《個人情報保護条例を活かす会通信から》
◆ 平塚市立土沢中学の「銃剣道」授業の中止が実現
本誌No.17(2017.06.17)での導入経緯の紹介に引き続き、No.24(2018.06.02)でその後の取り組み経過報告と中止要請署名へのさらなる協力依頼をしてきた「土沢中学における『銃剣道』授業の中止」が、2018年10月30日付の学校便りで保護者に通知されたことが、毎日新聞(11月2日)と朝日新聞(11月3日)で報じられ、中止に至る経緯はともかく、とにかく安堵しました。未報告の2018年度の取り組み経過を追う形で、「銃剣道」中止要請の取り組みについての最終報告をさせていただきます。
1)2018年3月~5月 文科省への関連文書開示によって見えてきたこと
当会の中止要請の動きに触発された一平塚市民による文科省への3月中旬の文書開示請求・5月下旬の開示で、「学習指導要領へ銃剣道を追記する理由」として、
パブコメ総数3975件中198件の「銃剣道も明記すべき」との意見の他に、
武道議員連盟(会長高村正彦自民党副総裁)・日本武道協議会・日本武道館三者共催の武道振興大会名の決議(2017.3.1)と全日本銃剣道連盟からの要望書(2017.3.9)があったことが判明しました。
同要望書は、「中学校銃剣道授業の実現に向け努力を続け、平成28年1月に1校の実現を見ました。学習指導要領に銃剣道が明記されないことは、銃剣道は資格がないとの邪推を生み、障碍がさらに高くなり、銃剣道授業の普及活動には致命的な事態です」と訴えており、
これを受けた文科省が、全日本銃剣道連盟に対して、「今後の普及方針や計画を明確にし、全面実施となるH33年度までに指導資料の作成、外部指導者の育成など指導体制の整備、実践実例の拡大の具体的な戦略(例-銃剣道に理解のある10~15地域を重点地域として、まずは、剣道とともに実施するなど複数種目としての実施を目指す等)を示してもらうことが重要」と要請していることがわかりました。
学習指導要領への「銃剣道」明記を実現するために、土沢中学校の先行実施を利用したというよりは、利用するために先行実施をさせたということだったようです。
2)2018年9月中止要請署名の再開・拡大
戦後「軍事的色彩が強い」という理由で禁止されていた銃剣道の中学校武道への明示的導入は、土沢中学1校の問題にとどまらず、「戦争法」の強行成立など「戦争のできる国づくり」の一環と考えるしかないという認識を強め、この問題意識の共有を広げ、土沢中学での中止とさらなる広がりの阻止を目指して、一昨年9月に始めた署名活動を再開・拡充していくことを決意し、市内各中学校の教職員、PTA、日教組、中教組等にも事態の深刻さを訴える文書を添えて署名へのさらなる協力をお願いしました。
3)2018年11月 注視決定報告と最後の呼びかけ
文頭で紹介したように、「中止」の新聞報道を受けて、署名協力者の皆さんへ経過と当会の最終方針を伝え、12月10日までの署名返送のお願いと「土沢中学での復活や平塚市内の他校・全国他地域での開始を見ないよう、今後とも学校教育への『銃剣道』導入には目を光らせて阻止していきましょう」と呼びかけました。
4)2018年12月13日 署名914筆の市教委提出交渉・土沢中学長との面談
9月に再関させた署名集めの結果を、教育長・教育指導担当部長・教育課長が揃ったところへ届けると「署名に表された皆さんの意思は受け止めるが、学習指導要領に則りながら、学校の意思を尊重しての事なので、何も悪いことはしていなかったと思っている。今回土沢中の校長がシフトしたことを尊重するということだ」と教育長が答弁しました。
その直後、土沢中にも出向き、校長に追加署名提出の報告を行ったところ、「4月4日にお会いしたときは、実際の授業も見てなかったし、どうするかは言えなかった。その後いろんな考えがある中で、導入の経緯が用具問題だったことに注目して、剣道の用具が揃えば、銃剣道による授業の補充は不要だという判断に至ったわけで、銃剣道が危険だから、中止要請の署名が届いたからという理由によるものではない。そちらと違う考え方もあるわけですし。指導教員が何時までも1つの学校にいるわけではないし、多分今後銃剣道をやることはないと思う。木銃はそのまま置いてある。実施されている教育への意見・要望は、学校宛、教委宛、場合によっては文部省宛にどんどん届けて欲しい。本校のプログもよかったら見て欲しい」という答弁を得ました。
当会は今後も、2018年度内に届く署名は追加提出していく予定です。
5)今後に向けて
北九州で「銃剣道」導入の話が出ているという噂を耳にしました。
文科省と全国銃剣道連盟の言う「銃剣道に理解のある10~15の重点地域」をつきとめて、今後、土沢中に寄付された40本の木銃の転送や、連盟からの新たな配布がないようみまもり続け、
自衛隊駐屯地での職場体験学習など、子ども達を「戦争の諸相に慣らす動き」に敏感に反応して待ったをかけられるよう情報の共有に努め、
学校が天皇代替わりやオリンピック行事への「動員」による「洗脳対策」に飲み込まれないよう、気遺って行けたらと思います。
『個人情報保護条例を活かす会通信 No.28』(2019.1.26)
◆ 平塚市立土沢中学の「銃剣道」授業の中止が実現
