人生とは美しく刺激的なリッチ。

へんてこでも自分らしい生活。
美に感動、優に感謝、心に感性。

一流の男、二流の男。

2012-07-02 19:37:30 | 書籍。
・一流の男、二流の男 里中李生(三笠書房)


一流の男とそうでない男との違いは、たったひとつ。
その人に信念があるかないかである。
あるいは、その人の人生に哲学があるかないか、と言ってもいい。

当作品はやや作者の先入観と主観が濃く違和感を感じる部分があるものの、全体としては参考になり、大変面白かった。人生に対し哲学と計画を持って歩むことこそ一流の男であるとボク自身も考えていたし、まさにその通りだと思う。日々に目標をもち、将来に達成地点を予定し、哲学を常にもつ。一目置かれる男とはー。読み応えある一冊だったと思う。

媚びない人生。

2012-06-15 19:47:00 | 書籍。
・媚びない人生 ジョン・キム(ダイヤモンド社)



従順な羊ではなく、
野良猫になれ。
人生の価値は、自分が自分をどれほど信じたかで、決まると思う。だから、何があっても自分に対する絶対的な信頼を失わないことだ。


自然体な自分に本気で向き合えた一冊だった。
久しぶりに言葉一つ一つ全てが心に響いた作品だった。
常識とか、社会性とか、そんなものは環境が変われば変化するもの。だから、周囲にとらわれない不可侵な絶対的自己基準を持ち続けること。変わらない、変えない価値観。社会の中で、媚びず、自分らしさを貫くことは強靭な精神が要される。だが、自分自身を征し、自己をコントロールして、自分なりの幸せの基準を作り上げる。
ポジティヴな人世に、幸福な花道を作り上げる一冊。素晴らしかった。

オリンピックの身代金。

2011-11-21 21:48:24 | 書籍。


・オリンピックの身代金(上)(下) 奥田英朗 (角川文庫)


舞台は東京オリンピック開催を目前として、沸きに沸き立つ昭和39年の東京。
活気と高成長を感じられる経済ぶりの一方で、過酷な労働状態と尊厳を奪われた低所得者の労働環境。アジアの優等生としてオリンピックの成功に奔走する日本社会に対して、アンチを掲げて都内で爆破事件を続ける主人公。東京オリンピックを成功させ、その後もアジアの模範として成長を続けていた頃を知らないボクとしては、描かれている舞台が面白かった。

ちょうど現在、再び東京でオリンピックを開催しようと都知事さんが取り組んでおられるが、この物語に描かれているような世俗の盛り上がりは起こるのだろうか―。活き活きとして、成功に向けて一致団結する国民。果たして―。ボクは見てみたいな、オリンピックに沸き立つジャパンを。

ストーリーはスピード感もあり、背景魅力も加わって一気に読み終えられた。が、クライマックスは少々残念だったとボク個人は思ってます。

鉄の骨。

2011-11-20 18:53:20 | 書籍。


・鉄の骨 池井戸潤 (講談社)


中堅ゼネコン『一松組』の若手社員、富島平太が異動した先は“談合課”と揶揄される部署だった。現場しか経験が無い平太が知った新たな世界…、それは会社の存亡を左右する綺麗事では済まされない裏経済であった。談合は“悪”である―、それが世間での一般的イメージであり、当物語では銀行員が“談合”の世間的評価を代表して口にする設定となっている。しかし、なぜ建築業者は談合を脱しない―? 業界内人と業界外人(世間)との“談合”に対する評価と必要性の壁―、談合を取り巻く逃れられない柵、そんな普段は知ることの出来ない建築世界の一部分を本作品を通して垣間見ることができた。

ゼネコンから―、ゼネコンマンから―、銀行員から―、世間から―、東京地検から―、各々の立場からの“談合”に対する評価と必要性がこの一冊内に上手く描かれている。そして、特に胸を打つのがゼネコンマンである平太が胸に抱く談合に対する評価と考え方。悪とわかっていても、会社を守る為に突き進まざるを得ない悲しき一サラリーマンとしての立場も同時に描かれている。立場が変われば意見と視野が変わる。各々には各々の世界がある。談合は―。

とにかく面白かった。
建築業界にお勤めの方がどう評されるかはわからないが、とてもわかり易く、物語として素晴らしいと思う。


空飛ぶタイヤ。

2011-08-17 19:49:13 | 書籍。



・空飛ぶタイヤ(上)(下)  池井戸 潤 (講談社文庫)


これは面白いっ!!
超面白い、素晴らしい書籍に出会ったって感じです。
『下町ロケット』もそうだけど、池井戸さんは期待を裏切らず、なんと面白い作品を創り上げてくれるんだろう!と感謝です。
物語は、中小企業運送会社のトレーラーのタイヤが外れて歩行者の母子を直撃。被害者となったのは亡くなったその母親だけではないことが描かれていく。加害者側である運送業者の社長は、トレーラーを購入したホープ自動車が出した『事故は運送会社の整備不良』の結果に納得出来ず、真相解明に走り出す。そこに立ち塞がる大手自動車会社論理の壁。“大手”というだけで世間から庇護を受け、逆に冷たい風を受ける運送会社。金融機関、教育機関、大会社と弱小企業との関係、あらゆる社会問題を上手く描き切っている素晴らしい物語となっている。物語に登場する大手自動車会社や銀行は、読めば何処をモデルとしているのかスグにわかる。そして、この物語は完全なるフィクションではなく、過去に実際にあった事件を物語に取り入れている為に理解しやすく、またその分、面白さが増進される。結末はまたまたスカッとするハッピーエンドで、これは寝る間を惜しんで読み進めたくなること間違い無しです。

