2017 年第4回都議会定例会 文書質問
◆ 一、「日の丸・君が代」問題における東京都教育委員会の処分について
日本共産党東京都議団 とや英津子(練馬区選出)
Q1、小中高校教職員への長年にわたる「日の丸・君が代」の強制は、教育に欠かせない自由や自主性を奪ってきました。
東京では、入学式・卒業式などにおいて教師が国旗に向かって起立し国歌を斉唱しない、音楽教師において伴奏を拒否するなどのことがあれば懲戒処分にしてきました。このような対応のもとになっているのが2003年に定めた10・23通達です。処分された教職員は、のべ480名余にのぼります。
この背景には、国旗国歌法の制定があります。世論を二分したこの法律制定当時、政府は、「義務付けは行わない」「無理強いして斉唱させれば内心の自由に関わる」旨を繰り返し答弁していました。ところがその約束をふみにじり、都教委は小中高等学校での強制をエスカレートさせてきたのです。
もともと「日の丸・君が代」は戦前日本の侵略戦争のシンボルとして使われたもので、拒否感をいだく国民は少なくありません。
児童・生徒の目の前で教員の一挙手一投足を監視し、国旗・国歌に対し、特定の態度や行動を示せと強制することが、憲法に保障された思想・信条・内心の自由を侵し、子どもたちの教育をゆがめ、教員にどれだけの苦痛を与えるか、火を見るより明らかであります。
こうしたもと、都教委の処分を不服として多くの教職員が立ち上がり、訴訟へと発展しました。
東京地方裁判所は今年9月15日、職務命令違反を理由とする懲戒処分の取り消しを求めた裁判の判決を言い渡しました。
今回の判決は、訴訟を起こした都立学校の教員14名のうち、6名7件の減給と停職処分は相当性を基礎づける具体的事象がなく、社会通念上著しく妥当性を欠き、懲戒権の範囲を逸脱・濫用にあたり違法であると、不起立の回数のみを理由とする加重処分を断罪しています。
これで、これまでに10・23通達関連で確定した処分取り消しは、73件63名にのぼります。
東京都教育委員会として処分取り消しの判決の内容をどのように認識していますか。
Q2、東京都教育委員会はこの間、処分取り消しが確定した教員に対して事情聴取を行い、もう一度、今度は戒告処分を行ってきました。
今回もまた、新たに処分を検討するための弁明の機会などと言い、教員の苦痛に一切寄り添うことなく、事情聴取がおこっています。
事情聴取では呼び出された教員がメモをとることを「記録を一本化するため」などと言って認めず、メモを取り続けると、事情聴取を拒否したと見なすと聴取を打ち切ったそうです。
事情聴取についてはこれまでも、「こんな人権侵害はありえない」と抗議をすると管理主事から「東京ではそうしている」との返事が返ってくる。
さらに「例えば警察でもメモを取ることは認めていません」との発言もあり「私は犯人扱いですか」と抗議した教員もいたと聞いています。
この事実を認めますか、お答えください。
Q3、このような人権侵害に匹敵する態度は許されるものではありません。このような態度を謝罪し、改めるべきです。
Q4、東京都教育委員会は、戒告処分については最高裁判決に従って対応しているとしています。
しかし、2012年の最高裁判決では裁判官から反対意見が出ており、「たとえ戒告処分であっても懲戒処分を科すことは、重きに過ぎ社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を逸脱し、またはこれを濫用するもの」であって違法となるとの判断を示しています。さらに、多数意見においても、戒告処分について「これを当不当の問題として論ずる余地はありえる」とされており、無条件に戒告処分を容認したものではありません。
また、同年の「いわゆる予防訴訟」における補足意見では、いたずらに不起立と懲戒処分が繰り返し行われていく事態が、教育現場のあり方として容認されるものではないと指摘し、自由で闊達な教育が実施されるよう努力することを求めています。
こうした意見を真摯に受け止めるべきではありませんか。教育委員会の見解を求めます。
Q5、都教委は2003年の通達に基づく職務命令に従えない教職員に対し、職務命令違反1回目は戒告、2,3回目は減給、4回目以降は停職と回数を重ねるごとに懲戒処分を重くするやり方をつくりあげてきました。
2012年の最高裁判決で、2回目以降の不起立に対する減給以上の処分が取り消されて以降、今度は3回目までを戒告とし、4回目以降の不起立に対して減給処分とする取り扱いをしています。
結局、都教委の態度は処分ありきなのです。
そもそも、10・23通達・職務命令・懲戒処分は、思想良心の自由を保障する憲法19条、信仰の自由を保障する20条、教育の自由を保障する23条、26条に違反し、教育基本法16条違反に該当しています。
直ちに10・23通達を廃止し、教育現場での「国旗・国歌」の強制をやめ、学校現場で自由な教育が実施できるよう、教育行政のあり方を抜本的に改善することを求めます。
Q6、都教委はホームページ上で懲戒処分をはじめ処分が科された情報などを公表していますが、裁判で処分が取り消されたことについては未掲載です。
他の局は住民訴訟の内容や結果を公表しており、これでは都教委として都民への説明責任を果たすことはできません。とりわけ訴訟結果については、本人の名誉に関わる問題です。訴訟結果は公表すべきです。
