除夜

2009年12月31日 17時44分00秒 | B地点 おむ

 

 

大晦日の夜
月が輝いていた
背中に月光を浴びて、一匹の野良猫が佇んでいた
静かに時間が流れ、雲が月を覆い隠した
やがて ―― 再び月が光を投げかけた
その間もずっと、猫はそこに居た
猫は、いつまでもそこから動かなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


大晦日スペシャル芸

2009年12月31日 16時32分00秒 | B地点 おかか

 

 

「2009年も、今日で終わりか……」
「それにしても……うう……寒いなあ」

ぶるぶる
「……いや!」

「一年の最後の日くらい、キリッとしなくちゃね!」

きりりっ

「ね、そうでしょ、おかか先生?」
ぐ~すかぴ~
「……寝てるのか」
「う~ん、むにゃむにゃ」
「ちょっと! 先生! 先生ってば!」
「あ? 何だ何だ……?」

もぞもぞ
「シャキッとして下さい。『終わり良ければすべて良し』って言うじゃありませんか」
「どうでもいいじゃないか。私は眠いんだよ……」
「いやいや。大晦日ですよ。気持を引き締めないと」
「ふん……では、気持が引き締まる芸を見せてやろう」
「驚くなよ。秘技! アクビと鼻ちょうちん同時出し!」
「ふあ~~~あ!」

ぷくぷく~
「う、うわっ……!」
「ふっふっふ……」
「す、凄い芸だ。僕には真似できません……!」
「ふん。満足したか?」
「じゃ、私は寝るぞ……」
ぐ~すかぴ~
そんな風にして、2009年の大晦日も、暮れていったのだった。

空は、美しい夕焼けで染まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


押し詰まってきた!

2009年12月30日 16時07分00秒 | B地点 おかか

 

 

2009年も押し詰まった、12月30日の夕暮である。
「今年もあと一日半ですねえ」
「うむ。私達にとっては、まあまあの一年だったな」
「ええ。特に大きなケガや病気はしませんでしたし」
「お前がケガをしないのは、当たり前だよ」
「……はあ? なぜですか?」
「知りたいか? なら、自分の尻を見てみろ!」
「ほら、お前は毛を刈られたじゃないか」
「毛が無い! ケガ無い!」
「なんちゃって! は~っはっは~!」
「……僕にとって、この一年は、」
「ダジャレ攻撃で精神的に押し詰められた、苦難の年でした」
「そ、そうか?」

「はい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


心が温かい

2009年12月29日 15時35分00秒 | B地点 おむ

 

 

おむさんである。

こんな風に、毛刈りが行われたわけである。


※参照、「激」クリスマス・イブツ

おかか先生がやって来た。

「おい、調子はどうだい?」
「あ、先生。こんにちは」
「毛刈りの跡はどうなった? 見せてみろ」
「……おしりは、この通りです」
「うはー!」
「後ろ足は、こうです」
「前足も、ちょっとね」
「腰は、こうです」
「やっぱり寒いですね」
「くは~! 確かに寒そうだな!」
「……あらためて見ると、先生の被毛は素敵ですね」

「ん? そうか?」
「そうですよ。ふかふかで、ふわふわで。素晴らしいですよ」
「こんな被毛で良けりゃ、取り換えてやりたいよ」
「……えっ!?」
「あ、ありがとうございます」
「そこまで言ってくれるなんて……」
「その気持だけで、寒さも吹っ飛びますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ぜいたくかもしれない嗚咽

2009年12月29日 14時57分00秒 | B地点 おむ

 

 

