日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(545)「括弧」と「返り点」(Ⅲ)。

2020-03-09 15:54:32 | 「漢文訓読」と「括弧」。

―「昨日(令和02年03月08日)」の「記事」を補足します。―
(01)

従って、
(01)により、
(02)
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬。
といふ「漢文」に付くことが出来る「返り点」は、
① レ 乙 下 二 レ 一レ 上レ レ 甲レ
① 間 人 丙 下 二 一 中 上 乙 甲 二 一 地 天
① 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「通り」である。
然るに、
(03)
「返り点」は、
(ⅰ)レ、一レ、上レ、甲レ、天レ
(ⅱ)一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、・・・・・
(ⅲ)上、中、下
(ⅳ)甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸
(ⅴ)天、地、人
あるいは、
(ⅰ)レ、一レ、上レ、甲レ、天レ
(ⅱ)一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、・・・・・
(ⅲ)上、中、下
(ⅳ)天、地、人
(ⅴ)甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸
であるため、
  丙 下 二 一 中 上 乙 甲 二 一 地 天
といふ「点返り」は、実際には無い
従って、
(02)(03)により、
(04)
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬。
といふ「漢文」に付くことが出来る「返り点」は、
① レ 乙 下 二 レ 一レ 上レ レ 甲レ
① 丁 丙  下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「通り」である。
然るに、
(05)
(ⅰ)レ、一レ、上レ、甲レ、天レ
に於いて、
(ⅰ)レ  レ  レ  レ  レ は、「一字だけ上の字」にしか、「返れない」。
従って、
(01)(04)(05)により、
(06)
② 不常使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱良心有銭財以済医薬。
といふ「漢文」に付くことが出来る「返り点」は、
② 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「通り」である。
従って、
(04)(06)により、
(07)
② 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「返り点」は、
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬。
② 不常使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱良心有銭財以済医薬。
といふ「つの漢文」に、付くことが出来るものの、その一方で、
① レ 乙 下 二 レ 一レ 上レ レ 甲レ
といふ「返り点」は、
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬。
といふ「つの漢文」にしか、付くことが、出来ない
然るに、
(08)
漢字」に対して、「(レ点以外の)返り点」が付いてゐる。といふことは、
「(レ点以外の)返り点」に対して、「漢字」が付いてゐる。といふことと、「同じ」である。
然るに、
(09)
② 丁〈丙{人[下〔二(一)中(上)〕地(天)]二(一)乙(甲)}〉。
に於いて、
丁〈 〉⇒〈 〉丁
丙{ }⇒{ }丙
人[ ]⇒[ ]人
下〔 〕⇒〔 〕下
二( )⇒( )二
中( )⇒( )中
地( )⇒( )地
二( )⇒( )二
乙( )⇒( )乙
といふ「移動」を行ふと、
② 丁〈丙{人[下〔二(一)中(上)〕地(天)]二(一)乙(甲)}〉⇒
② 〈{[〔(一)二(上)中〕下(天)地]人(一)二(甲)乙}丙〉丁=
②          一 二 上 中 下 天 地 人 一 二 甲 乙 丙 丁。
といふ「ソート(並び替へ)」を、行ふことになる。
従って、
(08)(09)により、
(10)
② 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「返り点」が付いてゐる「漢文」があるならば、「その漢文」は、
② 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「返り点」の「代はり」に、
②〈 { [ 〔 ( )( ) 〕( ) ]( )( ) } 〉
といふ「括弧」を用ひて、「訓読語順」を、示すことが出来る。
従って、
(01)(10)により、
(11)
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬=
① 不使籍誠不以済
① 不〈使{籍誠不[以〔畜(子)憂(寒)〕乱(心)]有(財)以済(薬)}〉⇒
① 〈{籍誠[〔(子)畜(寒)憂〕以(心)乱]不(財)有以(薬)済}使〉不=
① 〈{籍をして誠に[〔(子を)畜ひ(寒さを)憂ふる〕以て(心を)乱さ]不(財)有りて以て(薬を)済さ}使め〉不。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
従って、
(01)(10)(11)により、
(12)
② 不常使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱心有銭財以済医薬=
② 不常使籍誠不妻子飢寒良心銭財以済医薬
② 不〈常使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(良心)]有(銭財)以済(医薬)}〉⇒
② 〈常{籍誠[〔(妻子)畜(飢寒)憂〕以(良心)乱]不(銭財)有以(医薬)済}使〉不=
② 〈常には{籍をして誠に[〔(妻子を)畜ひ(飢寒を)憂ふる〕以て(良心を)乱さ]不(銭財)有りて以て(医薬を)済さ}使め〉不。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
然るに、
(13)