◆ 一、「日の丸・君が代」問題における東京都教育委員会の処分について
日本共産党東京都議団 とや英津子(練馬区選出)
Q1、小中高校教職員への長年にわたる「日の丸・君が代」の強制は、教育に欠かせない自由や自主性を奪ってきました。
東京では、入学式・卒業式などにおいて教師が国旗に向かって起立し国歌を斉唱しない、音楽教師において伴奏を拒否するなどのことがあれば懲戒処分にしてきました。このような対応のもとになっているのが2003年に定めた10・23通達です。処分された教職員は、のべ480名余にのぼります。
この背景には、国旗国歌法の制定があります。世論を二分したこの法律制定当時、政府は、「義務付けは行わない」「無理強いして斉唱させれば内心の自由に関わる」旨を繰り返し答弁していました。ところがその約束をふみにじり、都教委は小中高等学校での強制をエスカレートさせてきたのです。
もともと「日の丸・君が代」は戦前日本の侵略戦争のシンボルとして使われたもので、拒否感をいだく国民は少なくありません。
児童・生徒の目の前で教員の一挙手一投足を監視し、国旗・国歌に対し、特定の態度や行動を示せと強制することが、憲法に保障された思想・信条・内心の自由を侵し、子どもたちの教育をゆがめ、教員にどれだけの苦痛を与えるか、火を見るより明らかであります。
こうしたもと、都教委の処分を不服として多くの教職員が立ち上がり、訴訟へと発展しました。
東京地方裁判所は今年9月15日、職務命令違反を理由とする懲戒処分の取り消しを求めた裁判の判決を言い渡しました。
今回の判決は、訴訟を起こした都立学校の教員14名のうち、6名7件の減給と停職処分は相当性を基礎づける具体的事象がなく、社会通念上著しく妥当性を欠き、懲戒権の範囲を逸脱・濫用にあたり違法であると、不起立の回数のみを理由とする加重処分を断罪しています。
これで、これまでに10・23通達関連で確定した処分取り消しは、73件63名にのぼります。
東京都教育委員会として処分取り消しの判決の内容をどのように認識していますか。
Q2、東京都教育委員会はこの間、処分取り消しが確定した教員に対して事情聴取を行い、もう一度、今度は戒告処分を行ってきました。
今回もまた、新たに処分を検討するための弁明の機会などと言い、教員の苦痛に一切寄り添うことなく、事情聴取がおこっています。
事情聴取では呼び出された教員がメモをとることを「記録を一本化するため」などと言って認めず、メモを取り続けると、事情聴取を拒否したと見なすと聴取を打ち切ったそうです。
事情聴取についてはこれまでも、「こんな人権侵害はありえない」と抗議をすると管理主事から「東京ではそうしている」との返事が返ってくる。
さらに「例えば警察でもメモを取ることは認めていません」との発言もあり「私は犯人扱いですか」と抗議した教員もいたと聞いています。
この事実を認めますか、お答えください。
Q3、このような人権侵害に匹敵する態度は許されるものではありません。このような態度を謝罪し、改めるべきです。
Q4、東京都教育委員会は、戒告処分については最高裁判決に従って対応しているとしています。
しかし、2012年の最高裁判決では裁判官から反対意見が出ており、「たとえ戒告処分であっても懲戒処分を科すことは、重きに過ぎ社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を逸脱し、またはこれを濫用するもの」であって違法となるとの判断を示しています。さらに、多数意見においても、戒告処分について「これを当不当の問題として論ずる余地はありえる」とされており、無条件に戒告処分を容認したものではありません。
また、同年の「いわゆる予防訴訟」における補足意見では、いたずらに不起立と懲戒処分が繰り返し行われていく事態が、教育現場のあり方として容認されるものではないと指摘し、自由で闊達な教育が実施されるよう努力することを求めています。
こうした意見を真摯に受け止めるべきではありませんか。教育委員会の見解を求めます。
Q5、都教委は2003年の通達に基づく職務命令に従えない教職員に対し、職務命令違反1回目は戒告、2,3回目は減給、4回目以降は停職と回数を重ねるごとに懲戒処分を重くするやり方をつくりあげてきました。
2012年の最高裁判決で、2回目以降の不起立に対する減給以上の処分が取り消されて以降、今度は3回目までを戒告とし、4回目以降の不起立に対して減給処分とする取り扱いをしています。
結局、都教委の態度は処分ありきなのです。
そもそも、10・23通達・職務命令・懲戒処分は、思想良心の自由を保障する憲法19条、信仰の自由を保障する20条、教育の自由を保障する23条、26条に違反し、教育基本法16条違反に該当しています。
直ちに10・23通達を廃止し、教育現場での「国旗・国歌」の強制をやめ、学校現場で自由な教育が実施できるよう、教育行政のあり方を抜本的に改善することを求めます。
Q6、都教委はホームページ上で懲戒処分をはじめ処分が科された情報などを公表していますが、裁判で処分が取り消されたことについては未掲載です。
他の局は住民訴訟の内容や結果を公表しており、これでは都教委として都民への説明責任を果たすことはできません。とりわけ訴訟結果については、本人の名誉に関わる問題です。訴訟結果は公表すべきです。
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