雨の中

2008年06月29日 16時06分00秒 | B地点 おむ

 

おかか先生 雨の中
ビニール傘の 下にいる
僕は元気に 雨の中
濡れるのなんか へっちゃらさ
だけとカメラの お兄さん
僕にお薬 くれたんだ
僕ら一緒に 雨の中
不思議な気持 こんな日は

おかか先生 行っちゃった
大丈夫かな 雨の中 

おかか先生 おしっこか
少し離れて 雨の中 

帰って来たよ 先生が
安心したよ 傘の下 

僕ら一緒で こんな日に
不思議な気持 雨の中 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「こんな天気に」

2008年06月29日 15時53分00秒 | B地点 おかか

 

  雨である。 
  おかか先生は植え込みの中だ。 
  ちゃんと傘の下にいる。 
  鳴きながらどこかから飛び出してきたおむに
抗生物質を投与する。 
  おかか先生は傘から出て
離れた処でオシッコをした。 
  ちゃんと土をかける。 
  暗いので先生の瞳も円い。 
  やがて先生は傘の下に戻って来た。 
  そしてじっと動かない。 
  おむは濡れるのをさほど厭わない。 

 

マーラーの歌曲 "In diesem Wetter!"
私は思い出していた。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


名案の明暗

2008年06月28日 18時05分00秒 | B地点 おかか

 

 

「おむの左足はこんな状態なのだ」 

  「深傷ではないが、歩くのがつらいだろうな」 
  「実際、おむは、いまひとつ元気がない」 
  「歩かなくて済むような方法は、ないものかな」 
  「……などと考えていたところ、ふと振り返ると、いいものが!」 
  「そういえば、おむは何かに乗るのが好きなのだ
今日もカメラの若造のリュックに乗っていた」 
  「おーい、これに乗ってみないか?」 

 

「名案かもしれませんが……、猫としてマズイでしょう」

「う、うん、まあな、私もそう思ったんだけどな」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


心労と安閑

2008年06月28日 17時14分00秒 | B地点 おかか

「昨日も言ったとおり
おむの右目の腫れは引いてきた
まだ瞬膜がやや出てはいるがな」  
「今日は 鼻先のカサブタも取れた」 
「ところが おむの奴 また
新しい傷をつくったようだ」 

「いや まあ 傷というより
毛が抜けただけかもしれん
しかし ヒリヒリと痛そうだ」 
「抗生物質の投与が続くので
大事に至ることはないだろうが」 
「それにしても まったく」 
「心配ばかりさせおって
あ こら そんなところは見んでよろしい」 
「まあまあ おかか先生
誰だってタマには怪我をしますよ」

「ふん 心配させられるほうはタマらんわ」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


退院

2008年06月27日 17時55分00秒 | B地点 おむ

 

  二日間入院していたおむが、今日退院する。
私はおかか先生と一緒に待っていた。 
   そして、おむは帰ってきた。
  目は殆ど元通りになった。
  あんなに腫れていたのが嘘のようだ。 
  ん、それは、ケンカ傷かい、注射の跡かい? 
  まあ、それくらい、舐めてりゃ直るさ。 
  やはり、いつもの場所は落ち着くらしい。 
  おかか先生も喜んでいるのだろう。 
  おむもすっかりくつろいでいる。 
  感慨深いとでも言いたげな面持ちも、ちらと見せてくれた。

帰路、ピアス二世と一緒にいる新顔を見た。 

 

かなり強そうな顔つきだ。

 

この猫がおむとケンカしたのかもしれない。

 

 

野良猫としてはこれ以上望めないほどの手厚い看護と治療をおむが受けられたのは、ひとえにボランティアさんのお陰である。

さて私はといえば、向後一週間ほど毎日おむに抗生物質を投与するという、名誉ある大役を仰せつかったが、うまく出来るだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


そのほほえみを待っていた

2008年06月27日 17時39分42秒 | B地点 おむ

  「おむが今日退院するので私は待っていた」  
  「花も待っていた」 
  「ハトも待っていた」 
  「珍しく寄り目ちゃんも出迎えに来た」 
  「カモまでおむに会いに来た」 
  「ただいま!」 
  「ご心配かけました
ボランティアさんのおかげで
僕 元気になりました」

「うむ お帰り よかったな」 

 

「みんな どうもありがとう」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


梅雨寒

2008年06月26日 18時51分52秒 | B地点 おかか

 

  なんとか雨は上がったが、ひどく寒いな
  おむは今日も泊まりだって? 
  目の腫れはもう引いたかな 
  しかし、あいつがいないと、所在が無いな 
  あいつの匂いでも探してみるか
  うおっ!? あいつの匂いのジャラシか! 
  ……匂いだけというのは、どうもいかん
  かえって淋しくなるよ 
  おや、もう日が暮れる 
  ぼちぼち帰るか 
  おっと、そうだ、そこに紫陽花が咲いてたぞ 
  花の中の蜘蛛の巣で、雨の雫が光っていたぞ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ひとりきり

