濃さ日記

娘もすなる日記(ブログ)といふものを父もしてみんとて・・・

男は女にだまされる?

2006-01-03 18:31:06 | Weblog
Denali's room 一語一絵」のデナリさんが表紙をデザインした「マサトとはんぺん」(佐々木憲孝著、英潮社刊)を読み返してみた。
泣ける場面も笑える場面も適度に盛り込まれ、なかなか読みごたえのある小説になっているように思う。その中で一番印象に残ったのは

男は女に騙(だま)されるために生まれてくる

という、はんぺんの言葉だ。
確かに思い当たるフシがないことはない。女性側からは「逆もまた真なりよ!」という反論も出てきそうだが、男と女が、自然、かつ、のっぴきならない流れの中で、騙したり騙されたりするのであれば、その非を安易にあげつらうことはできないと思うのだが、いかがであろうか。

ところで、過日、某家では食卓を囲んで、娘と父の間で次のような他愛のない会話が交わされていた。

娘:今度、Y君が私にご馳走してくれるんだって。信じられな~い! お父さん、男の人ってみんなそうなの?
父:……まあ、そうかもしれないね。男のDNAには、そういう習性が受け継がれているのかな。そういえば、お父さんが昔、アホウドリだった頃、ステキに見えたお母さんのために、巣作り用の小枝をプレゼントしたことがあったような気がする。もっと昔、お父さんがバナナフィッシュだった頃、キレイに見えたお母さんのために、プランクトンをせっせと運んだことがあったかもしれない。もっともっと昔、お父さんがゴキブリだった頃……
娘:あっ、もういい、わかった、ありがとう、お父さん、成り行きに任せるから。

「成り行きに任せる」──けだし名言というべきもので、これこそ人類の英知の産物であろう。
もっとも、宇野千代というスゴ腕の女流作家などは、言い寄る殿方たちに新居をそれぞれ貢(みつ)がせたというのだから、騙す側も騙される側も、まだまだ修業が足りないということになるのかもしれないが。
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謹賀新年

2006-01-01 21:01:16 | Weblog
年が改まった。ということは、このブログもまる一年を迎えることになる。「濃さ」に向けて全力投球してきたつもりだが、いささかマンネリ気味になっているかもしれない。そこで、これまでの全38本を振り返り、そのいくつかにコメントを加えておこう。

ビリー・ホリデー(1月)
なんといっても、最初の記事だけに感慨深い。TrackbackをいただいたKitchen workさんは、子育て真っ最中の若いお母様。短いコメントながら、詩心あふれるブログになっている。一方、対照的なのは、NY在住のnyc ghosts & flowersさんで、I'm a fool to want youについて次のような感想を述べている。

やばいなこれ。聴いた瞬間に感じた。こんなに歌に惹き込まれることって、そう滅多にあるものじゃない。しかも、ものすごい危険を感じる。これはやばい。麻薬並みにやばい。

■湖上のカフカ(1月)
記事もさることながら、リンク先として「カフカマニア」を見つけたことは大きな収穫だった。

■ゴリラのセクハラ疑惑(2月)
きわどい内容だったが、想定外の反響を呼び、さる方からは、フロイド的な精神分析までしていただいた。それにしても、その後のココちゃんの行方は誰も知らない?!

■安息日のテロリスト(2月)、最低・最悪・絶不調(5月)
二つとも、若い方からの反響が印象的だった。前者の場合は寝屋川の少年の殺人事件について、私と同様にカミュの「異邦人」を思い出したとのことであった。また、後者の場合、「そういうこともあるさ」さんは、

まずは酷いと思って落ち込んでる自分を認めてあげないといけなかったんだ。浮上するのはその後。自分の気持ちを無視してはいけない、ってことなんだろうなぁ。

と述べている。

■Green Days(6月)
glimiさんから、樺美智子氏の墓碑に刻まれた詩を紹介された。ここで引用しておこう。

誰かが私を笑っている/向うでも こっちでも/私をあざ笑っている
でもかまわないさ/私は自分の道を行く/笑っている連中もやはり/各々の道を行くだろう
よく云うじゃないか/「最後に笑うものが/最もよく笑うものだ」と
でも私は/いつまでも笑わないだろう/いつまでも笑えないだろう/それでいいのだ
ただ許されるものなら/最後に/人知れずほほえみたいものだ

■エスプレッソな朝と夜(7月)
その後、予想したとおり、彼女を見かけることはない。カフェには行き続けているが、いささか寂しい気持ちを味わっている次第である。

■風鈴2005(8月)
小生が言うのもおこがましいが、グッドデザイン賞ものである。前述した「カフカマニア」に立ち寄った後、ひらめいたものだ。

■ストーンズ、デイヴィッド・ヘアの批判精神(11月)
この記事の後、例のマンション構造計算書の偽装事件が起きており、改めてデイヴィッド・ヘアの慧眼に驚かされることになった。そして、ストーンズは久しぶりの来日。相変わらず、商売熱心である。

■All my tomorrows(12月)
最近の記事の中では、最も素直に自分の心境を表出できたと思う。歌の力の恐ろしさというものなのだろうか。
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