大友深雪(秘密保護法の廃止をめざす平塚市民の会)
本誌No.17(2017.06.17)での導入経緯の紹介に引き続き、No.24(2018.06.02)でその後の取り組み経過報告と中止要請署名へのさらなる協力依頼をしてきた「土沢中学における『銃剣道』授業の中止」が、2018年10月30日付の学校便りで保護者に通知されたことが、毎日新聞(11月2日)と朝日新聞(11月3日)で報じられ、中止に至る経緯はともかく、とにかく安堵しました。未報告の2018年度の取り組み経過を追う形で、「銃剣道」中止要請の取り組みについての最終報告をさせていただきます。
1)2018年3月~5月 文科省への関連文書開示によって見えてきたこと
当会の中止要請の動きに触発された一平塚市民による文科省への3月中旬の文書開示請求・5月下旬の開示で、「学習指導要領へ銃剣道を追記する理由」として、
パブコメ総数3975件中198件の「銃剣道も明記すべき」との意見の他に、
武道議員連盟(会長高村正彦自民党副総裁)・日本武道協議会・日本武道館三者共催の武道振興大会名の決議(2017.3.1)と全日本銃剣道連盟からの要望書(2017.3.9)があったことが判明しました。
同要望書は、「中学校銃剣道授業の実現に向け努力を続け、平成28年1月に1校の実現を見ました。学習指導要領に銃剣道が明記されないことは、銃剣道は資格がないとの邪推を生み、障碍がさらに高くなり、銃剣道授業の普及活動には致命的な事態です」と訴えており、
これを受けた文科省が、全日本銃剣道連盟に対して、「今後の普及方針や計画を明確にし、全面実施となるH33年度までに指導資料の作成、外部指導者の育成など指導体制の整備、実践実例の拡大の具体的な戦略(例-銃剣道に理解のある10~15地域を重点地域として、まずは、剣道とともに実施するなど複数種目としての実施を目指す等)を示してもらうことが重要」と要請していることがわかりました。
学習指導要領への「銃剣道」明記を実現するために、土沢中学校の先行実施を利用したというよりは、利用するために先行実施をさせたということだったようです。
2)2018年9月中止要請署名の再開・拡大
戦後「軍事的色彩が強い」という理由で禁止されていた銃剣道の中学校武道への明示的導入は、土沢中学1校の問題にとどまらず、「戦争法」の強行成立など「戦争のできる国づくり」の一環と考えるしかないという認識を強め、この問題意識の共有を広げ、土沢中学での中止とさらなる広がりの阻止を目指して、一昨年9月に始めた署名活動を再開・拡充していくことを決意し、市内各中学校の教職員、PTA、日教組、中教組等にも事態の深刻さを訴える文書を添えて署名へのさらなる協力をお願いしました。
3)2018年11月 注視決定報告と最後の呼びかけ
文頭で紹介したように、「中止」の新聞報道を受けて、署名協力者の皆さんへ経過と当会の最終方針を伝え、12月10日までの署名返送のお願いと「土沢中学での復活や平塚市内の他校・全国他地域での開始を見ないよう、今後とも学校教育への『銃剣道』導入には目を光らせて阻止していきましょう」と呼びかけました。
4)2018年12月13日 署名914筆の市教委提出交渉・土沢中学長との面談
9月に再関させた署名集めの結果を、教育長・教育指導担当部長・教育課長が揃ったところへ届けると「署名に表された皆さんの意思は受け止めるが、学習指導要領に則りながら、学校の意思を尊重しての事なので、何も悪いことはしていなかったと思っている。今回土沢中の校長がシフトしたことを尊重するということだ」と教育長が答弁しました。
その直後、土沢中にも出向き、校長に追加署名提出の報告を行ったところ、「4月4日にお会いしたときは、実際の授業も見てなかったし、どうするかは言えなかった。その後いろんな考えがある中で、導入の経緯が用具問題だったことに注目して、剣道の用具が揃えば、銃剣道による授業の補充は不要だという判断に至ったわけで、銃剣道が危険だから、中止要請の署名が届いたからという理由によるものではない。そちらと違う考え方もあるわけですし。指導教員が何時までも1つの学校にいるわけではないし、多分今後銃剣道をやることはないと思う。木銃はそのまま置いてある。実施されている教育への意見・要望は、学校宛、教委宛、場合によっては文部省宛にどんどん届けて欲しい。本校のプログもよかったら見て欲しい」という答弁を得ました。
当会は今後も、2018年度内に届く署名は追加提出していく予定です。
5)今後に向けて
北九州で「銃剣道」導入の話が出ているという噂を耳にしました。
文科省と全国銃剣道連盟の言う「銃剣道に理解のある10~15の重点地域」をつきとめて、今後、土沢中に寄付された40本の木銃の転送や、連盟からの新たな配布がないようみまもり続け、
自衛隊駐屯地での職場体験学習など、子ども達を「戦争の諸相に慣らす動き」に敏感に反応して待ったをかけられるよう情報の共有に努め、
学校が天皇代替わりやオリンピック行事への「動員」による「洗脳対策」に飲み込まれないよう、気遺って行けたらと思います。
『個人情報保護条例を活かす会通信 No.28』(2019.1.26)
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