おむさん急逝

2016年10月12日 12時10分27秒 | B地点 おむ

 秋めいてきました。拙宅でも、数日前に秋冬用の布団を出し、そしてカバーを取り替えたり、ついでにシーツや枕カバーも交換したりと、秋冬にむけての支度をしていました。
 昨日から干しておいたシーツが、よく乾いたので、私はシーツを取り込んで、寝室の押入れにしまいました。午前10時20分頃でした。
 
 おむさんが寝室にいたのか、私の後について入ってきたのか、覚えていませんが、めったに開かれることのない押入れの中がよく見えるので、おむさんは興味津々でした。ほうっておいたらおむさんは、押入れの中の探検を始めたでしょうが、私は押入れの戸を閉めてしまいました。私はおむさんを抱き上げて、頬ずりをしました。いつものスキンシップです。おむさんはダッコされるのが特に好きだというわけではありませんが、まんざら嫌いでもないのです。
 私は布団の上におむさんを下ろすと、洗面所(脱衣所)に向かいました。おむさんが私より先に寝室を出たのか、それとも私の後から出たのか、これも覚えていません。私は洗濯機の蓋を開けて、洗ったばかりの布団カバーを取り出し、干しに行こうとしました。その時……居間から「ゴトッ」という音が聞こえました。

 居間には南向きの出窓があります。高さは人間の膝くらいです。おむさんは日中、その出窓に上がって、ガラス越しの陽射しを浴びながら、うとうとするのです。それが、ここ数日の常でした。だから今も、いつものように、おむさんが出窓に乗ったのだろう、その拍子に何かモノを落としたのだろう、と私は思いました。
 洗濯物を手に持ったまま、居間に行ってみると、思ったとおりおむさんは出窓の上にいて、日の光に照らされ、向こうを向いて、横になって寝ています。近くにおいてあったアイロンのカバー(プラスチックのケース)が床に落ちています。
 アイロンのカバーを拾い上げながらおむさんを見ると……なんとなく寝方が不自然です。よくよく見ると……舌をだらんと垂らし、目を見開いて、「ケッ……ケッ……」と、小さな痙攣のような動きをしています。触ってみても、ぐったりしたままで、反応しません。抱き上げて出窓から下ろし、床に寝かせて、声をかけたり、なでたり、さすったりしましたが……30秒も経たないうちに、動きが止まりました。瞳孔も開いてしまいました。
 午前10時24分でした。


 


 あとになって考えてみると、「ゴトッ」というにぶい音は、アイロンのカバーが落ちた音ではなく、おむさんが倒れた音だったような気がします。おむさんは、私と前後して、寝室から出、廊下を移動し、居間に入って、ひょいと出窓に乗って……そこで急に倒れたのです。文字通りの突然死でした。

 私の寝室は和室です。私は布団を敷いて寝ています。猫ベッドも置いてありますが、おむさんは夏からずっと、猫ベッドは使わず、夜は私の布団の上で寝ていました。いつも私の足や腰のあたりで、私につかず離れずの位置で、丸くなって寝ていました。
 が、昨夜から今朝にかけて冷え込むと思われたので、私は昨夜、おむさんの猫ベッドのヒーターを点けました。(猫ベッドの下に敷いてある電気マットのスイッチを入れたわけです。)
 実際、当地では今朝、この秋初めて、気温が15度を下回ったそうです。でも、おむさんは、昨夜から今朝にかけて、暖かい猫ベッドで眠りました。今朝からの様子も、排泄も食事も水飲みも、普段と変わったところは何もありませんでした。
 けれど、ここ数日の、気候の変化が、おむさんの体に何らかの影響を与えたのかもしれません。

 おむさんは尿路結石ができやすい体質なので、ずっと療養食を与えていました。高齢でもあり(正確な年齢は不明ですが、15歳を超えていると推定されます)、3~4ヶ月ごとに健診を受けていました。視診・触診・聴診・血液検査・尿検査……毎回、特に大きな問題は見出されず、ほぼ健康体との検査結果でした。鼻に小さな腫瘍のようなものができかけていましたが、それも様子見の段階でした。まだまだ元気で長生きできるだろうと私は思っていましたが……発見が困難な、循環器系の疾患などがあったのかもしれません。
 死因は不明ですが、おそらく、急性・突発性の心疾患あるいは脳血管障害でしょう。