★ 都教委はまたもや、夜間定時制高校を切り捨てた
皆様、お久しぶりです。今日は9か月ぶりの傍聴でした。今後は毎回傍聴できると思います。
石原都政下の都教委は「君が代」不起立処分をはじめとした教育への介入に血道をあげ、それが今日に至るも続いています。教育の主権者である子どもたちの学ぶ権利が侵害され続けていますので、それを止めさせるべく監視をしていこう、そんな思いで、都教委定例会の傍聴記を発信していきたいと思います。
今日の公開議題は、
議案が
①来年度都立高校等の募集人員について、
報告が
②来年度都立中学校の追検査(インフルエンザや新型コロナに罹患した際の)及び実施要綱の一部改訂について
③小山台高校並びに立川高校の夜間定時制の廃校に反対する請願について
④高校生の国際交流について
⑤教職員相談窓口「先生たちのほっとLINE」の開設について。
非公開議題に懲戒処分の案件が1件ありました。
③~⑤について報告します。
③小山台高校並びに立川高校夜間定時制の廃校に反対する請願について
都教委は2016年都立高校改革推進計画・新実施計画で4校(小山台 立川 江北 雪谷)の夜間定時制課程を閉課程(廃校)にすることを決め、すでに2校を廃校にしました。
江北高校の関係者は
「夜間定時制は『学びのセーフティネット』である」
「チャレンジスクールとは性質が異なり代替できない」
と都教委に強く申し出ていたのに、です。
今回も小山台高校定時制の廃校に反対する会・都立立川高校芙蓉会(定時制同窓会)・立川高校定時制の廃校に反対する会は、
「誰でも何歳でも、少人数で学べる夜間定時制高校は、都民の貴重な財産である。昼間働いている生徒や高校を中退した生徒、夜間中学の卒業生、若いときに学ぶ機会を逸した人、外国につながる生徒等、多様な学びのセーフティネットの役割を果たしている。
/小山台高校定時制は『多文化共生の教育』で、立川高校定時制は多摩地域の中心に位置する普通科最大の定時制として…」
と、存続を求めています。
請願に対する都教委の回答は、応募倍率・入学者の減少が顕著であること、都立高校改革推進計画・新実施計画(二次)の着実な実施により、チャレンジスクールや昼夜間定時制高校の規模拡大を行なうこと、「両定時制課程の閉課程後、夜間定時制課程を希望する生徒については、チャレンジスクールや周辺の夜間定時制課程等において受け入れていく」というもので、請願を採択しませんでした。
夜間定時制高校で学べてよかったという生徒や保護者の声を受け止めようともしません。
さらに、立川高校については、2025年度に立川地区チャレンジスクールの新設及び砂川高校の受入規模の拡大をするので、同年度から立川高校夜間定時制は生徒募集を止めるとのことです。
この件を定例会にかけるのは来年の10月ということですので、反対の声を都教委に届けましょう。
請願を出した方々が大勢傍聴に見えていて、傍聴手続きをする会場で聞こえてきた話にハッとしました。
「夜間定時制は学級定員が1クラス15人。美濃部都政の時代(1967~1979年)の1970年頃に決めたことで国の基準とは大違い。だから夜間定時制を廃校にしてはならない」
と。美濃部革新都政が人を大事にした都政だったことは、都民であった方々はご記憶されていることでしょう。私も我が子が0歳児で公立保育園にすんなり入れたことに、革新都政だから、と感激したものです。
美濃部都政とは大違いの、石原から小池の都政。夜間定時制は1クラス15人定員だから、教員と生徒との信頼関係が築け、生徒さんも心の内を出せるのです。
定員数の多い、チャレンジスクールにその代替はできません。
また、「周辺の夜間定時制課程等において受け入れていく」と言いますが、それが可能なことなのかを、都教委事務局や教育委員は具体的に考えているとは思えません。
私の住居は八王子市なのですが、一番近い夜間定時制高校は立川高校です。
以前は八王子にも夜間定時制高校が3校(?)もありましたが、都立高校改革推進計画によって今は全て廃校。
