでいるのは老学者と厳しい家政婦。走るな、触るな、邪魔をするなと言われるが、どうしても子どもたちはそれをできない。ある時、末妹がかくれんぼで大きな衣装箪笥に入り、そこから未知の世界へと出てしまう。再び帰って来た彼女はそれを訴えるのだが、誰も信じてくれない。夜中にもう一度箪笥からあの世界へ行ったが、今度は下の兄も一緒だった。彼は氷の女王にお菓子をもらい、王にしてやるという甘言にだまされてしまう。「兄妹を連れてきなさい」と言う言葉に、結局は兄弟姉妹全員でこの世界に入り込んでしまう。動物たちに真実を告げられ、伝説の人間がこの世界を救うと言われた三人は半信半疑であったが、弟はその女王のところに行って捕まってしまう。刺客を放たれた三人だが、弟を助けるためその伝説通りに戦うことになる。現れたサンタクロースに剣や弓、魔法の薬を授けられた三人は伝説のアスランに会おうと歩を進める。 

始まってすぐ、ホントにこれはナルニア国物語なのかと疑った。私はロード・オブ・ザ・リングのような話と勝手に思っていたので、現代(と言っても数十年前だが)の戦争シーンから始まって、また間違えて借りちゃったのかと思ったわけだ。しかし上のあらすじのように話は進んでいき、子ども向けの娯楽ファンタジーへと収れんしていく。子ども向けと書いたのは、何につけてもご都合主義的なところがあるからだ。

途中で、これって末の女の子が見ている夢の話なのかなとも感じた。こうなったらいいと思うように都合良く展開していく。こんな人が死んじゃダメと思うと生き返る。もうダメと思っても助けてくれる。善は栄え悪は滅びる的、勧善懲悪な内容。たとえて言うなら、ピノキオに「していいことと悪いことを勉強するんだよ」と教え、あの話で教訓にしたように、そんな内容をファンタジーとして映像化したような映画。

「悪いことをする(裏切る)とこうなるよ」「神が助けてくれるよ」「(聖書のような)予言のように世界は動くんだよ」「そして、それをするのは『人間』だよ」という、西洋キリスト教的考えに満ちた世界だなと思った。事実、書いたのはイギリスの文学者でありキリスト教の信徒伝道者のルイス氏。聖書をわかりやすくファンタジー化したもの。ライオンの自己犠牲と復活はキリスト、裏切りは人間(ユダをさすよりは人間そのものか)、そして聖書の予言のようにこの世界は動いていく・・・。

それはそれでいいが、私はキリスト教(西洋)的考えの「人間は神が自らに似せて作った特別な存在で、動物などの自然を支配する」ような考えに嫌気がさす。人間の子どもが世界を救う特別な存在で、それが預言(この場合は予言?)に語られるというくだりは、私には西洋人の心の根底にある驕りのようで嫌な気分だ。なぜ人間の子が世界の王様で、それを他の生き物たちが支えなければいけないのか。あそこは人間の世界でもないのに、そうして人間が一番偉いのか・・。

とは言え、映画そのものはわかりやすくCGもきれいで見ていて悪くはない。人間に協力する人(動物)はみんないい人で、悪の女王は徹底的に悪いと言うあり得ない設定が子ども向きなだけ。見終わっても満足感が感じられないのはその辺だろうが、子どもに見せるならこれでいいのかも。まぁ聖書的考えのプロパガンダ用ともとれるけどね。

ランク:2時間楽しめばいいならお勧め。キリスト教が好きな人にはいいと思う。

日記@BlogRanking