◆ 膨大なただ働きを現に強いていることを社会全体で認識し・・・(朝日新聞社説)
(T_T)(ひょうたん島研究会)
昨日11/30(金)、『朝日』の「社説」として、「先生の働き方/子供のためにも改革を」という論考が載った。この「社説」自体は全文を下欄で紹介するのでそちらを読んでほしいが、若干のコメントを付けさせてもらう。
まずこの「社説全体」について評価を付けさせてもらうと、100点満点の65点、「5段階評価」でいうと、ギリギリ「4」という感じである。
以下、「揚げ足取りの雑談」的なものから、たぶんかなり「本質的だろう」ことまで、書くことにする。
① 見出しの「子供」についてだが、本文では「子どもたち」と書いてある。見出しも「子どものためにも」で良いと思うが、どうだろう?
② 「日本は中学で6割、小学校で3割の教員が、過労死ラインの月80時間を超す残業をしている」とあるが、ぼくたち高校の教員についても、たまには触れてほしい-短い「社説」にすべてを書き込むのが無理なことは、百も承知だが・・・。
③ 「中学の部活動」に関連して「あわせて教員に代わる外部指導員の登用に力を注ぐ必要がある」とあるが、高校のぼくが部活をやっている仲間を見ながら考えることとの間に、いつものことだが、違和感がある。
ぼくの友人には野球部の顧問もいるのだが、そしてその友人は月に100時間以上の時間外労働をしているのだが、「外部指導員」が彼の時間外労働を減らすために何ができるのか-のイメージが全然湧かないのだ。「一部肩代わり」では焼け石に水?
④ 「難しいのは、先生の心がけだけで解決できる話ではない」「仕事の範囲が野放図に広がらぬよう、歯止めとなる制度を設けなくてはいけない」については、「いいね!」ボタンを押しておこう。これだけでぼくの評価は、50点くらいには到達する。
⑤ 「文部科学省の試算では、働いた時間どおりに手当を支給すると総額は年9千億円に達するという。膨大なただ働きを現に強いていることを社会全体で認識し、その解消に本気で取り組むことが求められる。」
この部分が、ぼくの評価が「4」に到達した根拠である。「社会全体で認識し」まで書いてくれる新聞は、残念ながらほとんどない!
「9千億円」についてだけど、たいした金額なんだろうなあ? ぼく、見たことないから、これもイメージ、湧かないなあ。でも、19年度の「兵器ローン予算は5兆3千億円」(日刊ゲンダイ12/1号による)らしいから、若干でも横流ししてくれたら、何とかなるんじゃないかなあ。
⑥ 実は紙幅がなくなってきたので、「5」に到達しない減点分について書く。まずこの「社説」の致命的な欠点。「仕事を減らすべき」みたいなことは書いてあるのだが、「教職員増」については全く触れられていない。学校現場に限らないが多くの職場での時間外労働の原因は、「仕事量の多さ」と「労働者の少なさ」。この問題を抜きに「時間外労働削減」などあり得ない。
⑦ 前項とも関連するが、この「社説」は、「しわ寄せを受けるのは、ほかでもない、未来を担う子どもたちである」で終わっている。もちろんこの「結論?」自体に異論などないのだが、でも・・・。
この結論には、労働者に対する視点がまったくない。「子どもたちにしわ寄せがいく」以前に、学校労働者には既にしわ寄せは行っているのだ。この「社説」が「5」に到達しない所以である。
(18/12/01・今日から師走、教員が走ってない学校の方がぼくは好きだが・・)
先生の労働時間をどうやって減らすか。中央教育審議会で教員版「働き方改革」の議論が大詰めを迎えている。
日本は中学で6割、小学校で3割の教員が、過労死ラインの月80時間を超す残業をしている。先進国で際立って忙しい一方、授業にあてられる時間はよそより短い。それ以外の用事に日々追われているからだ。
子どもたちが受ける教育の質を高めるためにも、むだな仕事を削ったり、肩代わりしてもらったりして、肝心かなめの授業とその準備に集中できるようにしなければならない。
