《予防訴訟をひきつぐ会 第10回総会から》
◆ 教育現場の状況報告
10.23通達発出から19年。2018年の入学式以降、不起立による処分は途絶えているが、学校現場への締め付けは留まるところを知らず、コロナ禍での卒入学式は、生徒や教員の命や健康よりも国旗・国歌を重視する都教委の異常さを鮮明にした。
2021年3月に提訴した東京「君が代」裁判五次訴訟は、すでに4回口頭弁論が行われ、そもそも「10.23通達」とは何だったのか、通達を出す必要があったのかが、問い直されている。再処分や再任用打ち切りという新たな事態も五次訴訟では争点になっている。
2021年はコロナ禍2年目で、若年層への感染が拡大し、時差登校や分散登校、自宅学習、オンライン授業などが行われた。全学年そろっての行事や宿泊行事は禁止され、生徒にとってかけがえのない学校生活が奪われた。
今高校に通う生徒は入学時からマスク生活が続いており、同級生のマスクをはずした顔を見たことがない。
教員も、コロナ感染防止のためのサーモグラフィーチェックや健康観察表、昼食指導などの業務でますます多忙になっている。
コロナ禍を利用した教育現場のIT化は加速している。
分散登校や自宅学習によって減少した授業を補うため、五教科の教員はオンライン授業をやらざるを得なくなっているが、当然オンラインで充分な授業はできない。
スマホでの授業視聴では学習効果を期待できない。通信状態が不安定でインターネットに接続できない家庭も多かった。
今年の入学生から、都立学校は、高校も特別支援学校も一人一台端末購入が義務付けられている。購入させたからには授業で使用しなければならないという圧力も教員にかけられている。今後様々な問題が出てくることは間違いない。
今年の1学年から高校でも新学習指導要領が実施されている。観点別評価が導入され、多忙化に拍車がかかっている。
1学年の使用する「現代の国語」では評論だけを扱うことになっていて、文学作品を掲載した第一学習社の教科書を採択した学校に対して、都教委は3月中に年間指導計画を提出するよう通知した。
4月に入ってからも、文学を扱っていないかどうかのチェックを、管理職がさせられている。これは明らかな行政による教育内容への介入である。
5月17日の朝日新聞朝刊は、「公立小中学校の教員の6人に1人が、勤務時間の記録を少なく書き換えるよう求められた」ことが調査結果で明らかになったと報じた。
記事には、公立小中学校教員の残業時間は月平均105.6時間に上り、過労死ラインを超えているとある。
教員の多忙化の原因の一つは教員不足だ。
5月7日の朝日新聞朝刊には「新年度公立で教員不足相次ぐ」という記事が載っていた。
都立特別支援学校でも新任者が配置されるべきところに配置されていないという事態が複数の学校で起こっている。
にもかかわらず、東京都では4%もの新規採用教員が1年目で雇止めになっている。
都立高校入試への英語スピーキングテスト導入など、教育現場の課題は山積している。しかし、過酷な労働環境の中、教員は目の前の仕事に忙殺されて、じっくり考えたり、情勢を分析したりすることができなくなっている。
教員を孤立させず、教育現場の問題点をあぶりだして、問題解決の方策を考える学習討論集会の取り組みが、今後ますます重要である。
『予防訴訟をひきつぐ会 第10回総会議案書【教育現場の状況報告】』(2022年6月11日)
◆ 教育現場の状況報告
10.23通達発出から19年。2018年の入学式以降、不起立による処分は途絶えているが、学校現場への締め付けは留まるところを知らず、コロナ禍での卒入学式は、生徒や教員の命や健康よりも国旗・国歌を重視する都教委の異常さを鮮明にした。
2021年3月に提訴した東京「君が代」裁判五次訴訟は、すでに4回口頭弁論が行われ、そもそも「10.23通達」とは何だったのか、通達を出す必要があったのかが、問い直されている。再処分や再任用打ち切りという新たな事態も五次訴訟では争点になっている。
2021年はコロナ禍2年目で、若年層への感染が拡大し、時差登校や分散登校、自宅学習、オンライン授業などが行われた。全学年そろっての行事や宿泊行事は禁止され、生徒にとってかけがえのない学校生活が奪われた。
今高校に通う生徒は入学時からマスク生活が続いており、同級生のマスクをはずした顔を見たことがない。
教員も、コロナ感染防止のためのサーモグラフィーチェックや健康観察表、昼食指導などの業務でますます多忙になっている。
コロナ禍を利用した教育現場のIT化は加速している。
分散登校や自宅学習によって減少した授業を補うため、五教科の教員はオンライン授業をやらざるを得なくなっているが、当然オンラインで充分な授業はできない。
スマホでの授業視聴では学習効果を期待できない。通信状態が不安定でインターネットに接続できない家庭も多かった。
今年の入学生から、都立学校は、高校も特別支援学校も一人一台端末購入が義務付けられている。購入させたからには授業で使用しなければならないという圧力も教員にかけられている。今後様々な問題が出てくることは間違いない。
今年の1学年から高校でも新学習指導要領が実施されている。観点別評価が導入され、多忙化に拍車がかかっている。
1学年の使用する「現代の国語」では評論だけを扱うことになっていて、文学作品を掲載した第一学習社の教科書を採択した学校に対して、都教委は3月中に年間指導計画を提出するよう通知した。
4月に入ってからも、文学を扱っていないかどうかのチェックを、管理職がさせられている。これは明らかな行政による教育内容への介入である。
5月17日の朝日新聞朝刊は、「公立小中学校の教員の6人に1人が、勤務時間の記録を少なく書き換えるよう求められた」ことが調査結果で明らかになったと報じた。
記事には、公立小中学校教員の残業時間は月平均105.6時間に上り、過労死ラインを超えているとある。
教員の多忙化の原因の一つは教員不足だ。
5月7日の朝日新聞朝刊には「新年度公立で教員不足相次ぐ」という記事が載っていた。
都立特別支援学校でも新任者が配置されるべきところに配置されていないという事態が複数の学校で起こっている。
にもかかわらず、東京都では4%もの新規採用教員が1年目で雇止めになっている。
都立高校入試への英語スピーキングテスト導入など、教育現場の課題は山積している。しかし、過酷な労働環境の中、教員は目の前の仕事に忙殺されて、じっくり考えたり、情勢を分析したりすることができなくなっている。
教員を孤立させず、教育現場の問題点をあぶりだして、問題解決の方策を考える学習討論集会の取り組みが、今後ますます重要である。
『予防訴訟をひきつぐ会 第10回総会議案書【教育現場の状況報告】』(2022年6月11日)
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