日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(1223)「法律家にも論理学は必要である(?)」:「順・対偶・逆・裏」について。

2022-08-01 14:30:44 | 論理

(01)
①「大和なでしこ」であるならば「女性」である(順)。
②「女性」でないならば「大和なでしこ」ではない(対偶)。
③「女性」であるならば「大和なでしこ」である(逆)。
④「大和なでしこ」でないならば「女性」でない(裏)。
ということは、
①「日本人&女性」であるならば「女性」である(順)。
②「女性」でないならば「日本人&女性」ではない(対偶)。
③「女性」であるならば「日本人&女性」である(逆)。
④「日本人&女性」でないならば「女性」ではない(裏)。
ということである。
従って、
(01)により、
(02)
①「大和なでしこ」であるならば「女性」である(順)。
②「女性」でないならば「大和なでしこ」ではない(対偶)。
に於いて、明らかに、
① は「真(本当)」であって、
② も「真(本当)」である。
然るに、
(03)
③「外国人&女性」であれば、「女性」であるが、
③「外国人&女性」であれば、「日本人女性(大和なでしこ)」ではない。
従って、
(01)(03)により、
(04)
③「女性」であるならば「大和なでしこ」である(逆)。
という「命題」は、「真」であるとは、限らない。
然るに、
(05)
④「日本人&女性」でない。
ということは、
④「外国人&女性」である。
④「日本人&男性」である。
④「外国人&男性」である。
という「3通り」の、「どれか1つ」である。
然るに、
(06)
④「外国人&女性」であるならば、   「女性」であるため、
④「日本人&女性」でないからと言って、「女性」でないとは、言えない。
従って、
(01)(06)により、
(07)
④「外国人&女性」であるならば、   「女性」であるため、
④「大和なでしこ」でないからと言って、「女性」でないとは、言えない。
従って、
(02)(04)(07)により、
(08)
①「大和なでしこ」であるならば「女性」である(順)。
②「女性」でないならば「大和なでしこ」ではない(対偶)。
③「女性」であるならば「大和なでしこ」である(逆)。
④「大和なでしこ」でないならば「女性」でない(裏)。
に於いて。
① は「真(本当)」であって、
② も「真(本当)」であるものの、その一方で、
③ は「偽(ウソ)」であって、
④ も「偽(ウソ)」である。
従って、
(08)により、
(09)
P=大和なでしこである。
Q=女性である。
として、
①  P→ Q(順)
② ~Q→~P(対偶)
③  Q→ P(逆)
④ ~P→~Q(裏)
に於いて、
①=② であるが、
①=③ ではないし、
①=④ でもない。
従って、
(09)により、
(10)
P=任意の命題。
Q=任意の命題。
として、
①  P→ Q(順)
② ~Q→~P(対偶)
③  Q→ P(逆)
④ ~P→~Q(裏)
に於いて、
①=② であるが、
①=③ ではないし、
①=④ でもない。
従って、
(10)により、
(11)
P=~P
という「代入」を行ふと、
①  ~P→  Q(順)
②  ~Q→~~P(対偶)
③    Q→ ~P(逆)
④ ~~P→ ~Q(裏)
に於いて、
①=② であるが、
①=③ ではないし、
①=④ でもない。
従って、
(11)により、
(12)
「二重否定」により、
① ~P→ Q(順)
② ~Q→ P(対偶)
③   Q→~P(逆)
④  P→~Q(裏)
に於いて、
①=② であるが、
①=③ ではないし、
①=④ でもない。
然るに、
(12)により、
(13)
① ~P→ Q(順)
②  P→ Q(?)
③  P→~Q(裏)
に於いて、
①と②の「関係」に、「名前」は無く、
①と③の「関係」は、「順と裏」である。
然るに、
(14)
1  (1)P→ Q A
 2 (2)P→~Q A
  3(3)P    A
1 3(4)   Q 13MPP
 23(5)  ~Q 23MPP
123(6)Q&~Q 45&I
従って、
(13)(14)により、
(15)
① ~P→ Q(順)
②  P→ Q(?)
③  P→~Q(裏)
に於いて、
②と③は、「矛盾」する。
従って、
(10)(15)により、
(16)
① ~P→ Q(順)
②  P→ Q(?)
③  P→~Q(裏)
に於いて、
①=③ であると、「勘違い(誤解)」をすると、
①と② は「矛盾」する。
然るに、
(17)
P=法律を知っている。
Q=不幸になる。
とすると、
① 法律を知らないと不幸になる(順)。
② 法律を知っているくせに不幸になる(?)。
③ 法律を知ってさえいれば不幸にならない(裏)。
という「命題」は、
① ~P→ Q(順)
②  P→ Q(?)
③  P→~Q(裏)
という風に、書くこと出来る。
従って、
(16)(17)により、
(18)
① 法律を知らないと不幸になる(順)。
② 法律を知っているくせに不幸になる(?)。
③ 法律を知ってさえいれば不幸にならない(裏)。
に於いて、
①=③ であると、「勘違い(誤解)」をすると、
①と② は「矛盾」する。
然るに、
(19)
瀧田早苗、二七才、東京大学法学部卒、―中略―つまり、極めて優秀なエリートだということだ。―中略―、
「正義の定義によりますね。先生は、ずっと法律を知らないと不幸になると、おっしゃっています。
 まったく同感です。でも、多くの弁護士は、法律を知っているくせに、依頼者を幸福にできていません。」
(真山仁 作、レインメーカー)
然るに、
(19)により、
(20)
瀧田早苗(二七才、東京大学法学部卒、ヤメ検、美人)は、
① 法律を知らないと不幸になる(順)。
② 法律を知っているくせに不幸になる(?)。
に於いて、
①と② は「矛盾」すると、思っている。
従って、
(18)(19)(20)により、
(21)
瀧田早苗(二七才、東京大学法学部卒、ヤメ検、美人)は、
① 法律を知らないと不幸になる(順)。
③ 法律を知ってさえいれば不幸にならない(裏)。
に於いて、
①=③ であると、「勘違い(誤解)」をしている。
然るに、
(22)
瀧田早苗(二七才、東京大学法学部卒、ヤメ検、美人)は、「論理学の初歩」である、「順と裏」の「区別」が付かないし、
③ 法律を知ってさえいれば不幸にならない(裏)。
という「命題」は、「真(本当)」であるとは、言えない。
従って、
(22)により、
(23)
小説の中の、瀧田早苗(二七才、東京大学法学部卒、ヤメ検、美人)を、
極めて優秀なエリートだとすることは、出来ない。
然るに、
(24)
とある法学徒の社会探訪:
法律学というのは、時に、同じ出発点である、例えば条文やより高次の法理を共有しながら、結論を異にすることがあります(例えば、拙稿「表立ってはいえない犯罪論その2」で挙げた事例も、結論を異にする発想は、十分にあり得ます)。そうであれば、法律学は「論理的な学」ではないということになりそうです(そして、おそらく、この現実に気づいた法律学の初学者は一気に法律学に対する興味をなくしているのではないかとすら疑われます)。
とのことである。
令和04年08月01日、毛利太。