② 不常使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱心有銭財以済医薬=
② 不〈常使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(良心)]有(銭財)以済(医薬)}〉。
に於いて、
② 常使= 副詞+動詞 は、「修飾構造」。
② 妻子= 体言+体言 は、「並列構造」。
② 飢寒= 体言+体言 は、「並列構造」。
② 良心=形容詞+体言 は、「修飾構造」。
② 銭財= 体言+体言 は、「並列構造」。
② 医薬= 体言+体言 は、「並列構造」。
然るに、
(14)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(11)~(14)により、
(15)
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬=
① 不使籍誠不以済
① 不〈使{籍誠不[以〔畜(子)憂(寒)〕乱(心)]有(財)以済(薬)}〉。
といふ「漢文」と、
② 不常使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱心有銭財以済医薬=
② 不常使籍誠不妻子飢寒良心銭財以済医薬
② 不〈常使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(良心)]有(銭財)以済(医薬)}〉。
といふ「漢文」に於いて、
① の「返り点と、補足構造」は、
② の「返り点と、補足構造」に、「等しい」。
従って、
(15)により、
(16)
① 不使籍誠不以済
② 不使籍誠不以済
に於ける、
① 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
② 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「返り点」、並びに、
②〈 { [ 〔 ( )( ) 〕( ) ]( )( ) } 〉
②〈 { [ 〔 ( )( ) 〕( ) ]( )( ) } 〉
といふ「括弧」は、
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬。
② 不常使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱心有銭財以済医薬。
といふ「訓読語順と、補足構造」を、示してゐる。
然るに、
(07)により、
(17)
もう一度、確認するものの、
① 不使籍誠不子憂一レ寒 乱上レ心有財以済甲レ薬。
に付いてゐる、
 乙 下 二 レ 一レ 上レ レ 甲レ
といふ「返り点」は、
② 不常使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱心有銭財以済医薬。
に対して、付くことが、出来ない
従って、
(16)(17)により、
(18)
 乙 下 二 レ 一レ 上レ レ 甲レ
といふ「返り点」は、
① 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「返り点」とは、異なり
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬。
といふ「漢文」の、「訓読語順」だけしか、示してゐない。
従って、
(01)~(18)により、
(19)
(ⅰ)レ、一レ、上レ、甲レ、天レ
(ⅱ)一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、・・・・・
(ⅲ)上、中、下
(ⅳ)甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸
(ⅴ)天、地、人
から、(ⅰ)を除かない限り、「返り点」は、「訓読語順」だけしか、示してゐない。
然るに、
(20)
③{ [ 〔 ( )( ) 〕( ) ]( )( ) }
に於いて、
( を、二 と見做し、
 ) を、一 と見做し、
〔 を、下  と見做し、
 〕 を、上 と見做し、
[ を、乙 と見做し、
 ] を、甲 と見做し、
{ を、天 と見做し、
 } を、地 と見做すならば、
③ { [ 〔 ( )( ) 〕( ) ]( )( ) }
④ 地 乙 下 二 一二 一 上二 一 甲二 一二 一 天
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(21)
③ 使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱心有銭財以済医薬=
③ 使籍誠不妻子飢寒φφ銭財以済φ
③ 使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)φ〕乱(心)φ]有(銭財)以済(医薬)φ}⇒
③ {籍誠[〔(妻子)畜(飢寒)憂φ〕以(心)乱φ]不(銭財)有以(医薬)済φ}使=
③ {籍をして誠に[〔(妻子を)畜ひ(飢寒を)憂ふるφ〕以て(心を)乱さφ]不(銭財)有りて以て(医薬を)済さφ}使む。
然るに、
(22)
③ {籍をして誠に[〔(妻子を)畜ひ(飢寒を)憂ふるφ〕以て(心を)乱さφ]不(銭財)有りて以て(医薬を)済さφ}使む。
に於いて、
③                         φ         φ                  φ
は、「読まない」し、尚且つ、「書かない」ものとする。
従って、
(21)(22)により、
(23)
③ 使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱心有銭財以済医薬=
③ 使籍誠不妻子飢寒銭財以済医薬
③ 使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(心)]有(銭財)以済(医薬)}⇒
③ {籍誠[〔(妻子)畜(飢寒)憂〕以(心)乱]不(銭財)有以(医薬)済}使=
③ {籍をして誠に[〔(妻子を)畜ひ(飢寒を)憂ふる〕以て(心を)乱さ]不(銭財)有りて以て(医薬を)済さ}使む。
といふ「漢文訓読」が成立する。
従って、
(20)~(23)により、
(24)
( ) 〔 〕 [ ] { } といふ「 括弧 」は、
二 一 下 上 乙 甲 地 天 といふ「返り点」である。
といふ風に、言へないことも、ない。



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