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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

国連の人権状況調査要請を、放置するか、無視するか、応じない日本政府は近代国家か?

2021年07月12日 | 人権
 ◆ 〈社説〉人権報告の軽視 国連中心主義に反する (信濃毎日新聞)
 ご都合主義が過ぎるのではないか。
 政府が国連特別報告者の調査要請放置したり、書簡を無視したりする事例が相次いでいる。日本政府の政策を批判的に取り上げる場合が中心である。一方で政府の政策に前向きな調査は受け入れている。
 特別報告者は国連人権理事会が任命する。特定の国やテーマ別の人権状況について、現地で聞き取り調査などをして、結果を人権理に報告。改善を勧告したりする。
 特別報告者の権限は国際人権法上の根拠があり、協力しないことは国連憲章に反する。調査に協力せず、批判に向き合わない姿勢は、日本が掲げる「国連中心主義」に合致しない
 政府は2011年に人権理で特別報告者の訪問を常時、受け入れると宣言。16年には人権理で、報告者に「協力していく」と表明した。
 このところの政府の対応は過去の国際公約とも矛盾している。

 政府は特別報告者に真摯(しんし)に対応し、国内の政策に生かしていく義務があるはずだ。
 対応を改めるよう政府に求める。

 目に余るのが、有害廃棄物に関する報告者のケースだ。
 東京電力福島第1原発から出る処理水の廃棄などについて、15年2月に訪日調査を要請。以降19年2月まで計5回にわたって現地調査を求めたのに、政府は回答しなかった
 原発事故で避難した人の生活状況の調査を求めた報告者の要請も再三、無視した。
 コロナ禍で困窮した学生の支援制度で、朝鮮大学校の学生らを分け隔てて対象から外した問題では、人種差別などを担当する報告者が政府に是正を求める書簡を提出した。政府は「差別ではない」として応じなかった
 17年に報告者が「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法を批判した際には、「個人の見解と認識する」と閣議決定までしている。報告者をないがしろにする姿勢は看過できない。
 このほか、国連女性差別撤廃委員会夫婦別姓の導入などを求めた勧告を、2年以上放置していたことも3月に判明した
 一方で政府の主導で設置されたハンセン病患者らへの差別撤廃に関する報告者は来日して、官房長官と面会している
 特別報告者は英国やフランスの人権などに対する法案にも強い懸念を示した。両国は報告を受けて法案の一部を改正している。
 日本の姿勢は世界に逆行する。現在の姿勢を続けると国際社会の信頼を失いかねない。
『信濃毎日新聞』(2021/07/05【社説】)
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021070500143
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