たとえば中学の先生は部活動の指導に携わる時間が長い。国が目安とする「週休2日以上」を確実に守るようにし、あわせて教員に代わる外部指導員の登用に力を注ぐ必要がある。
難しいのは、先生の心がけだけで解決できる話ではないことだ。学校には次々と新たな課題が降ってくる。
小学校では、英語に続いてプログラミング教育が再来年度から必修になる。地域や保護者から要請があれば、むげな対応もできない。
仕事の範囲が野放図に広がらぬよう、歯止めとなる制度を設けなくてはいけない。
先般成立した働き方改革関連法で、企業の残業時間は月45時間以内とされた。学校もこれを原則とし、その前提で仕事をどう回すかを考えるようにすべきだ。
教師にだけ適用される時間外労働に関する法律も見直す時期にきている。
本来の給与月額に4%分を上乗せするかわりに、残業代は一切支給しないのが現在の決まりだ。残業が週2時間ほどだった半世紀前の規定で、実態とかけ離れている。
文部科学省の試算では、働いた時間どおりに手当を支給すると総額は年9千億円に達するという。膨大なただ働きを現に強いていることを社会全体で認識し、その解消に本気で取り組むことが求められる。
残業はこれまで「自発的なもの」とみなされてきた。だが過労で倒れた教員に対し、「個別の指示がなくても、包括的な職務命令に基づく残業といえる」として公務災害を認めた例もある。
引き受けた業務に見合う報酬を支給する制度を検討してはどうか。
教員の仕事量と労働時間を校長や教育委員会が適切に管理する意識をもてば、残業の抑制にもつながるだろう。
教員採用試験の受験者は近年減少ぎみだ。学校が「ブラック職場」のままでは、若者の教員離れはさらに進む。しわ寄せを受けるのは、ほかでもない、未来を担う子どもたちである。
(T_T)(ひょうたん島研究会)
昨日11/30(金)、『朝日』の「社説」として、「先生の働き方/子供のためにも改革を」という論考が載った。この「社説」自体は全文を下欄で紹介するのでそちらを読んでほしいが、若干のコメントを付けさせてもらう。
まずこの「社説全体」について評価を付けさせてもらうと、100点満点の65点、「5段階評価」でいうと、ギリギリ「4」という感じである。
以下、「揚げ足取りの雑談」的なものから、たぶんかなり「本質的だろう」ことまで、書くことにする。
① 見出しの「子供」についてだが、本文では「子どもたち」と書いてある。見出しも「子どものためにも」で良いと思うが、どうだろう?
② 「日本は中学で6割、小学校で3割の教員が、過労死ラインの月80時間を超す残業をしている」とあるが、ぼくたち高校の教員についても、たまには触れてほしい-短い「社説」にすべてを書き込むのが無理なことは、百も承知だが・・・。
③ 「中学の部活動」に関連して「あわせて教員に代わる外部指導員の登用に力を注ぐ必要がある」とあるが、高校のぼくが部活をやっている仲間を見ながら考えることとの間に、いつものことだが、違和感がある。
ぼくの友人には野球部の顧問もいるのだが、そしてその友人は月に100時間以上の時間外労働をしているのだが、「外部指導員」が彼の時間外労働を減らすために何ができるのか-のイメージが全然湧かないのだ。「一部肩代わり」では焼け石に水?
④ 「難しいのは、先生の心がけだけで解決できる話ではない」「仕事の範囲が野放図に広がらぬよう、歯止めとなる制度を設けなくてはいけない」については、「いいね!」ボタンを押しておこう。これだけでぼくの評価は、50点くらいには到達する。
⑤ 「文部科学省の試算では、働いた時間どおりに手当を支給すると総額は年9千億円に達するという。膨大なただ働きを現に強いていることを社会全体で認識し、その解消に本気で取り組むことが求められる。」
この部分が、ぼくの評価が「4」に到達した根拠である。「社会全体で認識し」まで書いてくれる新聞は、残念ながらほとんどない!
