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南寺【深き暗闇の静寂】。

2009-01-03 23:58:59 | 美術館・博物館・シネマ。
直島・家プロジェクトの『南寺』について。

南寺は、その設計を手掛けたのが安藤忠雄氏であるが『安藤忠雄=コンクリート』の公式に反した木造建築で、外見は炭色の木造倉庫のようである。ココは1度に入場できる人数が少なく、しかも鑑賞に時間を要するために人数制限が激しい。入場可能時間が記載された整理券が配られる。今日の早朝においては鑑賞客が少なく、待ち時間無く入場出来た!

入口から…その中は真っ暗で、全く何も見えない。
自分が立ってる場所も理解出来なくなり、一歩踏み出すことさえ恐怖を覚える。この状況で、視覚で確かめることが出来ない“壁”を手で触れながら少しずつ内部へと進んでいく。少しずつ…少しずつ…、すると、ベンチらしきものが脚にカツンッ。脚にあたったベンチに座り、“静寂”の空間を過ごす、これが南寺での鑑賞。全くの静寂と、全くの暗闇。ただ、ただ、ただ“自分”というものの存在だけが感じられる。ボクの両目は真っ黒に塗られた世界で“黒”以外の何かを探そう必死に活動、そして頭も-。
静寂の空間で過ごすこと10分。
遠くの方に長方形をした光のスクリーンを感じられるようになる。目が暗闇に慣れてから出会う“わずかな光”、それは初めから存在していたのに-。このスクリーンが、ジェームズ・タレル氏の作品“バックサイド・オブ・ザ・ムーン”。

“光をモノとして感じてほしい。”という作者、しかし、ボクはむしろ“闇をモノとして感じた”空間であったように想う。何も見えない恐怖感と、妙に落ち着く静寂。この空間におかれた時、ひとは何を考えるのだろう。ボクは-、それは内緒だが、ここでしか出来ない思考の世界へ到達した。“自分を考える”、そんな時間が南寺には存在している。

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