立川高校に私の家から通うとなれば、バスと電車で最短で65分かかります。夜のバスは30分間隔ですから、実際には65分で通うことは難しいです。
さらに、私の家よりももっと遠くに住む人もいます。「周辺の夜間定時制課程等」に通うことはまず不可能です。教育委員の頭には、区内の交通網しかないのでしょう。
事務方の報告を受けて北村教育委員が次のように発言しました。
「閉課程について様々な論議をしました。強い思いをお持ちの方には申し訳ないが、チャレンジスクール等に移行していかねばならない。個人的にも心苦しいが…」(要旨)と。
請願に対し議案とするのは1回きりで、同趣旨の請願については、年度が変わっても請願者が変わっても、議案にせず、報告として「回答」文書を出すだけですから、北村委員が言われた「様々な論議」がどういうものか、また、事務方の提案を承認したのはなぜか、都民にはまったくわかりません。
北村委員にとっては、〈強い思いをお持ちの方への心苦しさ〉よりも〈チャレンジスクール等への移行という都教委方針〉の方が勝るということなのでしょう。
社会的弱者を切り捨てる都の教育行政に、教育を語る資格はありません。
④高校生の国際交流について
評判の悪いスピーキングテストも「東京グローバル人材育成計画’20」の施策ですが、高校生の国際交流もこの一環。都立学校教育部や人事部などとともに、都教委にはグローバル人材育成部なる部署があります。
国際交流の実施によって、「世界とのリンクで、学びを深め、学校をアップデート」するのだと言います。
〈受け入れ〉は昨年度よりも増やして、カナダ、オーストラリア、エジプト、ヨルダン、トルコ、フィンランド、シンガポール、マレーシア、インドネシア、インド、ニュージーランド、フランス、タイから総計150人。中高一貫校や高校で「日本文化体験(書道・茶道)」や授業や部活動を通じた交流を5日間行うといいます。
〈派遣〉は昨年のフランス、アメリカ、アラブ首長国連邦に加え、今年度はエジプト、マレーシア、ヨルダン、インドネシア、ニュージーランド、フィンランドに総計231人。往復時間も含めて5~7日間とのことです。
日本が侵略した国との交流の際に、東京の高校生たちは侵略を意識できないでしょうし、教員やグローバル人材育成部がそれを投げかけることはまずないでしょう。中東の問題にしてもしかりです。
となれば、形だけの「交流」にならざるを得ません。このお金を夜間定時制存続に向けてほしいものです。
⑤教職員相談窓口「先生たちのほっとLINE」の開設について
昨年度から始めた「教職員アウトリーチ型相談事業」は、臨床心理士等の相談員が小・中学校を訪問して面談(一人当たり年1~2回を)したとのこと。
その結果、「相談者は、業務の多忙感、人間関係の悩み、学習指導や生活指導上の悩み、保護者との関係等、多様な悩みを抱えている」ことがわかったと言います。
また、昨年の別の調査では、「同僚や先輩に気軽に相談しづらいと感じている教員が4割」に上るとも。
そこで、「教職員が気軽に業務上の悩みを日常的に相談できる窓口を設け、モチベーションを維持しメンタルヘルス不調を未然に防止」するため、LINEを通じて匿名で相談できるようにするのだと言います。相談員は臨床心理士等。必要に応じて専門窓口を紹介すると言います。
こんな愚策をよくも考えつくものです。
モチベーションを維持させない働かせ方をさせている都教委が、教職員に課している、何の役にも立たない書類の作成・提出をはじめとした管理支配を止めることです。
管理支配を止め、学校運営を各学校に任せれば、教職員は20年前までのように、職員会議や学年会議で話し合い、学校をつくっていくはずです。
そうなれば当然、モチベーションはあがっていき、子どもたちも生き生きとしてくることは断定できます。教育委員には、こうした視点から考えてほしいものです。
『レイバーネット日本』(2023-10-27)
http://www.labornetjp.org/news/2023/1026nezu
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