「9千億円」についてだけど、たいした金額なんだろうなあ? ぼく、見たことないから、これもイメージ、湧かないなあ。でも、19年度の「兵器ローン予算は5兆3千億円」(日刊ゲンダイ12/1号による)らしいから、若干でも横流ししてくれたら、何とかなるんじゃないかなあ。
⑥ 実は紙幅がなくなってきたので、「5」に到達しない減点分について書く。まずこの「社説」の致命的な欠点。「仕事を減らすべき」みたいなことは書いてあるのだが、「教職員増」については全く触れられていない。学校現場に限らないが多くの職場での時間外労働の原因は、「仕事量の多さ」と「労働者の少なさ」。この問題を抜きに「時間外労働削減」などあり得ない。
⑦ 前項とも関連するが、この「社説」は、「しわ寄せを受けるのは、ほかでもない、未来を担う子どもたちである」で終わっている。もちろんこの「結論?」自体に異論などないのだが、でも・・・。
この結論には、労働者に対する視点がまったくない。「子どもたちにしわ寄せがいく」以前に、学校労働者には既にしわ寄せは行っているのだ。この「社説」が「5」に到達しない所以である。
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なお、「評価すること自体の善し悪し」については、職業病?みたいなものなので、ここでは触れない。(18/12/01・今日から師走、教員が走ってない学校の方がぼくは好きだが・・)
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=朝日「社説」(18/11/30)=
◆ 先生の働き方/子供のためにも改革を
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=朝日「社説」(18/11/30)=
◆ 先生の働き方/子供のためにも改革を
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先生の労働時間をどうやって減らすか。中央教育審議会で教員版「働き方改革」の議論が大詰めを迎えている。
日本は中学で6割、小学校で3割の教員が、過労死ラインの月80時間を超す残業をしている。先進国で際立って忙しい一方、授業にあてられる時間はよそより短い。それ以外の用事に日々追われているからだ。
子どもたちが受ける教育の質を高めるためにも、むだな仕事を削ったり、肩代わりしてもらったりして、肝心かなめの授業とその準備に集中できるようにしなければならない。
たとえば中学の先生は部活動の指導に携わる時間が長い。国が目安とする「週休2日以上」を確実に守るようにし、あわせて教員に代わる外部指導員の登用に力を注ぐ必要がある。
難しいのは、先生の心がけだけで解決できる話ではないことだ。学校には次々と新たな課題が降ってくる。
小学校では、英語に続いてプログラミング教育が再来年度から必修になる。地域や保護者から要請があれば、むげな対応もできない。
仕事の範囲が野放図に広がらぬよう、歯止めとなる制度を設けなくてはいけない。
先般成立した働き方改革関連法で、企業の残業時間は月45時間以内とされた。学校もこれを原則とし、その前提で仕事をどう回すかを考えるようにすべきだ。
教師にだけ適用される時間外労働に関する法律も見直す時期にきている。
本来の給与月額に4%分を上乗せするかわりに、残業代は一切支給しないのが現在の決まりだ。残業が週2時間ほどだった半世紀前の規定で、実態とかけ離れている。
文部科学省の試算では、働いた時間どおりに手当を支給すると総額は年9千億円に達するという。膨大なただ働きを現に強いていることを社会全体で認識し、その解消に本気で取り組むことが求められる。
残業はこれまで「自発的なもの」とみなされてきた。だが過労で倒れた教員に対し、「個別の指示がなくても、包括的な職務命令に基づく残業といえる」として公務災害を認めた例もある。
引き受けた業務に見合う報酬を支給する制度を検討してはどうか。
教員の仕事量と労働時間を校長や教育委員会が適切に管理する意識をもてば、残業の抑制にもつながるだろう。
教員採用試験の受験者は近年減少ぎみだ。学校が「ブラック職場」のままでは、若者の教員離れはさらに進む。しわ寄せを受けるのは、ほかでもない、未来を担う子どもたちである。
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