◆ ギグワーカーを救え (東京新聞【本音のコラム】)
コロナウイルスの感染拡大と猛暑で、閉塞(へいそく)感はますます強くなった。
景気の落ち込みは二〇〇八年のリーマン・ショック時よりもさらに激しく、四月から六月までのGDP(国内総生産)の速報値は、年率換算でマイナス27・8%。戦後最悪の不景気になりそうだ。
身分保障のまったくない、非正規労働者や小商店主などの生活難は、すでに限界に達している。これからどうなるか。わたしもまたフリーターのひとりなので、想像するだけでも息苦しくなる。
「柔軟で多様な働き方の推進」などと称して、安倍政権は安定的な日本的雇用を「改革」という名で破壊してきた。
ギグワーカー。かつての臨時工よりもさらに身分不安定な労働者が現れた。
「ウーバーイーツ」のようにバイク一台が元手、即興的に一回限りの仕事。雇用関係はない。必要な時に必要な量だけの仕事、保証はない。ベルトコンベヤーの思想。
企業にとってこんな都合のいい労働者はいない。
商品の値段は需要と供給によって決まる。
労働者という人格を商品にして、経済競争に曝(さら)すのは人権侵害である。
消費税引き上げとコロナ禍で、不況はさらに深化しそうだ。
リーマン時の完全失業者は三百万人。そのときよりも非正規労働者が増えている。
このひとたちの生活を救う責任が、雇用破壊政策を進めてきた政権にある。
『東京新聞』(2020年8月18日【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)
コロナウイルスの感染拡大と猛暑で、閉塞(へいそく)感はますます強くなった。
景気の落ち込みは二〇〇八年のリーマン・ショック時よりもさらに激しく、四月から六月までのGDP(国内総生産)の速報値は、年率換算でマイナス27・8%。戦後最悪の不景気になりそうだ。
身分保障のまったくない、非正規労働者や小商店主などの生活難は、すでに限界に達している。これからどうなるか。わたしもまたフリーターのひとりなので、想像するだけでも息苦しくなる。
「柔軟で多様な働き方の推進」などと称して、安倍政権は安定的な日本的雇用を「改革」という名で破壊してきた。
ギグワーカー。かつての臨時工よりもさらに身分不安定な労働者が現れた。
「ウーバーイーツ」のようにバイク一台が元手、即興的に一回限りの仕事。雇用関係はない。必要な時に必要な量だけの仕事、保証はない。ベルトコンベヤーの思想。
企業にとってこんな都合のいい労働者はいない。
商品の値段は需要と供給によって決まる。
労働者という人格を商品にして、経済競争に曝(さら)すのは人権侵害である。
消費税引き上げとコロナ禍で、不況はさらに深化しそうだ。
リーマン時の完全失業者は三百万人。そのときよりも非正規労働者が増えている。
このひとたちの生活を救う責任が、雇用破壊政策を進めてきた政権にある。
『東京新聞』(2020年8月18日【本音のコラム】)
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