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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

政権交代と教育法

2010年06月15日 | こども危機
 《日本教育法学会シンポジウムより》
 ▼ 政権交代と教育法


 2010年5月30日,明治大学・リバティホールにて,日本教育法学会,第40回定期総会記念公開シンポジウムが行なわれた。
 民主党政権がこの先どうなるものか,視界がきかなくなってはきているが,この日,「新政権と教育基本法」市川須美子(独協大),「新政権と地方教育行政制度」中嶋哲彦(名古屋大),「新政権と教育条件整備の課題」舟木正文(大東文化大),「貧困の相続と学校制度」青砥恭(全国高法研)の報告,討議がなされた。
 市川さんは綿密な分析の結果,新政権は「日本国教育基本法案」を出し現教育基本法を再び変えるようなことはしないと報告。現法下で新自由主義,新国家主義をより強く推し進めていける見通しがたっているからだと述べた。
 青砥さんは,格差が貧困を生み固定していることを詳細なデータを基に報告。例えば,私立小学校へ行ける子どもの保護者年収は1200万円が約44%,800万円以上をとると80%であって,保護者年収が子どもの学歴を左右し,高い学歴を持った子どもが高い年収を得て自ら家庭を形成していくサイクルがある,といった相関がくっきりと提示された。
 中嶋さんの報告は,我々教職員の明日をみせる恐ろしい内容であった。
 現行の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」,略して地教行法と言っているものだが,これが民主党構想では「地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案」となる。この法律案は,字句の違いなどという生やさしいものではなく,教育行政を一変してしまう内容を含んだものなのである。
 まず削除されてしまうもの。教育委員会制度,これが廃止される
 そして県費負担教職員制度も廃止される
 ではどこに権限が移されるか。首長である。教育委員会の権限を首長に移す。学校管理規則の制定や副教材の届出承認,また教職員人事(任免や研修など)を首長が行なう。指導力不足教員の運用などもである。
 これまで建前上,教育委員会は地方行政から独立した存在であった。それが教育は組織的に首長支配下に入る。
 新たに追加されるものは学校理事会(学校運営協議会は廃止されこれが新股)であり,教育監査委員会である。
 “学習者主権論”という一見反対しにくい論理により「学校理事会」が殴置され,学校を監視し,得体の知れない*「教育監査委員会」なる組織が自治体の教育全般を監視するのだ。これらも首長の息の下に置き,法的権限,政治的影響力を首長に集中できるのである。
 民主党の国家構想と教育政策。私は聞いていて,戦前の教育体系を思い浮かべた。
 県知事から,一直線に教員,子どもへとのびていた支配のカ。もっと言えば天皇からのびていた。これとどこが違うのだろう。
 そして,競争と結果責任を自己責任として負わされ,国民主権原理がどんどん切り下げられていく。‘自己責任ではない。生きさせろ。”と叫びはじめた若者たちを前に,私たち教育労働者は暗たんたる教育構想にただ従っていっていいのだろうか。(渡辺)

『ほっととーく 90』(2010/6/10)より
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