やあ諸君。こんにちは。 私は、四つ葉のクローバー。 |
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諸君も知っての通り、私は、幸福の使者である。 | |
ところで私は、猫が好きである。 | |
特に、猫の頭が好きなのだ。 | |
だから私は、猫の頭の上に乗る。 | |
う~ん。最高だ。 猫の頭に乗ると、実にいい気持だ。 |
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おっと。 白茶の猫を、忘れるところだった。 |
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この猫も、中々の愛嬌者なんだ。 | |
というわけで私は、この猫の頭にも乗った。 | |
あ~。いい気持だ。 猫の頭の乗り心地は、素晴らしい。 |
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私は、すっかり満足した。 | |
満足したので、おとなしく押し葉になることにした。 では諸君、さらば。 |
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「え? 僕は無視? 僕の頭の上には来ないの?」 | |
「頭に来ちゃうなあ」 |
「カメラのお兄さんのお母さん……手術後は、順調なんでしょ?」 | |
「うむ……しかし、頻脈と不整脈の発作が、何度も起きてるらしいな」
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「えっ!? 発作!?」 | |
「さほど危険ではないらしいが、発作性心房細動というんだよ……」 | |
「う~ん、そうなのか……」 | |
「じゃあ、まだ退院できませんね……」 | |
「何か、お見舞いをしたいもんだがな……」 | |
「お見舞いなんて、僕たち野良猫には、無理ですよ……」 | |
「う~む……」 | |
「はっ!? そうだ!」 | |
「いいこと考えた! 四つ葉のクローバーを探そう!」 | |
すたすた すたすた | |
「おおおっ!? あ、あった!」 | |
「おい! あったぞ!」 | |
「えっ!?」 | |
「見ろ! 今年初めての、四つ葉のクローバーだ!」 | |
「やったあ~~~っ!」 | |
「ふっふっふ。これを、お袋さんのお見舞いにしようじゃないか」 | |
「最高だあああああ!!!」 | |
―― というわけで、若造は翌日さっそく、このクローバーをお袋さんの所に持っていったのだ。
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そして、その日の晩、お袋さんの退院が決まったのだよ ―― 。
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