春一番の次の日は雨。 そして、その次の日も、雨だった。 しとしと しとしと | |
おむさんは、おかか先生と一緒に、橋の下で雨宿りをしていた。 | |
こういう時は、退屈してしまう。 | |
そして ―― おかか先生のだじゃれが炸裂するのが、常である。 | |
おかか先生のだじゃれを聞かせられるのは、苦痛である。 | |
おむさんは、今日も、それを恐れていた……。 | |
しかし今のところ、先生は何も言わない。 | |
おむさんが黙っていれば、先生もキッカケをつかめないのだろう。 | |
ふと見ると、カモがいる。 | |
サギもいる。 | |
カワセミもいる。 | |
早春の雨というのは、なかなか風情があるものだ。 | |
「う~ん……。雨だなぁ……」 おむさんは、思わず、ひとりごちた。 | |
むくっ | |
「……」 | |
「おい、ひとこと、言わせてくれ」 | |
「う~ん……」 | |
「カメラなぁ……」 | |
―― 遂に、先生のだじゃれが出てしまった。 | |
しかも、「雨だなぁ」と「カメラなぁ」。 | |
余りにも、ひどいではないか……。 | |
ぐったり | |
どこか楽しく、どこか憂鬱な、そんな、春雨の日であった。 | |