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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

病める教職員、病める生徒、その真の原因は都教委の施策そのもの

2011年12月28日 | 日の丸・君が代関連ニュース
《12・21予防訴訟をすすめる会による最高裁要請行動から》
最高裁判所第一小法廷裁判官殿
 ◎ 異を唱える教職員を行政が直接介入して排除しようとするもの
国歌斉唱義務不存在確認等請求上告事件・第2次採用拒否撤回訴訟原告 高槻玲子

 私はこの5月以後、[10.23]通達関連の一連の訴えについて最高裁判所が憲法19条に照らして合憲と判決をくだし、憲法26、23、13条がうたっている広い意味での「教育の自由」の保障、及び旧教育基本法10条が禁じてる「教育への不当な支配」あたるというという主張については内容に踏み込まず「上告の事由に該当しない」として棄却した事について到底納得しがたいと感じております。是非とも「教育の自由」「不当な支配」に踏み込んで検討し、判決を出される事を要請したく、その理由を2点について以下述べさせて頂きます。
 上記の一連の最高裁判決に対して、常々「日本国憲法の存在そのものを認めない」「命がけで憲法を破る」と公言してはばからない石原知事が、又「政治が厳格な規範を立てる」と叫び立てている橋下大阪府知事(現市長)が、各々「当然の判決だ」「きちっとした判断がでた」と評価したことは周知のことと存じますが、
その橋下府知事(現市長)率いる「大阪維新の会」なる議員集団と「10.23通達」の合憲判決に、我が意を得たりとばかりに石原都知事が教育への更なる介入に乗り出している、この間の最高裁判決はそのような役割を果たすものである、という事を強く認識して頂きたい、これが第1点です。
 既に国歌斉唱時の起立斉唱を義務づける全国初の条例を制定した(6月)橋下大阪府知事(現市長)が、“知事が教育目標を決め、現場を成果主義で競わせる”ことを目的に、「同じ職命に3度違反した教職員は免職」などの条項を盛り込んだ教育基本条例案と職員基本条例案なるものを大阪府、大阪市、堺市の議会に提出(9月)、大阪でのダブル選挙での勝利を背景に来春には成立させようと攻勢を強めていることはご承知のことと存じます。
 他方、石原都知事は“名門都立高校の復権”を掲げ、「特色ある学校造り」の名の下、能力主義的な考えに基づいて都立高校再編をなし遂げると共に、東京都の教育目標から憲法・教育基本法を削除、改訂教基法とこれに基づいて改訂された学習指導要領(H21.3)の教育目標~「公共の精神の育成」「伝統と文化の尊重」そのための道徳教育の充実~を重点目標とし、これを各学校において実現させるために、学校の教職員組織を校長の経営方針がスムーズに貫徹するよう、学校長~副校長~主幹~主任教諭~教諭というピラミッド型組織に作り替えることを着々と推し進めてきた。
 「10.23通達」とこれに基づく処分はこうした都教委の教育行政、即ち校長の経営方針に基づく学校経営に異議を唱える教職員を排除するという、いわば“見せしめ”という意味をもつ処分ともいえなくもありません。
 そして“「10.23通達」は合憲”との判決に意を強くした石原都知事=都教委は、「学校長の経営方針に基づく教科指導を組織的にマネイジメントする仕組みを構築するため」と称して、過日あらたに「教科主任制度」なる職制を導入することを打ち出しました。(「新たな都立学校改革推進計画(案)の骨子」として発表(11,4)、校長の指導(=実質的命令)を通じて実質的には都教委が教科内容に介入しようというわけです。教育内容への行政の介入!私達の最も恐れていたことにいよいよ着手したのです。
 最高裁判事の皆さん!
 “東京から”あるいは“大阪から”“日本を変える”と公言し、財政再建=公務員人員・賃金削減攻撃をうちあげることで都民や府民を引きつけつつ、議会での多数を頼みに、強権的ともいえる手法で、彼等流「教育改革」その本質はエリート育成のための能力主義教育、公共(実は国家)への奉仕的精神の育成をはかる道徳教育である)を推し進める、これを教育への不当な支配といわずなんと言うのでしょうか。
