《労働情報-特集:各労組のコロナ現場報告:非常勤講師》
◆ オンライン講習で負担増
今のところ賃金減はなし
首都圏大学非常勤講師組合では、幸運なことに、今のところ深刻な相談はありません。従って団交も行っていません。
当組合では、組合員の無期転換権の行使について、労働契約法の改正直後から積極的な活動を進めてきました。
委託契約を主張する大学に対しては団交を要求し、労働契約であることを認めさせてきましたし、5年上限も阻止し、無期転換の実現に腐心してきました。
そのため、コロナ感染事情を理由とした雇い止めの相談はありません。
ただし、留学生に対応する日本語講師の一部は、留学生が激減し講義が閉講されたことで減給が心配されています。
緊急事態宣言以前から、多くの私立大学は新学期の講義開始を延期する対策を行っていました。
一部の国立大学は既にZoom会議形式を利用した講義を行っていますが、私立の大部分は5月の連休以降にオンラインで講義を行うよう、対策を進めています。
また一部の大学は、賃金の変更はないという通知も講師たちに郵送しています。従って多くの非常勤講師にとって、今のところ収入に関する大きな被害はありません。
コロナ感染対策の状況を把握するため、3月から組合員の勤務する大学に向けて対策状況のアンケートを行いました。
回収率は高くありませんが、返送してきた大学は全て新学期を5月まで延期し、原則としてオンライン講義に切り替えることで対応する予定のようです。その際の労働条件の変更や賃金についてはまた未対応とのことでした。
非常勤講師の賃金は、半期ごとに終了する15回分の講義に対し、分割して支払われる仕組みになっていますので、少なくとも4月に予定されていた賃金が未払いだという組合員の報告はありません。
しかし一方で、確実に発生しているのが労働量や個人負担の増加です。
突然オンライン講座に切り替えられ、音声や画像による講義の工夫を指示する大学に対し、非常勤講師たちはマイクやカメラ、編集ソフト購入などの金銭的な負担が出てきました。
新学期に向けて既に講義の準備を終えていた状態で、さらに講義のための新たな準備を要求され、しかもオンラインでは今まで以上に著作権侵害などの不法行為にも配慮しなければなりません。
私が勤務する某大学からは、1日に何通ものメールが送られてきますが、その都度添付文書を読まねばならず、土日に関わりなくそれが続きますので、かえって労働時間が無限に増加しています。
この労働量の増加が今後どう続くのか、全くの未知数です。
これに対して今後どのような補償や制限を求めるべきか、これからの労組の課題となります。
大学はサービス業ではないため、対人接触が自粛されたとしても直ちに雇用に対する損害が及びません。そこは他の業種と比較して幸運です。
しかし学生やその保護者の収入減がメディアでも取り上げられ、一部の大学は学生に3~10万円を支給する等の対策を決定しました。その負担の余波が非正規労働者に及ばないよう、情報を収集しながら今後に備えるというのが、当組合の現状です。
『労働情報』(2020年6月)
◆ オンライン講習で負担増
今のところ賃金減はなし
松村比奈子(首都圏大学非常勤講師組合・副委員長)
首都圏大学非常勤講師組合では、幸運なことに、今のところ深刻な相談はありません。従って団交も行っていません。
当組合では、組合員の無期転換権の行使について、労働契約法の改正直後から積極的な活動を進めてきました。
委託契約を主張する大学に対しては団交を要求し、労働契約であることを認めさせてきましたし、5年上限も阻止し、無期転換の実現に腐心してきました。
そのため、コロナ感染事情を理由とした雇い止めの相談はありません。
ただし、留学生に対応する日本語講師の一部は、留学生が激減し講義が閉講されたことで減給が心配されています。
緊急事態宣言以前から、多くの私立大学は新学期の講義開始を延期する対策を行っていました。
一部の国立大学は既にZoom会議形式を利用した講義を行っていますが、私立の大部分は5月の連休以降にオンラインで講義を行うよう、対策を進めています。
また一部の大学は、賃金の変更はないという通知も講師たちに郵送しています。従って多くの非常勤講師にとって、今のところ収入に関する大きな被害はありません。
コロナ感染対策の状況を把握するため、3月から組合員の勤務する大学に向けて対策状況のアンケートを行いました。
回収率は高くありませんが、返送してきた大学は全て新学期を5月まで延期し、原則としてオンライン講義に切り替えることで対応する予定のようです。その際の労働条件の変更や賃金についてはまた未対応とのことでした。
非常勤講師の賃金は、半期ごとに終了する15回分の講義に対し、分割して支払われる仕組みになっていますので、少なくとも4月に予定されていた賃金が未払いだという組合員の報告はありません。
しかし一方で、確実に発生しているのが労働量や個人負担の増加です。
突然オンライン講座に切り替えられ、音声や画像による講義の工夫を指示する大学に対し、非常勤講師たちはマイクやカメラ、編集ソフト購入などの金銭的な負担が出てきました。
新学期に向けて既に講義の準備を終えていた状態で、さらに講義のための新たな準備を要求され、しかもオンラインでは今まで以上に著作権侵害などの不法行為にも配慮しなければなりません。
私が勤務する某大学からは、1日に何通ものメールが送られてきますが、その都度添付文書を読まねばならず、土日に関わりなくそれが続きますので、かえって労働時間が無限に増加しています。
この労働量の増加が今後どう続くのか、全くの未知数です。
これに対して今後どのような補償や制限を求めるべきか、これからの労組の課題となります。
大学はサービス業ではないため、対人接触が自粛されたとしても直ちに雇用に対する損害が及びません。そこは他の業種と比較して幸運です。
しかし学生やその保護者の収入減がメディアでも取り上げられ、一部の大学は学生に3~10万円を支給する等の対策を決定しました。その負担の余波が非正規労働者に及ばないよう、情報を収集しながら今後に備えるというのが、当組合の現状です。
『労働情報』(2020年6月)
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