「いやあ、参ったよ」

「腰のあたりに、ベトベトしたものが付いちゃってさ」


※参照、「激」クリスマス・イブツ

「洗っても落ちなくて、結局、毛を刈ってもらったんだけどね」
「ほら、こうさ……」
「いや、文句を言ってるんじゃないんだよ。決して!」
「だって、みんなのお陰で、大事に至らずに済んだんだからね」
「みんなには、もの凄く感謝してるんだ。いくら感謝しても、し足りないくらいさ」
「でもね、それはそれとして、ほら、ルックス的に。ちょっとね……」
「夏でもないのにショートカットなんて。しかもこんな、部分的に……」
「みっともないよね……」
「あ~あ。自業自得かもしれないけど、悲しいなあ」
「……」
「うっ」
「う、ううっ」
「うえっ」
「うえ~ん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「激」クリスマス・イブツ

2009年12月24日 16時17分00秒 | B地点 おむ

 

 

以下、ドキュメンタリーである。

シンジ君が飼い猫となった日の、次の日。

すなわち、2009年12月24日の出来事である。

私(作者)は、穏やかな気持でのんびりクリスマス・イブを過ごそうと、この日もおむさん・おかか先生の許を訪れたのだった。
しかし、私の前に現れたおむさんの身には、とんでもないことが起きていた。

なにやらネバネバ・ベトベトした異物 ―― 接着剤か糊のようなもの ―― が、おむさんの腰から尻尾・臀部、そして後肢にかけて、べっとりと付着していたのである。
被毛にかなり染み込んでいるこの物質、色は無色透明~乳白色。粘性は、この時点では「生乾きのペンキ」のような感じであった。(が、この日の夜には、硬化していたそうである。)

私は鼻を近付けて嗅いでみたが、ほぼ無臭で、シンナーのような揮発性の臭いはなかった。
ご覧の通り、土やらホコリやら葉っぱやらゴミやらが、多量にくっついてしまっている。

もしも、これらを無理に取ろうとするならば、被毛をもむしり取ることになるだろう。
顔にまで、若干量が付着している。

さすがのおむさんも、表情が暗い。
この時に私が考えたことは ――

一、この異物に毒性があれば、舐めると危険である。

一、肛門や尿道口が固まってしまうと、危険である。

私はとりあえず、肛門と尿道口が塞がっていないかどうかを確認した。
異物に触れてみた印象では、どうも簡単に落ちそうにない。毛刈りが必要になるかもしれない。

私は以前、おむさんの毛をちょっぴり刈ったことがある(細雨に憂う弱者の味方で剣の達人)。だが今回は、とても私の手には負えそうにない。負えるとしても、この真冬に毛刈りをするのは、ためらわれる。
私はその場から地域猫ボランティアAさんに写メを送ってご相談申し上げた。

その返事を待つ間に、同じくボランティアのBさんが、日課の給餌のため、現地においでになった。

そこへ写メの返事も来たので、私のケータイを使いつつ、対応について協議がなされた。
実にタイミングが悪いことに、私は翌日の早朝から泊まりがけで出かけねばならなかった。従って、私には保護預かりができない。

結局 ―― Aさんがこの日のうちに保護。一泊の後、病院にてシャンプー。異物はろくに落ちなかったそうで、やはり毛刈りが行われた。(なお、ワクチン接種も施された。)

その間、おむさんを案じながら旅をする私のために、Aさんはメールで逐次、詳細に状況を知らせて下さった。
そのまま病院でもう一泊してから、おむさんはリリースされた。

リリース後、特に問題は生じていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


追想と希望と夢

2009年12月23日 16時20分00秒 | B地点 おむ

 

 

2009年12月23日。

この日の午後、シンジ君は飼い猫となったのだった。


※参照、「超」メリー・クリスマス 

  そして、その日の夕方 ―― 。

「ねえ、おかか先生」
 

「シンジ君のこと聞きましたか」

  「うむ。さっき聞いたよ」
  「よかったなあ。……そうだ、写真も見たぞ」
  「ほら、これが、今日のシンジ君の晴れ姿だそうだ」

撮影日 08月13日
「四ヶ月ほど前は、こんなだったのにな……」
  「どっこいしょっと」
  「……色々なことがありましたねえ」

撮影日 08月14日
「こんなことも」

撮影日 10月20日
「あんなことも……」
  「どっこいしょっと」
  「……そうさなあ。色々あったなあ」

撮影日 08月12日
「こんなことや」

撮影日 08月13日
「あんなことが……」
 

「……」

  「よかったですねえ」
  「うむ」
  「よかったなあ……!」
  おむさんとおかか先生の胸は、様々な思いで一杯だった。
  そんな、冬の日の黄昏であった ―― 。
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「超」メリー・クリスマス

