香川県ベネッセアートサイト直島。
直島・家プロジェクトの4つめ『
護王神社』について。
江戸時代から祀られている護王神社の改築にあわせ、本殿と拝殿の建物、また拝殿の地下の石室の設計を手がけたのが
杉本博司氏!杉本氏が撮影した、いや創り出した写真たちを鑑賞したことがある人ならば、“彼が設計した護王神社です”と述べただけで上記の写真を食い入るよーに見るだろうね。ちなみにこれらの写真はボクが撮影したものだけどさ笑、当然か。杉本氏の作品群には“神仏”をテーマにしたものが多々ある。この“護王神社”もその1つであるが、あまりのアート性の強さに「しょせんカミもホトケもないかぁ…苦笑」と思うが、しかし、彼の作品に出会った後の帰り道の清々しさといったら、まさに寺巡りなど神仏の場を訪れた後の爽快感と似たり。杉本氏の作品についてはまた述べたい。さてさて、護王神社だけども-。
“護王神社”は本村(ほんむら)という集落の中で社寺仏閣が集中する城山の山頂にある。家プロジェクトの1つである“角屋”から見える鳥居、そこから石段を登っていくのさ。ハァハァ言いながら登り切ると、左側になんとアーティスティックな神社。本殿に結ばれた硝子の階段が有名なこの場所だが、なによりも少し違和感を感じるこの一体全部が“不思議さ”と“アート”を感じる。誰もいなかったので静寂に包まれたこの場所の本来の良さであろうものを楽しむことが出来た。
それから、
この拝殿の向かって右下に、もう一つのスポット、護王神社“
石室”があるのさ。ここへはスタッフのおじちゃんが案内してくれるんだけど、普段は楽しめないんじゃないかな、人が込んでて。なんと恵まれたことでしょう貸し切り状態で、ボクが想う
直島で最も感動を覚えるこの場所を心ゆくまで楽しめた!
ノーマル体型の人間がギリギリ入れる横穴(護王神社境内の下に掘られている)を通って奥へ。この洞穴は四方が建築家
安藤忠雄風のコンクリートで作られており、全く恐怖感を感じない。懐中電灯を持って奥に進んでいくと岩盤があり、それからまたここにも硝子の階段がある。薄暗い中に透明な階段。それは神秘的な世界でね、美しい。自然と現代アートを上手く調和させた素晴らしき作品、いや景色だと思った。そして、それからそれから、この横穴を出口に向かって歩く…その目の前に広がる光景!!!!
それはまさに“神秘”という名のものだった。
自分の横幅しかない真っ暗な横穴、その出口に広がる景色、
それは定規でひかれたかのような真っ直ぐな
水平線。
この横穴は目の高さに水平線がくるように設計させているとか。
しかし、この景色はね、人間の生の目でしかシャッターを切れない、そんな美しさ。決してカメラでは抑えることが出来ない感動。そこには“誰も”存在しないことが前提だけどね。杉本氏の代表的作品シリーズである“海と空を水平線で二等分割する写真”を想わせる、その景色が目の前に-。
出口から出れば、そこは暗闇からではなく、
光に包まれた場所から観る水平線。
“目の高さに水平線”。
この限りなく神秘的で、美しい景色に心底感動したボクでした。
たぶん、ここが人で賑わっていたら、その感動は少し薄れたものになっていたかもしれないが、静寂の中で出会ったこのアートにボクは心から感謝しまする、“素晴らしかったぁ、一生忘れない”。
最後にもう一度、護王神社の本殿に礼拝。
ココから見る海はほんの少しだけ、水平線がずれてら。。。