2008年06月26日 18時16分00秒 | B地点 おかか

  おかか先生 ひとりきり  
  おむがいなくて 寂しいね 
  おむはどうして いるだろか 
  元気に過ごして いるだろか 
  僕と先生 ふたりきり 
  おむはどこかで ひとりきり 
  早く帰って こないかな 
  おむと一緒に また遊ぼ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


親友が外泊で

2008年06月25日 17時01分01秒 | B地点 おむ

 

 

「あっ おかか先生 おむさんはどうしました?」

「うむ それだがな」 

 

「ボランティアさんが朝と昼に点眼してくれてな
やや腫れが引いたものの 17時01分の時点で こうだった」

「うーん まだまだですね」 

 

「結局 ボランティアさんが 病院に連れて行ってくれたよ」

「そうですか とりあえず安心ですね」 

 

「だが今夜は入院でな」

「ええっ そんなに悪いんですかっ!?」 

 

「早まるな 病院の先生が往診中だったんだ」

「はあ」

 

「しかも予報によれば 今夜から明日にかけては雨
それに 冷えるらしいから 野良猫にはつらい」

「なるほど それで のんびり一泊というわけですか」 

  「うむ 奴は飼い猫の経験もあるらしいし 病院にも慣れてるから
たいしたストレスにもなるまい 形式は入院だが 実質は保養だな」

「それはまあ よかった
それにしてもボランティアさんには頭が下がりますね」

 

「で おかか先生は大丈夫ですか 今夜は寂しいでしょう」

「ん? まあ その あれだ 大丈夫さ……」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


どっすん

2008年06月24日 17時04分00秒 | B地点 おかか

 

  「おむの右目が腫れてしまったのだ」  
  「心配だよ」 
  「いつも世話になっているボランティアさんに
カメラの若造がさっそく連絡してくれたが
私にも何かできることはないだろうか」 
  「……よおし これだッ!」 
  どっすん 
  「……おかか先生 つい先日も似たようなことを」

「う うむ」 
  「だ だがな 今日は一層の愛情が込められているんだ
早く良くなれよ」 

 

「……先生 どうもありがとう」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


右目が腫れた

2008年06月24日 16時59分00秒 | B地点 おむ

 

  「おーい、おむさーん。」
 
 

「やあ……。」

「あっ、その目は……?」
 

  「なに、ちょっとね……。」

「ありゃりゃ、大丈夫かい!?」
  「野良猫にはありがちなことだよ。」

「そ、そうかもしれないけど、心配だなあ。」
 
 

「このまえ君を病院に連れて行ってくれたボランティアさんに、メールしたよ。いま給餌に来てくれたもう一人のボランティアさんは、心配ないって言ってたよ。」

「色々ありがとう。」

  「たらふく食べたから、少し休むね。」

「う、うん、とりあえず、それがいいね。」
 
 

「おかか先生もいてくれるし、よく食べて、よく休めば、大丈夫さ。」

「だといいけど……。」

 

「帰るかい? じゃ、またね。今日はわりと爽やかだから、僕はもう少しここでのんびりするよ。」

「お大事に。また来るよ……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


石の上にイタイヨ~

2008年06月23日 18時15分00秒 | B地点 おむ

  おむの耳に傷が。 
  鼻にも。
また、右目はかなり瞬膜が出ていた。 
  「痛いよ、痛いよ~っ!」

じたばた 
  「……おいおい、じたばたしても始まらんぞ。」

「そ、そうですね、ちょっと取り乱しました。お恥ずかしい。」
  「こんな時は、じっくり体を休めるしかありませんよね。」 
  「じっと耐えれば、何事も報われます。よいしょっと。」
  「石の上にも三年、って言いますからね。」

「そういう諺は確かにあるが。」
  「で? その上には?」

「まあ 3分くらい……。」

 

※参照 「見られてた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


雫の王子様

2008年06月21日 17時37分00秒 | G地点 チッチ

 

  「ああ カメラのお兄さん」

「やあ チッチ こんにちは」  
  「ふふ 遊ぼうか!」

「おいおい…… ほかのみんな どうしたの?」 
  「みんな帰ったよ なんでかな」

「雨になったからね」 
  「雨になったら なぜ帰るの? 楽しいのに」

「え うーん なぜって……」 
  「ねえ なぜ 雨だと帰るの?」

「雨が降れば濡れるだろ ほらレンズだって」 
  「拭けばいいじゃない」

「そりゃそうだけど」 
  「ねえ なぜ 雨だと帰るの?」

「……とにかく帰るのさ そういうもんなんだよ」 

 

「こんなに楽しいのにね オトナって変だね」

「……うん」