★ 若者を再び戦場に送るな!(58)さらに悪化する英語スピーキングテストの実態
<転送歓迎>(重複ご容赦)・「新芽ML」・「ひのきみ全国ネット」
・「戦争をさせない杉並1000人委員会」・「杉並コモンズ」の渡部です。
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昨日(4月18日)、都議会議事堂会議室で、英語スピーキングテストに反対する集会が開かれました。
最初に、「入試改革を考える会」代表・大内裕和武蔵大学教授の報告がありました。
大内さんはその中で、これまでの経過を簡潔に報告し、昨年11月24日に行われたテストについて、次のように述べました。
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ブリティッシュカウンシルが実施のESAT-J(中学校英語スピーキングテスト)で
トラブル多発。255名(前年度の4倍以上)。
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そして、<反対運動の意義と成果>として次のように述べました。
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「中止を求める会」「入試改革を考える会」「保護者の会」といった
英語の専門家、教育学の専門家、現場教員、保護者といった
専門家と学校現場、市民による広範なつながりの運動が形成された。
2022年10月の「英語スピーキング議連」の結成はこの動きと連動しており、
「市民・都民と『英語スピーキング議連』議員との共闘」が形成された。
このことが「ベネッセ」撤退の要因の一つとなった。
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また、<運動の成果>として以下の3点を挙げました。
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(1)ESAT-J事業からベネッセを撤退させた。
(2)東京都以外の他道府県へのスピーキングテスト「入試活用」拡大を現時点まで阻止している。
(3)「日本で最初に英語スピーキングテスト入試活用を実現させた」と小池都知事が自らの成果としてPRしにくくなった。
→2024年の都知事選でもESAT-Jについて全く言及なし。
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さらに、<ESAT-J住民訴訟>について。
2022年11月21日に提訴され、
2025年6月23日に「弁論準備手続き(非公開)」が行われるが、
ベネッセトの契約の詳細をはっきりさせるため、都教委の教育監の証人尋問を要請中とのことでした。
最後に、<現在の状況と今後の課題>については、
前者では、
・試験の運営と試験監督の確保に困難
・会場責任者の「報告書改ざん」
・ブリティシュカウンシルの財政危機
・坂本雅彦・都教育長の都議会での「謎の答弁」
・「公教育の私企業化」という問題
が指摘され、
後者では、
ESAT-Jの問題点を分かりやすく、一人でも多くの都民に知らせることが重要ということが述べられました。
これを受け、「都立高校入試へのスピーキングテストの導入の中止を求める会」から、
『3回目のESAT-J 教員への負担増、矛盾を抱えながらの実施に現場は疲弊
~東京教育連絡会 東京都公立中学校教員170人の声から~ 』
が報告されました。
そこで、「1.スピーキングテストの業務で、困ったこと・負担を感じたことはどんなことですか」と聞いたところ、
〇申込作業(確任作業含む) 160(94.1%)
〇Web登録にかかわる作業 128(75.3%)
〇保護者対応・説明 124(72.9%)
〇不登校生徒への対応 90(52.9%)
以下略
などで、以下のような文書回答もありました。
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・電話対応とウェブ上で対応するものがわからない。
・サイトが非常に見づらく、分かりにくい。
・サイト、受験票、申し込みにトラブルやエラーが多い。
具体的にはYEAR2(二年生のテスト)と連携した際に番号や学校の表記がおかしくなる点や、その後どう変更すればいいか不明。
・並び替え機能や絞り込みの機能が不便。
・窓口で対応している人が何もわかっていない。
・当日機械トラブルで受験できなかった生徒への対応がひどい。
・登録にあたり、保護者対応やわからないことをといあわせましたが、担当の方が分からないことが多く、待たされるなど時間をかなり割かれました。
(中略)
・総じて、かなりの労力と時間を奪われた。現場丸投げの作業をなくしてほしい。
・これ以上、英語科だけの負担が増えることへ、断固として反対します!!
・来年以降もこの負担は耐えられません!!
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さらに、「スピーキングテスト当日や後日に、生徒や保護者からトラブルや困ったことなどの報告がありましたか」という設問には76の回答があり、次のように記載されていました。
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・「音漏れ、回答が聞こえる」「実施形態、待ち時間が長い」の他、
・「指示の不足や機械のトラブルのために失格、再試験になってしまった」に関する回答が多数あった。
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また、「ESAT-Jに関するご意見がありましたらお願いします」には、115の回答があり、その中には次のような回答が見られました。
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・システムが確立していないのに、実施しないでほしい。その状態で、中学生にとって大切な進路に関わる入試に絡めるのは問題だと思う。
・申し込みが複雑すぎる。教員の負担がとても増えた。
・何度声をかけても登録作業を行わない保護者がおり、担任の繰り返しの声かけに気分を害して嫌悪になる事例があった。
・このテストを今の形式で続けるならば、保護者の同意があれば、受験しなくてもよいようなゆるい仕組みにしてほしい。
・ESAT-Jをきっかけに保護者と学校の信頼関係が崩れるのは本末顛倒に感じる。
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今回は「テスト監督をやった方」や「保護者の方」(杉並区)からも上の事実を裏づける発言がありました。
また「英語スピーキング議連」の都議からの発言もありました。
いずれからも都議会でこうした実態について、都教委の坂本教育長に質しても彼はそれを認めず、「適正に実施」と繰り返していることが報告されました。
その後、質疑の時間になり、ある高2の保護者から、「学校で申し込みを忘れた」件についての詳しい発言がありました。
その顛末は割愛しますが、それに対する学校、都教委、業者の対応はみなひどく、無責任であることが分かりました。
私の属する「都教委包囲首都圏ネット」では今年2月に都教委委要請行動を行い、その中には、「英語スピーキングテストはやめてください」という要請もありました。
しかし、都教委は、こうした問題点には全く触れず、
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中学校の英語の授業においては、少人数・習熟度別の指導や、ペア・ワークやグループ・ワークなどの英語でコミュニケーションを図る工夫しているほか、
英語が堪能な地域人材や他校の生徒等と英語を用いた交流をするなど、効果的な指導を主体的に行っています。
これらの指導の充実と、その学習効果を確認するスピーキングテストの双方を実施することが
生徒の英語力を伸ばすことにつながることから、引き続きスピーキングテストの実施に取り組んでまいります。
(所管 グローバル人材育成部国際教育企画課)
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と回答してきました。
そこで、私がこれを読み上げ、紹介したところ、失笑が漏れ、元中学校教員が「少人数・習熟度別の指導」は結局能力別学習であり、指導内容・進度まで決められ教員の自由はなくなる、と述べていました。
私は、「私たちは納得がいかないので「再質問」をする予定です。みんなで声を上げて行きましょう」と述べました。
以上を読まれても、都教委のスピーキングテストがいかにデタラメで、生徒、保護者、教員たちがひどく振り回されているのが分かると思います。
ある英語科教員は、
「これ以上、英語科だけの負担が増えることへ、断固として反対します!!来年以降もこの負担は耐えられません!!」
と述べていました。本当に心からの叫びです。
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