そろそろ桜の開花が告げられる頃になったが、大震災のせいで、今年はどうもそんな浮かれた気分にはなれそうにもない。
そんな中で、仙台での大学時代、下宿先で家庭教師を頼まれて、面倒をみた息子(といっても、すでに五十を過ぎた)が、どうなったのか心配していたが、無事だという連絡が入り、ほっと一安心した。
もう何十年も会っていないのだが、何か急変があると、連絡をもらう。
前回は小生が病に倒れたときだったが、教え子とはいえ、東北の人間の温かさをつくづく感じてしまう。
これは、テレビの画面に映る震災の被災者を見ていても思うことだが、ほれぼれとするほど、しっかりと地域に根づいて行動している人々が多い。
これにくらべれば、記者会見に現れる東京電力社員などには、人間的な魅力がまったく感じられないのはどうしたことか。
なかには薄ら笑いさえ浮かべて話す者もいて、組織で人間性が失われてしまった結果の無残な姿を示すだけだ。
先に述べた被災者とのこうした落差は何を意味するのだろうか。
ここで、読みさしの矢崎義雄編「医の未来」の一節を引用しておく。
**********************
過去四十年ほどの間に急速に進行した医療技術革新は医療への期待を高めたが、同時に効果が不確実で危険な治療・処置が飛躍的に増大した。
医療の主体が医師からシステムへと大きく変化したにもかかわらず、医療技術革新に対応するシステムと体制がつくられてこなかった。
(中略)
エラーが起きるのはエラーを起きやすくするシステムがあるからであり、システムを変えない限りエラーは繰り返される……
**********************
医療の分野での主張だが、今回の震災とそれに続く原発事故に当てはめて考えてみよう。
復興に尽力する被災者や原発のトラブルに立ち向かう作業員が、健全かつ勇敢でさえあるとすれば、問題は「ニッポンというシステム」にあるのではないか。
個々の人間力に頼りすぎて、不測の事態に迅速に有機的・総合的に対処する体制が未熟だということになる。
以上、柄にもなく、生煮えの評論口調になってしまったが、こればかりは「自粛」していても始まらない。
大いに語りたいところなのだが、力量不足を感じるばかりだ。
そんな中で、仙台での大学時代、下宿先で家庭教師を頼まれて、面倒をみた息子(といっても、すでに五十を過ぎた)が、どうなったのか心配していたが、無事だという連絡が入り、ほっと一安心した。
もう何十年も会っていないのだが、何か急変があると、連絡をもらう。
前回は小生が病に倒れたときだったが、教え子とはいえ、東北の人間の温かさをつくづく感じてしまう。
これは、テレビの画面に映る震災の被災者を見ていても思うことだが、ほれぼれとするほど、しっかりと地域に根づいて行動している人々が多い。
これにくらべれば、記者会見に現れる東京電力社員などには、人間的な魅力がまったく感じられないのはどうしたことか。
なかには薄ら笑いさえ浮かべて話す者もいて、組織で人間性が失われてしまった結果の無残な姿を示すだけだ。
先に述べた被災者とのこうした落差は何を意味するのだろうか。
ここで、読みさしの矢崎義雄編「医の未来」の一節を引用しておく。
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過去四十年ほどの間に急速に進行した医療技術革新は医療への期待を高めたが、同時に効果が不確実で危険な治療・処置が飛躍的に増大した。
医療の主体が医師からシステムへと大きく変化したにもかかわらず、医療技術革新に対応するシステムと体制がつくられてこなかった。
(中略)
エラーが起きるのはエラーを起きやすくするシステムがあるからであり、システムを変えない限りエラーは繰り返される……
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医療の分野での主張だが、今回の震災とそれに続く原発事故に当てはめて考えてみよう。
復興に尽力する被災者や原発のトラブルに立ち向かう作業員が、健全かつ勇敢でさえあるとすれば、問題は「ニッポンというシステム」にあるのではないか。
個々の人間力に頼りすぎて、不測の事態に迅速に有機的・総合的に対処する体制が未熟だということになる。
以上、柄にもなく、生煮えの評論口調になってしまったが、こればかりは「自粛」していても始まらない。
大いに語りたいところなのだが、力量不足を感じるばかりだ。