図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1)。

2011-06-02 23:05:13 | 書籍。


・図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1)  有川 浩(角川文庫)

今、大ブレイクの有川浩氏の長編シリーズを遂に読み始めました。
奇想天外な発想に脱帽の世界が展開。
取り敢えずシリーズ第一巻を読破。
内容は数巻読み進めてからにしよう。
とりあえず、けっこう面白いというのが感想。

八日目の蝉。

2011-05-27 23:12:49 | 書籍。
・八日目の蝉  角田光代(中公文庫)


蝉は何年もの間、土の下で過ごした後、やっと地上に出てくる。
しかし、地上で過ごすのは僅か7日間。
僅か7日間の人生って生まれてくる意味があるの-?
あまりにも虚しすぎる生涯に思える。

しかし、もし蝉に八日目の人生があるとしたら…。
他の蝉には見られなかったものがそこには待っている日。
八日目の人生-。
幸せがあるのだろうか-。
『八日目の蝉』。この題名に惹かれて当作品を手に取った。
書籍の表紙を眺めていると、上記のことが頭を巡ったのさ。

作品内容は、野々宮希和子が不倫で授かった命を堕胎、結果として子を産めない身体となってしまう。幸せな生活を夢みていた彼女は不倫相手の子供を誘拐。その後は誘拐した子供を連れて逃げ回る人生。しかし、その子の幸せを考える希和子の姿は正に“母親”そのものである。母と子の“愛”のカタチが展開されていく。


優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした。。。


第二章は、誘拐犯として希和子が逮捕された後の世界が展開されている。希和子によって育てられた恵理菜は本当の両親のところに戻り、大学生となっている。母親になれなかった本当の母親、どんな人を母親というのか知らない恵理菜…、戸惑い苦悩する母子の姿があまりにも切ない。家族のカタチや、愛情の意義、色々なことを考えさせられる傑作品であった。題名の素晴らしさに名負けない物語であった。

プリンセス・トヨトミ。

2011-05-22 21:45:37 | 書籍。
・プリンセス・トヨトミ 万城目 学(文春文庫)

大阪府民だけが知る“伝統”の大阪国。
東京を中心とする“日本国”の国家権力により、大阪国のベールの扉が開かれようとする。その時、大阪が全停止-。ファンタジー溢れる設定は非常に面白いが、何処か文章に滑らかさが無く、オフロードを走行しているようなぎこちなさ。余計な設定説明や状況描写が多いせいかな。それでもワクワクしながら最後まで読み進めることが出来たのは、やはりこの非現実的で突拍子もない物語設定の興味深さだろうな。最後は少し尻窄みな呆気ないクライマックスとなっているのがちょっと残念。当作品は映画化され、来週あたりから全国上映されるのかな。見に行きたいような、興味無いような。

日本は世界4位の海洋大国。

2011-05-13 18:38:23 | 書籍。
・日本は世界4位の海洋大国  山田吉彦(講談社新書)

国土の狭い我が国“日本”。しかし目を海に向けると、その領海・排他的経済水域(EEZ)の面積はなんと世界第6位。これに深さの要素を加えた三次元的「海の体積」で比較すると世界第4位になるという。しかも、この大きな海は“偉大な力”を持っている。世界で3本の指に入る豊かな漁場、また海域に埋蔵する無尽の資源。国内消費量94年分のメタンハイドレードが海底や砂層の孔隙に存在するのをはじめ、黒潮は原子力発電で使われる年間8千トンの600倍以上のウランを運んでくる。海底には世界の注目を浴びるレアメタルが蓄積されており、まさに“眠れる日本の海”なのであるとのこと。ちょうど今、原発問題が発生し、その部門に於いては疑問を投げ掛けながら読み進めることになったが、全体的にとってもワクワクする内容の新書であった。確かに目を海に向ければ、日本はなんと広大で豊かな国なのだろう。極論を言えば魚有り水有りで飢えることはないし、周囲を水の塀で護られているようなもの。残念なことに、この“海”の波によって甚大な被害を受けることになったが、やはり日本は“海”によって育てられ生かされ護られている。
“日本は資源が無く狭い国”とよく言われるが、目線を変えればこれは間違いであることに気付かされる。広大で豊かな海を持つ日本、これからの発展も“海”との付き合い方によって決まっていくのであろう。


中原の虹。

2011-03-06 18:30:47 | 書籍。
・中原の虹①~④ 浅田 次郎(講談社文庫)



「蒼穹の昴」4巻が面白かったので、続編ともいうべき本作品を読破。何週間かを掛けて、やっと本日読み終えました。「蒼穹の昴」も心から楽しめたが、当作も同じく。難儀な点は同じく、慣れない中国用語と、登場人物一人一人が複数の名前を持っていること。これには当初苦戦したが、読み進めれば次第に問題無くなる。それにしても、ストーリーが非常に素晴らしく、且つ歴史書としても勉強になる。これを読み終えた今、もう一度、北京の紫禁城を訪れたいと切に思う。きっと、故宮の中を散策している時、皇帝や宦官、王妃、等々…当作品の登場人物や描かれている光景が、バーチャルリアリティーとして目の前に蘇りそうな気がする。あの雄大で、力強い場所にもう一度立って、この作品のストーリーを頭中で繰り広げたい。あまり好みではない“中国”の歴史に大いに魅せられてしまった作品であった。