濃さ日記

娘もすなる日記(ブログ)といふものを父もしてみんとて・・・

自粛の春に

2011-03-31 01:28:03 | Weblog
そろそろ桜の開花が告げられる頃になったが、大震災のせいで、今年はどうもそんな浮かれた気分にはなれそうにもない。
そんな中で、仙台での大学時代、下宿先で家庭教師を頼まれて、面倒をみた息子(といっても、すでに五十を過ぎた)が、どうなったのか心配していたが、無事だという連絡が入り、ほっと一安心した。
もう何十年も会っていないのだが、何か急変があると、連絡をもらう。
前回は小生が病に倒れたときだったが、教え子とはいえ、東北の人間の温かさをつくづく感じてしまう。
これは、テレビの画面に映る震災の被災者を見ていても思うことだが、ほれぼれとするほど、しっかりと地域に根づいて行動している人々が多い。
これにくらべれば、記者会見に現れる東京電力社員などには、人間的な魅力がまったく感じられないのはどうしたことか。
なかには薄ら笑いさえ浮かべて話す者もいて、組織で人間性が失われてしまった結果の無残な姿を示すだけだ。
先に述べた被災者とのこうした落差は何を意味するのだろうか。
ここで、読みさしの矢崎義雄編「医の未来」の一節を引用しておく。

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過去四十年ほどの間に急速に進行した医療技術革新は医療への期待を高めたが、同時に効果が不確実で危険な治療・処置が飛躍的に増大した。
医療の主体が医師からシステムへと大きく変化したにもかかわらず、医療技術革新に対応するシステムと体制がつくられてこなかった。
(中略)
エラーが起きるのはエラーを起きやすくするシステムがあるからであり、システムを変えない限りエラーは繰り返される……
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医療の分野での主張だが、今回の震災とそれに続く原発事故に当てはめて考えてみよう。
復興に尽力する被災者や原発のトラブルに立ち向かう作業員が、健全かつ勇敢でさえあるとすれば、問題は「ニッポンというシステム」にあるのではないか。
個々の人間力に頼りすぎて、不測の事態に迅速に有機的・総合的に対処する体制が未熟だということになる。

以上、柄にもなく、生煮えの評論口調になってしまったが、こればかりは「自粛」していても始まらない。
大いに語りたいところなのだが、力量不足を感じるばかりだ。


兎角亀毛リアル!

2011-03-18 17:30:18 | Weblog
本年最初のブログに
「日本は不安定な社会であり続けるのではないだろうか。今年の賀状に選んだ『兎角亀毛』(ウサギの角とカメの毛のように、この世にあり得ない)という四字熟語ではないが、何事が起こるかわからないという覚悟はしておこうと思う。」
と述べておいたのだが、想像を絶する震災が起こり、その余波は原発事故となっていまなお尾を引いている。
「兎角亀毛」には戦争が起こる兆しという意味もあるそうで、この世にあり得ない凶事を示す語だったようである。

ところで、「とかく」と言えば、漱石の「草枕」冒頭の一節が浮かんでくる。
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智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
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当て字好きの漱石だから「兎角」と書きそうなものだが、やはり「この世にあり得ない」用字法だとして、賢明にも避けたようである。
さて、その漱石が生きていた1896年(明治29年)にも、明治三陸地震があり、M8.2~8.5という巨大地震であったという。そうしたことも脳裏にあって、漱石は「人生」というエッセイで

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三陸の海嘯(つなみ)濃尾の地震之(これ)を称して天災といふ、天災とは人意の如何(いかん)ともすべからざるもの、人間の行為は良心の制裁を受け、意思の主宰に従ふ、一挙一動皆責任あり、固(もと)より洪水飢饉と日を同じうして論ずべきにあらねど、良心は不断の主権者にあらず、四肢必ずしも吾意思の欲する所に従はず、一朝の変俄然として己霊の光輝を失して、奈落に陥落し、闇中に跳躍する事なきにあらず、是時(このとき)に方(あた)つて、わが身心には秩序なく、系統なく、思慮なく、分別なく、只一気の盲動するに任ずるのみ、若し海嘯地震を以て人意にあらずとせば、此盲動的動作亦必ず人意にあらじ・・・
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と書いている。
地震津波などの恐ろしい自然現象だけではなく、人間の盲動的動作もまた、人間の意志では律しきれない(アウト・オブ・コントロール)ものだという認識があったようだ。

石原東京都知事は、今回の震災を「天罰」だと発言して物議を醸したが、天変地異を人間世界への警鐘だとする解釈をしたくなる気持ちもわからなくはない。
現代日本人の空虚で我欲に満ちた態度もまた、どこかアウト・オブ・コントロールなものに思えるからだ。
今回の災害で海外から評価されている、伝統的な日本人の我慢強さや行儀の良さと、西洋由来の合理主義とを再びうまく調和させる方法が求められているようにも思う。

次は日本の救助に向かう米兵に向かって語りかけるオバマ大統領の演説(もどき!)Operation Tomodachiの原テキストとなった映画「インディペンデンス・デイ」の映像。


MAD]オバマ大統領?の演説+インディペンデンス・デイ