2009年12月23日 12時57分00秒 | B地点 その他

 

 


撮影日 08月10日

もう一度、シンジ君の話をしよう

奇蹟の話を

現代のシンデレラ・ストーリーを

撮影日 同上
シンジ君の姿が初めて確認されたのは、08月10日だった

撮影日 同上

撮影日 08月12日
シンジ君は、おむさんおかか先生のテリトリーに、幸運にも、迎え入れられた

撮影日 同上
こんなことも、時々あったけれど

撮影日 08月13日
シンジ君は、おかか先生の信頼を勝ち得た

撮影日 08月14日
おむさんも、シンジ君の味方となった

撮影日 08月18日
だがシンジ君は、この頃から既に、猫風邪に罹患していた

撮影日 09月04日
09月初めの時点では、被毛も酷い状態のままだった

撮影日 同上

撮影日 同上
それでもシンジ君は、強く生きていた

撮影日 10月14日
09月から10月にかけて、シンジ君は素晴らしい回復を見せた

撮影日 11月15日
みすぼらしかったかつての面影は、もう無い

撮影日 同上

撮影日 同上
だが、猫風邪は慢性化していた

撮影日 12月10日

12月10日、ボランティアさん達による捕獲、即、病院へ搬送 ―― ウイルス検査の結果は、残念ながら、FIV陽性だった


撮影日 同上
引き続き短期保護 ――

撮影日 12月11日
その間、給餌はもちろんだが

撮影日 同上
投薬も行われた

撮影日 同上
当初は、こんなこともあったけれど

撮影日 12月16日
シンジ君には、新しい環境に適応する力があった

撮影日 同上

撮影日 12月18日
風邪が治ってきたので、12月17日から18日にかけて、シンジ君は入院して去勢手術とワクチン接種を受けた

撮影日 同上

撮影日 同上
さすがに疲れたらしいけれど

撮影日 12月20日
術後の経過は良好だった

撮影日 12月22日

撮影日 同上
そして遂に ―― 飼い主さんが決定した

撮影日 12月23日

撮影日 同上
12月23日、この写真が撮影されてから数時間後、シンジ君は飼い主さんの家へと搬送された

撮影日 同上

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あぐらで頭ぐらぐら

2009年12月22日 16時54分00秒 | B地点 おかか

 

 

これは、おなじみ「課長のイス」である。


※このコマのみ、二日前(12月20日)の撮影

さてこの日 ―― 作者は、このイスを持ってくるのを忘れて、家に置いてきてしまったのだった。


※実話

そこで、作者はあぐらをかいて座った。

その上に、おむさんが乗る。

そこへ、おかか先生がやって来た。

「ほほう。あぐらの上の座り心地はどうかね?」
「いい気持ですよ」
にやり

「……先生も乗ってみますか?」
「な、何っ!?」
「い、いや……私には無理だよ……」
「別に難しくないんですがねえ」

「だ、だが、お前も知っての通り、私は一度もニンゲンの膝に乗ったことがない」


※実話

「絶対ニンゲンには抱かせない! それを信条として生きてきたのだ……」


※実話

「しかし……あぐらには、乗ってみたい気もする!」
「乗ったら……一体……ど、どうなるんだ!?」
「ああっ」
「な、悩むなあ。どうしたらいいんだ! 」
「乗るべきか、否か!?」
「ああーっ、助けてくれーっ!」
「……ま、とりあえず、いつも通りリュックに乗っては?」
「はっ!? そ、そうか! そうだな」
すたすた
ぽっふん
「ふふ。やれやれ……」