連載：「国旗」をデザインしてみたら（４）

　＜シリーズ あの時＞
　☆ 「国旗」をデザインしてみたら（４）

遠藤 勝

　「国旗」をデザインしてみた次の週より毎週金曜日，６年生図工の授業の始まり５分程度の短い時間を使って「国旗・国歌」「日の丸・君が代」を考えていくことにした。
　当時は「国旗・国歌の法制化問題」が連日，新聞やテレビで報道され，国民の最大関心事になっていた。
　国旗・国歌を法律で決めるという，これまでになかったことが進行していた。２１世紀に生きる子どもたちにとって，一人ひとりが自分の意見や考えをもってもらう材料の一つとして事実をしっかりと知って欲しいと思った。

　資料としては，『ニュースステーション』『ニュース２３』『報道特集』などの番組の中から「国旗・国歌」に関するものをビデオ録画したり，新聞の投書欄を利用した。それらのタイトルを並べてみると，
　・世界各国に見る国旗・国歌論
　・広島の苦悩　日の丸・君が代を巡って…
　・所沢高校　今年も「分裂」卒業式
　・ＪＮＮ調査　「日の丸・君が代」の法制化
　・日の丸・君が代と法制化（日の丸・君が代の歴史・国立市での入学式のようす）
　・朝日新聞「声」欄の投書　「国旗と国歌は共感なければ」　など。
　子どもたちに感想や意見をもとめることはしなかった。「賛成」「反対」いろいろあることを基本に，一人ひとりが自分自身の考えを持ってほしいと願い，わたしの考えも一切言わなかった。

　「国旗・国歌法案」は，衆議院の内閣委員会で審議されることになった。その審議が始まる数日前，「もし，みなさんが国会議員だとしたら『日の丸』を国旗に『君が代』を国歌にと法律できめることに賛成ですか？反対ですか？」と，法制化の賛否についてのアンケートを行った。

　アンケートという方法なので答える答えないは，もちろん自由。だれがどのような回答をしたかは，だれにも知られないよう無記名とするだけでなく，投票箱にみたてた段ボール箱を用意し，その中に回答用紙を入れてもらった。
　それぞれ「賛成」「反対」「わからない」の３つから選択し，もしも理由・意見・感想があれば記入することのできる欄を設けておいた。
　その結果，「『日の丸』を国旗として法制化」は「反対」が５４％，「賛成」が１８％，「わからない」が２８％，一方「『君が代』を国歌として法制化」では「反対」が６８％「賛成」が１４％，「わからない」が１８％，ということになった。
　（続）

『ほっととーく　６５』より
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