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ルリちゃんは、大けがをした。
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下あごが砕けてしまったのだ。 |
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原因は不明。 |
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可能性は色々考えられるが、いずれも憶測の域を出ない。 |
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人間が或る距離まで近付くとぱっと逃げてしまう猫なので、いわゆる虐待は考えにくい。 |
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かつてシロBがそうであったように、犬にやられたのかもしれない。 |
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ともかく重傷である。 |
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それでもこうして隠れ家から出て来るが、あごが動かないので、固形食を「食べる」ことができない。 |
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かろうじて水を飲む。 |
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ボランティアさんも私も、できるだけのことはした。 |
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細かいことは、ここには書かない。 |
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ほどなくして、ルリちゃんは死んだ。 |
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オムイ外伝シリーズ 第三部(武芸帳篇) 第27話 |
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クロ子さんは、怪我をした。
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ボスにやられたそうだ。(ボスはこことここに登場している。)
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ボスは攻撃的で、このように他の猫を襲って怪我をさせたり、他の猫を群れから追い出したりするので、ボランティアさんは対応に苦慮している。
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お金にも人手にも、限りがある。片っ端から怪我をさせられては、ボランティアさんも困ってしまう。 |
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あくまでも極端な一般論であるが、「或る一匹の猫を排除してでも、他の二十匹の猫を救わねばならぬ」という決断を迫られる場合があり得る。 実際には、ボスはまだここの群れに居て、ここの群れの猫として給餌を受けている。 |
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クロ子さんは、この日、ほとんど動かず、じっとうずくまっていた。 |
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あの傷では、さすがにまだ痛むのだろう。 |
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その後、ボランティアさんの献身的な看護の甲斐あって、傷は膿むこともなく、ふさがって乾いた。クロ子さんは順調に回復しつつある。 |