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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

PISAで日本の生徒の読解力が低かったことと、現政権が「桜を見る会」を隠して逃げることは通じている

2019年12月21日 | こども危機
  =東京新聞【新聞を読んで】=
 ◆ 生徒の思考力と安倍内閣
寺町東子(弁護士、社会福祉士)

 二〇一八年に高校一年生を対象に経済協力開発機構(OECD)が実施した学習到達度調査(PISA)の結果が公表され、日本の生徒の読解力が低下していることが示された。
 特に、根拠を示して考えを述べる力、情報の真偽を見極める力が低いとのことである(12月4日朝刊1、3、5、6面)。
 一九年生まれの赤ちゃんの数は、一八九九年の統計開始から初めて九十万人を割り、過去最少となることが確実になったという(12月7日朝刊3面)。団塊の世代の三分の一しか子どもが生まれない時代に、子どもたちの論理的思考力やファクトチェックカが低下していることは、将来に不安を抱かざるを得ない。
 しかし、翻って考えると、日本社会でそうした力は、どれほど求められているのだろうか
 首相主催の「桜を見る会」の招待客名簿を今年五月に野党議員が内閣府に請求したその日に、内閣府は資料を廃棄し、残されていた電子データのバックアップも後に破棄したと回答していた(12月4日朝刊3面)。
 これは、国民の代表である国会議員の国政調査権に基づく記録の提出要求(憲法六二条)を無視し、国会(立法府)が内閣(行政府)をチェックする機能を無効化する行為である。
 また、「桜を見る会」に反社会的勢力とされる人物が参加していた問題で、第一次安倍内閣が〇七年に反社会的勢力の特徴を定義したにもかかわらず、一転「反社会的勢力の定義は一義的に定まっているわけではない」として、参加者の実態確認を拒否している(12月2日朝刊2面)。
 都合が悪くなると基準を変えてしまう手法は、実態調査による真偽判定や、論理的な当てはめとは対極にある姿勢だ。
 安倍内閣は、国有地の売却に関する利益供与が疑われた森友学園問題、獣医学部の新設に関し「総理のご意向」の影響が疑われた加計学園問題の際にも、疑惑解明の鍵となる文書を保存期間一年未満文書として廃棄したとして、事実確認を拒否してきた(11月29日朝刊29面、12月8日朝刊2面)。
 しかし、公文書の管理は、行政の透明性を確保し、法の支配(rule of law=権力を法で拘束することによって個人の権利・自由を擁護することを目的とする原理)を全うするうえで極めて重要な事項である。
 内閣が権力の恣意(しい)的な行使を疑われているときに、公文書を廃棄し、基準を変え、事実確認すらも拒否できるとなれば、行政の専横をチェックすることはできなくなる。
 このような大人の姿勢を見て育つ子どもたちに、論理的思考力ファクトチェックの重要性を訴えても、響かないだろう。
 隗(かい)より始めよう。

 ※この批評は最終版を基にしています。

『東京新聞』(2019・12・15)


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