(01)
② 風邪を引いたので会社を休む。
と言へるためには、
① 風邪を引いたならば会社を休む。
といふ「命題」が、「真」でなければならない。
従って、
(01)により、
(02)
② PなのでQである(PなればQなり)。
と言へるためには、
① PならばQである(PならばQなり)。
といふ「命題」が、「真」でなければならない。
然るに、
(03)
1 (1)PならばQである。 仮定
2(2)Pである。 仮定
12(3) Qである。 12前件肯定
従って、
(03)により、
(04)
1 (1)P→Q A
2(2)P A
12(3) Q 12MPP
然るに、
(05)
「・・・・・という仮定が与えられるならば、・・・・・と正しく結論することができる」という煩雑な表現の略記法があれば好都合であろう。このためわたしは、論理学の文献のなかでしばしば、しかし誤解を招きやすい仕方で、断定記号(assertion-sign)、
├
を導入する。これは「故に」(therefore)と読むのが便利であろう。
(E.J.レモン、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学入門、16頁)
従って、
(01)~(05)により、
(06)
② P→Q,P├ Q
② PならばQである。Pである。ので、Qである。
といふ「連式」に於ける、
② P→Q
② PならばQである。
といふ「仮言命題」が、「省略」された形が、
② P├ Q
② PなのでQである。
といふ「連式」である。
然るに、
(07)
① PならばQである。
② PなのでQである。
といふ「口語」は、
① Pなら(未然形)ばQなり。
② Pなれ(已然形)ばQなり。
といふ「文語」に相当し、
① 未然形
(c)
「ば」に続いて「仮定条件」を表す。
*未然―「未だ然からず」、すなわち「まだ、そうなっていない」の意である。
⑤ 已然形
(a)「ば」「ども」に続いて「確定条件」を表す。
*已然―前の「未然」の反対で、「已に然り」、すなわち、「すでにそうなっている」の意である。
(中村菊一、基礎からわかる古典文法、1978年、23・24頁)
従って、
(01)~(07)により、
(08)
① 風邪を引いたならば会社を休む。
② 風邪を引いたので会社を休む。
といふ「口語」は、
① 風邪引か(未然形)ば会社を休む。
② 風邪引け(已然形)ば会社を休む。
といふ「文語」に訳すことが出来、
① 風邪引か(未然形)ば会社を休む。
② 風邪引け(已然形)ば会社を休む。
といふ「文語」は、
① 風邪を引いた→ 会社を休む。
② 風邪を引いた├ 会社を休む。
といふ風に、書くことが出来る。
従って、
(06)(08)により、
(09)
② 風邪引け(已然形)ば会社を休む。
といふ「日本語」は、
②(風邪引かば会社を休む、)風引きぬ。├ 会社を休む。
といふ「意味」である。
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