今年もいよいよ終わり。この一年を振り返ってみれば、退院後のシャバの生活はやはり厳しく、思わぬアゲインストの風にあおられてしまった。それでも「逆風満帆」、やせ我慢的に何とかやり過ごすことが出来たが、これも、皆様のお心づかいがあってのこと、一年を無事に終えるに当たり、深く感謝する次第です。
最近では、小生のファン(不安!)クラブなるものまで出来て、先日も、「顔が少しむくんでいるのでは」というアドバイスをもらい、すぐに病院で診察してもらったが、単においしいものの食べ過ぎ、飲み過ぎで、特に異常はないということだった。しかし、私の病状の場合、進行がサイレントだから、今後も「かすかな兆候を読む」ことに細心の注意を払うべきなのだろう。
そういえば、今年の流行語に「KY=空気が読めない」というものがあったが、この言葉は、閉じられた場の雰囲気にだけ配慮すれば、事足りるとする姑息さが感じられて、あまり好きにはなれない。そもそも「空気」とは危険なものでもあって、山本七平の「空気の研究」(写真)によれば、
「空気」は非常に強固でほぼ絶対的な支配力を持つ「判断の基準」であり…超能力であることは明らかである。だが通常この基準は口にされない。それは当然であり、論理の積み重ねで説明することができないから「空気」と呼ばれている
ということらしい。とすれば、そうした「空気」を過敏に読み過ぎて、過呼吸状態に陥り、真実を犠牲にしてきたのが、我々日本人なのではないだろうか。
たとえば、今年、話題となった食品の偽装表示騒動も、マスコミや消費者が時代の空気を読み過ぎたきらいがあるようにも思われるが、どうなのだろうか。少なくとも、「空気が読めない」だけで、小学生から首相までがイジメの対象となるような国に大した未来はあるまい。
この際、出版人のはしくれとしては、どさくさまぎれに、もっと読むべきものはたくさんある、とりあえず、本をどんどん買って読んでくれと声を大にして叫びたくなる。
ということで、今年のブログを閉じるが、先日、元ミュージシャン、DJで、現フリーターの若者と久しぶりに再会し、年越しをどうするのか尋ねたら、彼女といっしょに六畳一間のアパートで新年のカウントダウン、年が変わるその瞬間に、手に手を取って、軽くジャンプするとのことだった。何ともつつましく、ささやかではあるが、味のある試みではないか! ここで、彼ら若き二人に多くの加護があるように、鮎川信夫「跳躍へのレッスン」の一節を返礼として贈ることにする。
雲切れの空にのぞく/まがまがしい双つ星は/離れまいとして/必死に輝きを増している
いとしきひとよ/あそこまでは跳べる/ぼくらの翼で/試してみようではないか
最近では、小生のファン(不安!)クラブなるものまで出来て、先日も、「顔が少しむくんでいるのでは」というアドバイスをもらい、すぐに病院で診察してもらったが、単においしいものの食べ過ぎ、飲み過ぎで、特に異常はないということだった。しかし、私の病状の場合、進行がサイレントだから、今後も「かすかな兆候を読む」ことに細心の注意を払うべきなのだろう。
そういえば、今年の流行語に「KY=空気が読めない」というものがあったが、この言葉は、閉じられた場の雰囲気にだけ配慮すれば、事足りるとする姑息さが感じられて、あまり好きにはなれない。そもそも「空気」とは危険なものでもあって、山本七平の「空気の研究」(写真)によれば、
「空気」は非常に強固でほぼ絶対的な支配力を持つ「判断の基準」であり…超能力であることは明らかである。だが通常この基準は口にされない。それは当然であり、論理の積み重ねで説明することができないから「空気」と呼ばれている
ということらしい。とすれば、そうした「空気」を過敏に読み過ぎて、過呼吸状態に陥り、真実を犠牲にしてきたのが、我々日本人なのではないだろうか。
たとえば、今年、話題となった食品の偽装表示騒動も、マスコミや消費者が時代の空気を読み過ぎたきらいがあるようにも思われるが、どうなのだろうか。少なくとも、「空気が読めない」だけで、小学生から首相までがイジメの対象となるような国に大した未来はあるまい。
この際、出版人のはしくれとしては、どさくさまぎれに、もっと読むべきものはたくさんある、とりあえず、本をどんどん買って読んでくれと声を大にして叫びたくなる。
ということで、今年のブログを閉じるが、先日、元ミュージシャン、DJで、現フリーターの若者と久しぶりに再会し、年越しをどうするのか尋ねたら、彼女といっしょに六畳一間のアパートで新年のカウントダウン、年が変わるその瞬間に、手に手を取って、軽くジャンプするとのことだった。何ともつつましく、ささやかではあるが、味のある試みではないか! ここで、彼ら若き二人に多くの加護があるように、鮎川信夫「跳躍へのレッスン」の一節を返礼として贈ることにする。
雲切れの空にのぞく/まがまがしい双つ星は/離れまいとして/必死に輝きを増している
いとしきひとよ/あそこまでは跳べる/ぼくらの翼で/試してみようではないか