コロナ禍が我々の秩序感覚を大きく乱し、希望を語ったり、励ましを与えたりするのが難しい日々が続いている。
そして、少し前の過去も少し先の未来も急に色あせて見えてくる。
その一方、大きな歴史的出来事に立ち会っているのだという感慨を虚ろなままに味わっている。
ところで、最近のテレビCM(清涼飲料水)に、登山服姿の宇多田ヒカルがアルプスの山岳の滝の近くでワーズワースの詩を朗読するものがある。
月光をして 汝(なんじ)の逍遙(しょうよう)を照らさしめ
山谷(さんこく)の風をして ほしいままに汝を吹かしめよ
現代の女性ポップジンガーと格調の高い文語調の詩の取り合わせは時代錯誤を免れないが、それがかえって新鮮で快い気持ちにもさせてくれる。
ワーズワースの同じ詩を引用している作品に国木田独歩の「小春」がある。
自分は夜となく朝となく山となく野となくほとんど一年の歳月を逍遙に暮らした。
自分はわが情とわが身とを投げ出して自然の懐(ふところ)に任した。
とあり、これは他者との距離を置き、密接、密集、密閉を避けるという意味では「ソーシャル・ディスタンス」の考え方とも妙に符合し、案外新しい詩情になるのではないだろうか。
ポストコロナとは、近現代の稠密な高度情報空間から、ウイルスと文明が共生する「デジタルネイチャー」の空間へと推移する時代になりそうだ。
サントリー天然水『光も風もいただきます』篇 60秒CM / 宇多田ヒカル
そして、少し前の過去も少し先の未来も急に色あせて見えてくる。
その一方、大きな歴史的出来事に立ち会っているのだという感慨を虚ろなままに味わっている。
ところで、最近のテレビCM(清涼飲料水)に、登山服姿の宇多田ヒカルがアルプスの山岳の滝の近くでワーズワースの詩を朗読するものがある。
月光をして 汝(なんじ)の逍遙(しょうよう)を照らさしめ
山谷(さんこく)の風をして ほしいままに汝を吹かしめよ
現代の女性ポップジンガーと格調の高い文語調の詩の取り合わせは時代錯誤を免れないが、それがかえって新鮮で快い気持ちにもさせてくれる。
ワーズワースの同じ詩を引用している作品に国木田独歩の「小春」がある。
自分は夜となく朝となく山となく野となくほとんど一年の歳月を逍遙に暮らした。
自分はわが情とわが身とを投げ出して自然の懐(ふところ)に任した。
とあり、これは他者との距離を置き、密接、密集、密閉を避けるという意味では「ソーシャル・ディスタンス」の考え方とも妙に符合し、案外新しい詩情になるのではないだろうか。
ポストコロナとは、近現代の稠密な高度情報空間から、ウイルスと文明が共生する「デジタルネイチャー」の空間へと推移する時代になりそうだ。
サントリー天然水『光も風もいただきます』篇 60秒CM / 宇多田ヒカル