☆ 「汚染水」の海洋放出をやめさせよう
外山です。あまりにも腹立たしいので、投稿します。
いうまでもなく8月6日は広島に原爆が投下された日です。なんとその日に福島第一原発の汚染水の海洋放出を今月中に行う調整に入ったという報道がなされました。漁民の了解を得たうえで、という条件さえも反故にした形です。
(れっきとした「汚染水」)
あの「処理水」と呼ばれている水はデブリを冷やしてきた汚染水です。ALPS(多核種除去設備)でトリチウム以外の放射性物質を取り除いたといいますが、そんなことはありません。東電発表のトリチウムを除く告示濃度比総和のグラフ(2020年)を見ると72%(添付資料 C-14を含めると74%)が基準越えをしています。れっきとした「汚染水」なのです。しかし東電はこれを「処理水」と呼び変えました。
(汚染水は通常運転の温排水とは全く異なるもの)
もちろんこのまま海洋排水できないので二次処理して基準値以下にして放出する、残るのは「トリチウム」だけだと、問題を「トリチウム」問題のみにすり替えています。自然界にもあり、濃度を薄めれば問題ないだろうというわけです。トリチウム水は化学的には普通の水と変わりませんが、トリチウム元素(水素の同位体)は崩壊してベータ線を放出します。当然生物の体内に入ればDNAを傷つける可能性があります。もちろんトリチウム水は問題です。
同時に、二次処理しても処理しきれない核種があると、Exciteニュースで自民党・山本拓議員は言います。「トリチウム以外にも『ヨウ素129』『セシウム135』『セシウム137』をはじめ12核種が完全には除去できないことが明らかになっている」と説明、そして「12核種のうち11核種は通常の原発排水には含まれない核種」としたうえで、ALPS処理水は通常運転で生じた温排水とは「全く異なるもの」と断言しています。
(問題は放出される放射性物質の総量が示されないこと)
問題なのはそれだけではありません。現在タンクにある放射性物質がどれくらいあって、二次処理した後、環境に放出される放射性物質の総量がどれくらいになるか示されていないことです。生物への直接的な影響だけでなく、食物連鎖による影響なども心配されるところです。濃度を薄めて、1km先の海に捨てるというのは、ただ見せなくしているということです。
実害が生じる可能性があるから風評が生じるのです。
(議論されない陸上保管)
この汚染水放出にはおよそ30年かかるといいます。あくまで順調にいった場合であり、故障や事故はつきものです。また、その間に、また大きな地震がないとは誰も保障できません。しかも、3.11の地震による炉心溶融で原子炉を支えているコンクリートの台座は損傷を受け、鉄骨むき出しになっています。今後、ちょっとした地震によって圧力容器が落下するようなことがあれば、放射能被害は想像を絶するものになりかねません。
いまある1000基のタンクの陸上保管については、「大型タンク貯蔵案」とか「モルタル固化案」など具体的に示されていますが、まじめに議論されていません。
(汚染水の海洋放出をやめさせよう)
ではなぜ政府は海洋放出にこだわるのでしょうか。小出裕章氏(元京大助教)によれば、根っこはいまだに核燃料サイクルにあるようです。
1993年に着工し97年に完成するはずの青森県六ケ所村にある再処理工場ですが、完成が26回も延期され、2024年(来年)完成を目指しているといいます。小出さんは「六ヶ所村の再処理施設はトリチウムを海に流すと(いう条件で)認可されました。もし汚染水の海への放出が認められないのならば、再処理工場を動かせなくなってしまう」(共同通信)からだといいます。
六ケ所再処理工場が稼働した時のトリチウムの放出量はケタ違いに多いといわれています。核依存に政策転換したがゆえにやることがますます凶暴化してきています。
海洋放出をやめさせよう。たとえ放出が始まっても終わりではありません。
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