ネタならまかせろ!

2011年01月31日 18時30分44秒 | B地点 おかか

 

 

僕は今、カメラのお兄さんのおうちで、療養中なんだ
お兄さんは毎日、パソコンでおはなしを作っている

それがお兄さんの楽しみなんだ
だけど、今日に限って、おはなしのネタが、思い浮かばないらしい

お兄さんは、とっても辛そうだ
なんとかして、お兄さんの役に立ちたい

何か、いいネタはないだろうか……?
「そうだ! テレパシーで、おかか先生に相談してみよう!」

← テレパシー送信

「先生! 何か、いいネタはありませんか?」

← テレパシー受信

「何? ネタだと?」
「へっへっへ! 私にまかせろ!」
たったった
ごろっ
ごろん
「……」
「!?」
すやすや
「……寝た?」
「その通り! わっはっは~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


いつでも帰っておいで

2011年01月31日 16時08分18秒 | B地点 おかか

 

 

いつものように、リュックが置いてある。

いつものように、その上には黄色い毛布が敷いてある。
いつものように、おかか先生がやってきた。
いつものように、先生はリュックに乗ろうとした、が ――
ふと、思いとどまった。
「……」
「あれっ? 先生?」
「リュックに乗らないの?」
「うむ、乗らないことにしたよ……」
「じゃ、じゃあ、僕が乗っていい?」
「いかん」
「え~? ケチ!」
「先生は乗らない。おむさんはいない。だからリュックは空いてるんでしょ」
「だったら、僕が乗ってもいいでしょ!」
「おむの奴がいないからこそ、リュックは空けておくのだ」
「えっ」
「奴がいつ帰ってきてもいいようにな」
「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ちゃんと出ました出しました

2011年01月31日 07時53分59秒 | B地点 おむ

 

 

保護、四日め。
前夜から朝にかけて、おむさんは初めて排便をした。

前回(二年前)の保護の時も、最初の数日間は、排便が見られなかった。だから今回も、余り心配はしていなかった。
便はやや硬めだが、特に問題はないようだ。肛門も大丈夫。

―― これで、「飲む・喰う・出す」がすべて揃った。
朝方、患部から少量の出血。

前日にあれだけ膿を絞ったので、このくらいは仕方がないだろう。
排尿も良好。
尿路系に関しては、とりあえず心配ないようだ。
よく食べる。
よく飲む。
断続的にだが、よく眠る。
投薬も、毎日スムーズだ。
問題は、やはり、精神面である。

既に述べた通り、室内生活になじめないのだ。
部屋の外に、出たくてたまらない。
窓の向こうが、気になってしょうがない。

おむさんは、痛ましい声で鳴き続ける。

出して下さい、あの川岸に帰して下さい、と訴え続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


排膿

2011年01月30日 20時03分06秒 | B地点 おむ

 

 

おむさん。

保護されてから、三日め。
前日にいったん出血したものの、その後は特に問題もないまま30時間が経過した。
08時30分。

私なりに、触診してみる。

傷口(カサブタ)は完全に乾いて、ガサガサしている。(周囲にこびりついているのも、前回出血した時の血が乾いたものである。)だが、患部を軽く押してみると、カサブタの下は、なにやら、ブヨブヨしている ―― 。

目視した限りでは、ふくれているようにも見えないが、しかし、内部が少し化膿しているのかもしれない。
14時40分。

剥がれかけたカサブタの周囲の隙間から、自然に膿汁が出てきた ―― 。

化膿止めを飲ませてはいるのだが、やはり、少し膿んでしまったのだ。
「もし化膿したら、外科的に排膿する」というのが獣医師の方針であったことは、既述の通り。

ところが運の悪いことに、この日は日曜で、かかりつけの動物病院は休診である。

費用の問題もあるので、他の病院を探すことはせず、私自身が膿を出すことにした。

おむさんの頭部を押さえ、畳んだウェットティッシュを患部に当てて、膿を押し出す。この作業を、何度も何度も繰り返す。

ティッシュを15枚ほども取り換えたろうか。結局、何も出なくなるまで、膿を絞り出してしまった。

(この処置は良かった、と、後日、獣医師にホメられた。もっとも、獣医師なら、患部を切開したであろうが。)
意外なことに、この処置をしている間、おむさんは全く痛がりもイヤがりもせず、私にすっかり身を任せていた。

治りかけの傷というものは、ムズムズするものである。そこをギュッギュッと強く押さえてもらったので、気持がよかったのだろう。或いは、膿を出すことに意味があるということを、本能的に知っているのかもしれない ―― 。

20時00分。

傷口はきれいになり、カサブタがある部分は、凹んでしまった。カサブタは再び乾いてきた。

化膿止めの抗生物質は、あと数日、投与を継続。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


仲良くなれるかな?

2011年01月30日 16時30分29秒 | B地点 その他

 

 

よっちゃん。
ゆうちゃん。

前日の、初顔合わせ(?)の時は、些か不穏な雰囲気だった、この二匹。

(※参照、「もどってきたよ」

今日は ―― 距離を置いて、睨み合っている。張り詰めた空気。

そんな二匹を見守るのは、おかか先生。
どうなることか!? とばかりに、身を乗り出して注視している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


声が聞こえる

2011年01月30日 15時43分08秒 | B地点 おむ

 

 

読者もよくご存じのことであるが ――

猫という動物は、互いに遠く離れていても、「心の声」で会話することができる。

俗に言う、テレパシーである。
だが、テレパシーで会話するためには、すさまじい精神集中を必要とする。

この日、おむさんは、患部から膿汁をしぼり出す処置を受けたため、精神を集中することができなかった。
ぐったり
「むっ!? 奴からのテレパシーが途絶えた!」
「奴の身に、何かあったのでは……」
「えっ!? 大変だ!」
「僕、大声で呼んでみるよ!」
「無駄だよ。やめておけ」
「いくら大声を出しても、肉声があそこまで届くはずがない」
「で、でも、僕、じっとしていられない……」
「とにかく、呼んでみるよ!」
「おむさあああ~ん!」
「おむさあん!」
「おむさぁあああああ~~~んっ!!」
「はっ!?」
「き、聞こえる! ゆうちゃんの声が!」
「ゆうちゃあん!」
なんと、このエリザベスカラーが、集音器の役割を果たしたのだ!

ゆうちゃんの叫び声が、物理的に届いたのである。
「ううっ。僕、がんばるよ……。もうすぐ帰るよ……」