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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ 日本の年間国家予算の10数%かけて31年、「死に体」の六ヶ所村再処理工場

2024年07月22日 | フクシマ原発震災

  =『週刊新社会』【沈思実行(201)】=
 ☆ 虚妄の核燃料サイクル(下)

 15兆1千億円日本の年間国家予算の10数%
 これがひとつの工場の経費だとしたら、「なんの工場か」と驚く、と思う。青森県六ヶ所村に建設された核燃料サイクルの総経費だ。しかも、建設から31年経つてもピクリとも動かない、「死に体」の工場なのだ。
 9電力と日本原電が徴収する各家庭の電気料金から支払われている。だから電力会社が潰れないかぎり、いつまででも資金は続く。9電力と日本原電は独占会社だから、潰れる心配はない。
 原発は地震大国の日本には無理な産業だった。
 それでもさらに技術的に困難な再処理工場を捨てないのは、使用済み核燃料は全量「再処理する」と強調してきた、いわば「未来のエネルギー」のシンボルだったからだ。

 『日本の原発地帯』などの取材で、各地の原発や予定地をまわっていた時、「使用済み燃料はどうされるんですか」と質問すると、広報課員はえたりとばかり、「なあーに、青森県の六ヶ所村に持っていきますから」と答えた。
 それから40年が経っても、肝心の再処理工場はできず、結局、それぞれの原発敷地内に保存することになりそうだ。
 関西電力は、福井県の美浜、大飯、高浜の3原発の敷地内に、使用済み核燃料の「乾式貯蔵施設」を設置する計画を発表した。
 しかし、これは地元住民を裏切る行為である。「核のゴミ」は他所へ持っていきますから、というのが誘致の条件だったからだ。

「核のゴミ誘致許さじ然(さ)はあれど他所(よそ)ならよきやと人の問うあり」(小浜市・松本浩)

 各地の住民がたがいに押しつけあう、そんな対立を防ぐにはどうするか。脱原発運動の今後の課題だ。
 最終処分場ばかりか「中間貯蔵所」でさえ、建設反対の運動が根強い。
 すでに20年前に、杉山粛(まさし)むつ市長(当時)は、それまでの使用済み核燃料の持ち込みは、そのあとの再処理が前提という方針を、再処理なき「直接処分」でもよし、と変えた。
 これから、積まれる札束の高さによって、最終処分でも引き受ける、という自治体が出そうだ。「核権力」の強制である。

『週刊新社会』(2024年7月10日)

 

 


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