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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

<萩生田文科大臣批判④・吉川はじめ議員のヒアリング報告1>

2021年06月18日 | こども危機
 ◆ 「政府見解条項」を「政府見解のみ記述させるルール」との大臣発言(5月12日)は
   誤りと認めながら、訂正せずの事実を教科書課が確認!

   皆さま     高嶋伸欣です


 先に一部分をお知らせしましたが、14日(月)午後に議員会館で、5月18日のWEB会議の内容などを、同会議で説明を担当した教科書課の企画官からのヒアリングに同席した折の内容を改めてお伝えいたします。
 概略は、添付の「参加記録」をご覧ください。

 ここでは、取り急ぎ主要なことから報告いたします。まずは、教科書会社に理不尽な強迫観念を植え付けたと思われる点についてです。
 1)5月18日WEB会議の異常性・違法性について

 ① 5月18日のWEB会議はあくまでも「通常の訂正申請と同じだが、ニュースなどを見逃すことがあってはいけないので情報提供が必要であると考えた~」などと説明をしていましたが、これまでに訂正申請についてこのような「臨時説明会」を開催した前例はないはずです。
 前代未聞の異例、異常であって、萩生田大臣案件として文科省官僚が「虎の威を借るキツネ」の文部省以来の伝統そのままに遂行したものであるように見えます。
  *上記の白々しい言い訳が、ブーメランになって後に教科書課を窮地に追い込むことになります(後述)。
 ② しかも、訂正申請は実務担当編集者と著作者が文科省側と調整するのがこれまでの通例ですが、あえて「教科書発行者の編集担当役員の皆様」と指定しています。
 このことだけでも、「この案件は通常とは違う。会社の命運を左右する事柄であると認識しろ」などという脅迫観念を植え付けることになったであろうと、容易に想定できる条件指定です。
 加えて「編集担当」とはいえ「会社役員」であれば出版・報道を業務とする企業においては編集権を尊重し、編集内容に介入することは避けるべき立場にあります。
 そうした社会的原則を保障する文化庁などを管轄下に置く文科省が、編集実務者の同伴を求めているのであればまだしも、「役員」のみの参加を指定していることから、文科省が憲法13条、21条、26条等の遵守姿勢を維持しているのか疑われます。
 2)さらに別途の脅迫観念を植え付けることになったと思われる説明を、WEB会議の際にしたことを、企画官は認めました。
 ① それは、仮にこの件で訂正申請をしない教科書会社があった場合には、「検定規則」14条4項にある「文科大臣がその訂正の申請を勧告することができる」との規程の適用も考慮される旨の答弁が国会で文科省からあったことについてです。
 ② 確かにそのような権限を大臣が行使できることになっていますが、検定は「書かせる検定」になっているとの以前からの批判を避ける意味でも、「余程重大なことについてでなければ、この条項は適用しない」と、教科書課は以前から明らかにしています(私が関わった07年の「集団自決」歪曲検定事件の折に教科書課がそのように説明しています)。
 ③ いわば「抜かずの宝刀」の如く威厳・威圧効果をもたせるものとして策定し、存続させている条項です。
 その効果を今回の件でも発揮させようとして、文科省は
   ア)官房長官の記者会見用の想定回答原稿に向け、この条項の存在情報を官邸に伝え
   イ)官房長官は5月10日の記者会見でその原稿に基づいた発言をし、14条4項による大臣権限の行使もありうるとの認識を広めるのに一役をになった
   ウ)12日の衆議院文科委員会で、維新の会の藤田文武議員が官房長官発言に触れ、文科大臣はこの件で14条4項の対応についてどうするのかを質問、
   エ)これに対し串田総括審議官「今後の発行者による申請の状況などを踏まえまて判断してまいりたいと考えております」と、答弁。
   オ)そのような質疑の経過が、議事録に記載された
 という経過をもたらしました。

 ④ 14日のヒアリングの場で、「14条4項は、『抜かずの宝刀』としての存在だと以前から聴いていたけれども、5月12日の委員会で文科省が「発行者による申請の状況などによって判断する、と答弁したことについてWEB会議では触れたのか」という旨、糺したところ「議事録の該当部分に併せて説明した」旨を企画官は答えました。
 ⑤ 前出のように14条4項は「余程重大なことについてでなければ、適用しない」とされているものですが、そのことに委員会で答弁した審議官は全く触れていません。
 さらに、WEB会議でその会議録に併せて14条4項に言及した企画官も全く触れていないということは「発行者の申請の状況などをによって判断する」という言い回しで、強迫観念を植え付ける「抜かずの宝刀」としての理不尽な効果を、萩生田大臣監督下の文科省官僚は発揮させていることになります。
 ⑥ ここで改めて指摘しておきたいのは、この件で申請をしない社があったとしても、文科省の官僚たちの間では、14条4項を発動させられると本気で思っているとは想定できないということです。
 所詮はコケ脅しの道具でしかない見せかけの刃を大上段に振りかざしたら、自らが大けがを負うのは必定と判断できないとは思えないからです。
⑦ たとえば、私たちが逆襲して、ことを”ヤブヘビ”の事態に持って行く材料の準備はできています。
 最新の素材の一つが、添付資料の育鵬社版公民教科書(現行版)の偏見と差別を助長しかねないカラム記述を、指摘されながら訂正申請の勧告を怠っている事例です。
 他にもさらに強力な、現在の検定制度も根幹を揺るがすことにもなりかねない素材の準備もあります。
 ⑧ そしてもう一つ。12日の委員会での審議官発言は、検定についてはすべて審議会の審議・議決に基づくという大前提を無視して大臣や事務方で決めることとしている点でも、現行の検定制度の建前を無視した越権行為、職権乱用に当たり、第3次家永訴訟の最高裁判決によって再確認された違法判断事例に該当します。
 「政府見解条項」で最高裁判決を『答弁書』の内容と同等に位置づけているのに、その最高裁判決に違法と判定される行政行為をまたも遂行しつつあるのが、目下の「従軍慰安婦」等記述問題であるということになる、と私は受け止めています。
 ⑨ このままでは、文科省が法的責任を問われることもありえます。教科書会社は強迫観念から解き放され、文科省側こそ強迫観念を自認してその解消策を至急に講じるべき状況にある。
 これがこの2)の私の結論です。

 *14日のヒアリングで確かめられた萩生田大臣と文科省官僚による言動の不合理・矛盾点はまだまだあります。
 長くなるので<萩生田大臣批判④・ヒアリング報告1>はここまでにします。

    以上は高嶋の私見です。ご参考までに。   転送・拡散は自由です

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