 東京での「10.23通達」による処分、大阪での教育基本法条例化による教職員処分は彼等の企図する「教育改革」なるものをスムーズに成し遂げる為に、それに異を唱える教職員を行政が直接介入して排除しようとする以外の何ものでもない、正に教育への不当な介入そのものです。
 第2点目に訴えたいのは「10.23通達」これに基づく教職員処分をもテコとして推し進められてきた石原都知事の「教育改革」によって教育現場がいかに過酷な状態になっているか、その実態を直視して頂きたいという事です。
 再雇用合格を取り消され、現場を離れて早や5年近い歳月が過ぎようとしています。しかし教育現場に働く多くの教職委員は、ますます過酷になる~教職員ばかりか生徒にとっても~学校現場の現実に悲鳴に近い叫び声をあげている、それが嘘偽りのない教育現場の実態です。
 それは直接的には、前述した都教委の施策を実現すべく、全ての校長が目に見える成果を求めて「数値目標」をたて(進学校なら有名大学への進学者数を、いわゆる底辺校なら、退学者数の削減・茶髪生徒数の削減等)その達成に全教職員を駆り立てるからです。そしてそのために校長を頂点とするマネージメントシステム(校長一副校長一主幹一主任教諭~教諭という上位下達組織)をつくり校長の方針に異を唱えようものなら即「戦力外通告」を言い渡され、他校への異動を強要される、又数値目標を達成できない教職員は“指導力不足教員”の烙印を押され、そのストレスで精神的、神経的な病に陥る教職員の数も年々増加の一途をたどっています。退職に追い込まれる新人教員も年々増加しています。(添付資料参照)
 当然生徒においても然り、学力や管理的な生活指導についていけず脱落する生徒は勿論、何らかの精神的病を抱えている生徒も増加しているのが実情ということです。(ちなみに2010年の自殺者は日本全国で31560人1998年以来13年連続で3万人台をキープ、内小中高生は315人(2010年)と増加傾向にあります。
 ユニセフ「日本では3人に1人の子供が“孤独”を感じている」と報告、大都市圏東京の実態がこれを上回るものである事は想像に固くありません。
 現在の教育現揚では1人1人の生徒の実態にふまえ人間的な関わりを基礎に教育に携わるという本来の営みは、出来なくなっているのが実情といわねばなりません。勿論「都立学校改革推進計画(案)の骨子」においても病める教職員、病める生徒への対応策を打ち出しています。しかし、その真の原因は都教委の施策そのものにある以上、対処療法でしかなく、根本的な解決にはほど遠く、効果は望めません。
 最高裁判事の皆さん!
 この間の一連の最高裁判決~とりわけ当初の3判決においては「10.23通達」とこれに基づく処分を合憲としつつも2人の方が反対意見を、7人の方が補足意見を出されたということは、少なくも最高裁は「教育という営みは強権的にはなされてはならない」という見識をもたれている、と受け止めています。補足意見を述べられた7人判事の内5人の方が「強制に踏み切る前に寛容の精神の下に可能な限りの工夫と慎重な配慮が望まれる」(須藤判事)と同趣旨の補足意見を述べられています。
 私の関わっている第2次採用拒否裁判(現在地裁で係争中)では被告である都教委弁護団は「不当なの介入」について以下のような論陣を張っています。
 ~「不当な介入とは国民全体でない一部の勢力による介入であり、具体的には政党、官僚、政界、労働組合などによる介入」であることからして都教委の介入は不当とは言えない、云々。
 しかし、そもそも戦後制定された憲法・教育基本法戦前の教育が時の政府(=軍部)の介入によって軍国主義的に歪められたことへの反省に基づいて策定されたものであり、不当な介入とは*時の政治権力の介入を禁じたものである、といえる。改訂教基法においてもその趣旨は変わるものではない。従ってたとえ選挙によって選ばれた都知事、その都知事によって任命された教育委員会だからといって、教育に介入する事は「不当」と考えるのが妥当と考えます。
 最高裁は年明け早々にも予防訴訟についての判決をくだすと聞いています。判決をだされるにあたっては、是非とも「不当な介入」に関しての内容の検討をいただき、公正な判断をお示しくださることを切に要請いたします。

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