
☆ 朴壽南&朴麻衣共同監督『よみがえる声』を観て
皆様
こんにちは。増田です。これはBCC送信しています。重複・長文ご容赦を!
今、パソコン不調でワードが使えず、添付ファイルを作れないため、本文に全部、入れます。
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6月4日に件名ドキュメンタリー映画の試写会に行く機会に恵まれました。それから9日あまり…とつおいつ考え、考えしています。
どこかで、この映画の評判を知ってから「観たいな…でも重そう…」と思っていたんですが「やっぱり重かったなぁ…」という感想です。正直、日本人には辛い映画です。
他国の人たちに植民地支配という極悪犯罪・酷い暴力・反人道の行為をしながら、大日本帝国敗戦後80年経っても、本当の謝罪をして精算することができていない、私たちの国、日本国が続いているので…
でも、やっぱり、日本人は観るべき映画だと思います。
ネットで検索※すると概要は以下です。
● 作品概要
作家・映画監督の朴壽南(パク・スナム)は、1935年植民地時代に生まれた在日コリアン二世として、植民地と戦争の歴史の闇に葬られた声なき声を聞き取り、生涯をかけ映像に記録してきました。
広島の朝鮮人被爆者、沖縄戦に連行された朝鮮人元「軍属」そして、日本軍「慰安婦」。数えきれない証言を掘り起こしてきた彼女の元には、80年代から撮影し未公開のまま劣化してきた膨大な16ミリフィルムが積まれていました。
「歴史の真実を埋もれさせるわけにはいかないー」。娘は母と共にフィルムの復元にとりかかります。
『よみがえる声』は 娘であり10代の頃から母の上映活動に同行してきた朴麻衣(パク・マイ)が共同監督として参加。母の生涯の旅をたどりながら膨大なフィルムを復元し、歴史の記録に向き合います。
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のっけから、壽南さんと麻衣さんの激しい言い争いがありドキドキしました。こんな感じだったかなで…
「若者に、もっと分かり易くしないと」
「分かり易い、って何? そんなの意味ないよ」
「お母さん、カメラ回ってるのよ」
「相性が合わない娘だよ」
でも、母と娘でぶつかり合いながらも、共同協同して何十年にわたる記録フィルムを編集します。羨ましい母娘関係。
映画は壽南さんの生き方そのものを映し出しながら、大日本帝国の植民地支配と日本国の民族差別の被害者たちの声を見事によみがえらせていきます。
それは148分という長さを感じさせません。
壽南さんの作家としての出発点は小松川女子高校生殺害事件だったんですね。
1958年の事件なので、私は事件名と在日の少年が犯人で死刑になった、ということくらいしか記憶になかったんですが。
当時、彼女は朝鮮総連の雑誌記者をしていたので、それにこの事件を取り上げていたんですが…あるいは企画していたか、ちょっと記憶が曖昧になりました…総連の方から「朝鮮民主主義人民共和国への帰国事業もあり、日朝友好にヒビが入ってはいけないから」といわれ、記事にはできなくなったようです。
ん?…日朝友好はすごく大切で、被害女子生徒にはあまりにも痛ましく犯人に怒りが湧くのは人情ではありますが、植民地支配の結果の民族差別・就職差別が無ければ起こらなかった事件ではないかと思われ、この時、徹底的に日本人社会に考える機会を得られるようにたくさんの記事が発信された方が良かったのではないでしょうかねぇ…
壽南さんは文章だけで伝えることの限界を感じて、声を上げることができない人たちの証言映像を撮り始めます。
堤岩里虐殺事件(1919年4月)で夫を日本軍に殺されたおばあさんの証言に私は驚きました。
家族の方からは「認知症だから、証言は無理」と言われていたのに「晴れ着(チマチョゴリ)を出して」と言ってそれを着るとカメラの前で詳細にその記憶を語る…認知症になっていても絶対に忘れることのない、忘れることができない記憶…。
このおばあさんとその声を聞きながら「可視(聴)化」の重要性が分かりました。
今まで、文字でしか知らなかった遠くの事件…つまり、自分とは無関係な事件…が生身の人間として目の前に現れたのです。
こうして、長崎の被爆者、軍艦島の元徴用工、沖縄戦の朝鮮人元軍属、日本軍性奴隷の被害女性たちが、目の前で証言してくれます。
日本人の全ての人にこの映画を観て考えてほしい!
ただ、こう言い切ることに躊躇してしまう出来事も最近ありました。
私は近くのスパ&ジムに運動は全くせずに(笑)もっぱらサウナを利用しに通っていますが、そこで最近、こんな会話を耳にしました。
「今度の韓国の大統領って、また、反日の人みたいね」
「やーね」
私は内心「えっ?えっ?えっ?どうしてそうなるの?…」
とても明るく優しいおば(あ)さんたち…のように見える(笑)んですけど…でも「どうしてそうなるの」か、分かってはいるのです。
普通に生活している人たちの情報源は偏った一方的なテレビ報道だけですから。
そこからネット検索する人もいるかもしれませんが、バイアスのかかった目で検索しても、バイアスを強める情報しか、出てこないわけで…
こういう大日本帝国の植民地支配について基本知識・情報が全く無い日本人が観ると…ま、そういう人たちにはこの映画が存在するという情報自体、入っては来ないでしょうけど…反発を強めるだけになる可能性もあり…のような気も。
でも、きちんと事実に向き合える人には、ぜひ、観てほしい??
8月2日からポレポレ東中野で一般公開され、順次全国で公開されます。
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