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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

高等教育費の家計負担OECDトップ

2009年09月24日 | こども危機
 09総選挙 暮らし見つめて(1) 今回の数字「53%」
 授業料が払えない
 ■ 高等教育費の公的負担と家計負担 ■


 「常にお金の工面を考えている。もっと安心して学びたかった」
 埼玉県出身の信州大四年、A子さん(24)は悔しそうに話す。三人きょうだいの二番目で兄も弟も学生。病気療養中の父親(60)に代わり、母親(57)が事務の正社員で働き年収は三百万円台。祖母の年金も加え世帯年収は計六百万円を超える。
 だが、家計を気にして兄(26)は学費も生活費も日本より安い中国の大学へ。弟(23)は私立大だが自宅から自転車で通える大学を選んだ。A子さんは仕送りは受けず、月十万円の有利子奨学金と約二万円のアルバイト代で暮らすが、授業料(年間約五十四万円)の支払いは遅れがちだ。
 学費の安い海外の大学などへの進学でやりくりしていても、三人の授業料は多い年で年間計約二百十万円。奨学金を受けなければ、授業料は世帯年収の四割近くになる。
 さらに奨学金も「借金」だ。A子さんには、大学卒業時には五百万円以上の返済が待ち受ける。「大学院に進みたいが、これ以上借金が膨らむと返せない」と断念した。

 経済協力開発機構(OECD)調査(昨年)によると、日本では教育支出全体に占める家計負担割合が他の先進国と比べ高い。特に大学・大学院などの高等教育費に占める公的負担と家計負担の割合は、日本は家計負担が53%と加盟国ではトップだ=グラフ。
 欧州では教育は社会で支えるという考えから公的負担が多い。一方、日本の高等教育費の公的負担の対GDP比は0.5%と、データがあるOECD加盟二十八カ国中最低だ。
 日本政策金融公庫調査(昨年)では、教育ローン利用世帯の年収に占める在学費(学費・塾代など)割合は平均34%。低所得(年収二百万円以上四百万円未満)世帯では55.6%と、収入の半分以上が教育費に回る。
 東京地区私立大学教職員組合連合の新入生保護者アンケートにも、
  「共働きだが収入のほとんどが二人の子の教育費で消える」
  「収入が十年前より減り二人目の大学進学は無理」
  「卒業後の奨学金返済が不安。給付型奨学金や無利子貸与の充実を」
 など切実な声が寄せられている。

◆政策ここをチェック 教育は公か私か

 自民党は高校・大学教育については、給付型奨学金制度や就学援助制度の創設、低所得者の授業料無償化などを掲げた。ほかに幼児教育の無償化などを考えている。
 民主党は希望者全員が受けられる奨学金制度の創設、公立高校授業料無償化と私立高校生への助成、中学卒業までの子ども一人当たり月二万六千円の手当支給などを訴える。
 東京大大学総合教育研究センターの小林雅之教授(教育学)は「これから教育を将来への投資として社会全体で支えていくのか、それとも私的なものとして個人に背負わせ続けるのか。問われるのは『教育をどう位置付けるのか』という国の姿勢」と指摘する。
 「具体的には、教育に予算をどれくらい回すのか。返済不要な給付型奨学金か借金である有利子奨学金か。受給者は誰がどう決めて誰が配るのか」などの点をチェックして、政党の姿勢をみることが重要なようだ。 (井上圭子)

『東京新聞』(2009年8月12日【暮らし】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2009081202000070.html

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