今年も落葉の季節になった。
「生命の一循環を終えたのだから
生れかわるためには、死なねばならないと、
根が考え、幹が感じている」(鮎川信夫「落葉樹の思考」)
そんな時期になると、例年、喪中の葉書が何通か届けられるのだが、
今年は、ことさら悲しい一葉の訃報を受け取った。
私よりも随分若い、清楚なご婦人が亡くなったのだ。
育ち盛りのお子さんを残して、六月に旅立たれたという。
死因はなんであれ、年下の知人の死というものはなんとも辛いものだ。
無常迅速の思いに囚われるが、にもかかかわらず、
自分がなおも生きのびていくこととは、生きのびていくこととは……。
後は言葉が続かないでいる。
「晴れわたった今日の天気に、わたくしはかの人々の墓を掃(はら)いに行こう。
落葉はわたしの庭と同じように、かの人々の墓をも埋めつくしているのであろう。」
(永井荷風「作後贅言」)
「生命の一循環を終えたのだから
生れかわるためには、死なねばならないと、
根が考え、幹が感じている」(鮎川信夫「落葉樹の思考」)
そんな時期になると、例年、喪中の葉書が何通か届けられるのだが、
今年は、ことさら悲しい一葉の訃報を受け取った。
私よりも随分若い、清楚なご婦人が亡くなったのだ。
育ち盛りのお子さんを残して、六月に旅立たれたという。
死因はなんであれ、年下の知人の死というものはなんとも辛いものだ。
無常迅速の思いに囚われるが、にもかかかわらず、
自分がなおも生きのびていくこととは、生きのびていくこととは……。
後は言葉が続かないでいる。
「晴れわたった今日の天気に、わたくしはかの人々の墓を掃(はら)いに行こう。
落葉はわたしの庭と同じように、かの人々の墓をも埋めつくしているのであろう。」
(永井荷風「作後贅言」)