政府は介護報酬を引き下げようとしています。介護報酬とは特別養護老人ホーム(特養)や、いわゆるデイケアサービスなどを行うサ―ビス提供業者への、サービスの対価です。介護報酬は3年ごとに見直すことになっていますが、来年4月はその見直しの時期にあたっています。今回は、財務省が「6%」と具体的数字を挙げ、前例のない大規模な報酬削減を要求するなど、安倍政権の強硬姿勢は歴代政権のなかでも突出しています。
政府は特養ホームの経営がよいから報酬を下げると言っています。しかし、全国老人福祉施設協議会の調査によると、特養ホームは今でもその3割近くが赤字だそうです。さらに、政府が計画しているような6%の報酬引き下げが行われると6割近くが赤字に転落すると言っています。
特養ホームなどの施設は人手不足に悩んでいます。賃金が安いので人が集まらないのです。もし政府が言うように介護保険施設の経営が豊かならば、賃金を増やして職員を増やし、経営を拡大するでしょう。しかし今の経営状態ではそれが出来ないのです。
また特養ホームは不足しています。現在特養ホームに入る必要があるのに入れない待機者は、52万人に上ると言われています。それにもかかわらず特養ホームが増えないのは経営状態が悪いからです。もし政府が言うように経営状態がいいならば、経営者はもっとたくさんの特養ホームを建てて、金儲けをしようと考えるでしょう。しかし現実には増築する余裕などないのです。
以前にこのブログに書いたように、政府は介護保険のサービス自体を切り詰めようとしています。「要支援」の人たちに対する介護保険サービスをなくし、市町村に丸投げしようとしています。これは高齢者に対するサービスの切り捨てです。
政府はまた、介護保険サービスを受けるときの自己負担金を1割から2割に上げようとしています。ほかにも自己負担の値上げを計画しています。自己負担を増やすことで利用者数を減らしたいと考えているのでしょう。
政府は、その「骨太の方針」で社会保障費を「聖域なく」減らすと宣言しています。分かりにくいかもしれませんが、高齢者の人口が増えると医療費も、介護費用も増加するのは自然なことです。政府が「聖域なく」と言うのは、この高齢者人口増による「自然増」も許さないと言うのです。裏返せば、一人当たりのサービスは減らすということです。
政府は、ふたこと目には「財源がないから」といいます。しかしその口の下で、大企業に対する減税を予定しています。富裕層に対して税負担を求めることもしていません。やるべきことをやらずに「財源がない」と言い訳するのは、どこを向いて政治をしているのかと問いなおさなければならないでしょう。
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