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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 問題が多い「奨学金の返還免除」に格差を設ける案

2024年03月10日 | 暴走する都教委と闘う仲間たち

 ★ 「出世コース教員だけ奨学金の返還免除」元中教審部会長の放言 (紙の爆弾)

 昨年6月16日、政府が閣議決定した『骨太の方針2023』は、「志ある優れた教師の発掘・確保に全力で取り組む」ために「奨学金の返還支援に係る速やかな検討」と明記した。
 これを議題にした12月26日の中央教育審議会教員養成部会の〝有識者ヒアリング〟では、元同部会会長の加治佐哲也・兵庫教育大学長が、「入職後、学校の中核的な人材として、能力を発揮したことをちゃんと証明する必要がある」と称し、「管理職(校長・教頭等)や〝主任〟の教員、教育委員会指導主事」だけを、奨学金返還免除の対象者にしろと放言。この〝出世コース〟を歩む者らへの優遇策に、小中高校・大学等の多くの教職員・保護者らから、反対の声が出ている。

 文部科学省管轄の独立行政法人・日本学生支援機構が事業者である奨学金は、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と定めた憲法第26条と、これを受けた教育基本法第4条3項に基づき、経済的理由により修学に困難がある学生等を支援する制度だ。
 1943年創設の財団法人大日本育英会の貸与型無利子奨学金(現在の第一種)に始まり、84年に旧文科省が有利子奨学金(同第二種)を創設。返還義務のない給付型奨学金は、大きく遅れ2017年度からの新設だ。

 同省は教員志願者数が少なかった53年度から小中、61年度から高校・大学等で教育職等に就いた人には、一定の在職期間等により「無利子奨学金の全部又は一部の返還免除」の制度を開始。だが全国の公立小中高校等教員の採用倍率が97年、8・8倍に上昇した翌年、同制度を廃止した。
 それから四半世紀、22年度採用の全公立小中高校等の教員採用試験の倍率(競争率)は過去最低(91年度と同率)の3・7倍で、特に小学校は2・5倍と深刻な低下ぶり。こういう状況下、『骨太方針』が出たのだ。

 加治佐氏は冒頭の発言に続けて、「学校改善等の実績、研究授業・発表、実践報告、校長による人事評価をポイント化し、日本学生支援機構委託の専門機関が(返還免除の是非を)評価・判定することをやるべき」と主張した。
 だが加治佐氏の言う〝学校改善〟等とは、文科省・教委が〝上〟から校長に指示する、教育内容や学校運営方針決定への介入(〝愛国心・君が代〟強制や自衛隊・米軍基地問題での政府見解教化等)に忠実な教員集団作りや官製研修推進だ。
 他方、校長から見えない所でも手作り教材を作成し授業改善を進めたり、日頃の授業実践を土・日に教職員組合の教育研究集会で発表したりする教員は少なくない。
 また加治佐氏の言う「ポイント化、委託機関の評価・判定」の新設は、学校の多忙化を加速させる一方、教育行政の人員を肥大化させるだけ。そんな時間と金は教員定数増に回すべきだ。教職志願者を増やすには、〝上〟からの教育の国家統制をやめ、一人一人の教員がやらされ感ではなく、やりがいを感じる学校作りへと、抜本的に変革しなければいけない。

(教育ジャーナリスト・永野厚男)

『紙の爆弾』2024年4月号

 


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