日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(863)「含意の定義」と「∨I(選言導入)」と「移出律」と「移入律」。

2021-04-10 15:48:01 | 論理

(01)
―「含意の定義」の証明。―
(ⅰ)
1  (1)    P→Q  A
 2 (2) ~(~P∨Q) A
  3(3)   ~P    A
  3(4)   ~P∨Q  3∨I(選言導入)
 23(5) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q) 24&I
 2 (6)  ~~P    35RAA
 2 (7)    P    6DN
12 (8)      Q  17MPP
12 (9)   ~P∨Q  8∨I(選言導入)
12 (ア) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q) 29&I
1  (イ)~~(~P∨Q) 2アRAA
1  (ウ)   ~P∨Q  イDN
(ⅱ)
1     (1) ~P∨ Q   A
 2    (2)  P&~Q   A
  3   (3) ~P      A
 2    (4)  P      2&E
 23   (5) ~P&P    34&I
  3   (6)~(P&~Q)  25RAA
   7  (7)     Q   A
 2    (8)    ~Q   2&E
 2 7  (9)  Q&~Q   78&I
   7  (ア)~(P&~Q)  29RAA
1     (イ)~(P&~Q)  1367ア∨E
    ウ (ウ)  P      A
     エ(エ)    ~Q   A
    ウエ(オ)  P&~Q   ウエ&I
1   ウエ(カ)~(P&~Q)&
          (P&~Q)  イオ&I
1   ウ (キ)   ~~Q   エカRAA
1   ウ (ク)     Q   キDN
1     (ケ)  P→ Q   ウクCP
然るに、
(02)
1(1)            P    A
1(2)         ~T∨P    1∨I(選言導入)
1(3)          T→P    2含意の定義
1(4)      ~S∨(T→P)   3∨I(選言導入)
1(5)       S→(T→P)   4含意の定義
1(6)   ~R∨(S→(T→P))  5∨I(選言導入)
1(7)    R→(S→(T→P))  6含意の定義
1(8)~Q∨(R→(S→(T→P))) 7∨I(選言導入)
1(9) Q→(R→(S→(T→P))) 8含意の定義
従って、
(02)により、
(03)
例へば、
① P├ T→P
① P├ S→(T→P)
① P├ R→(S→(T→P))
① P├ Q→(R→(S→(T→P)))
といふ「連式(Sequent)」は、「妥当」である。
然るに、
(04)
演繹定理(Deduction theorem)は次のように表現される。
A は論理式で、B も論理式で、Γ は複数の論理式の列であるとする。
このとき、
 Γ,A├ B
であるならば、
 Γ├ A→B
であるが、
 Γ が空のときは当然、
  ├ A→B
である。
(長尾真・淵一博、論理と意味、1983年、39・40頁改)
従って、
(03)(04)により、
(05)
「演繹的理」により、
② ├ P→(T→P)
② ├ P→(S→(T→P))
② ├ P→(R→(S→(T→P)))
② ├ P→(Q→(R→(S→(T→P))))
といふ「連式(Sequent)」は、「妥当」である。
従って、
(02)~(05)により、
(06)
1(1)              P     A
1(2)           ~T∨P     1∨I(選言導入)
1(3)            T→P     2含意の定義
1(4)        ~S∨(T→P)    3∨I(選言導入)
1(5)         S→(T→P)    4含意の定義
1(6)     ~R∨(S→(T→P))   5∨I(選言導入)
1(7)      R→(S→(T→P))   6含意の定義
1(8)  ~Q∨(R→(S→(T→P)))  7∨I(選言導入)
1(9)   Q→(R→(S→(T→P)))  8含意の定義
 (ア)P→(Q→(R→(S→(T→P)))) 19CP(演繹定理)
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(07)
① P→(T→P)
① P→(S→(T→P))
① P→(R→(S→(T→P)))
① P→(Q→(R→(S→(T→P))))
に於いて、
Pは、「真」であるか、「偽」であるかの、いづれかである。
然るに、
(08)
① A→B は、
① 真→偽 であるならば、そのときに限って「偽」である。
従って、
(08)により、
(09)
① 真→(T→真)
① 真→(S→(T→真))
① 真→(R→(S→(T→真)))
① 真→(Q→(R→(S→(T→真))))
は、4つとも、「真」であり、
① 偽→(T→偽)
① 偽→(S→(T→偽))
① 偽→(R→(S→(T→偽)))
① 偽→(Q→(R→(S→(T→偽))))
も、4つとも、「真」である。
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
いづれにせよ、
① P→(T→P)
① P→(S→(T→P))
① P→(R→(S→(T→P)))
① P→(Q→(R→(S→(T→P))))
といふ「論理式」は、「真(トートロジー)」である。
然るに、
(11)
(ⅰ)
1     (1)P→(Q→(R→(S→(T→P)))) A
 2    (2)P&Q&R&S&T           A
 2    (3)P                   2&E
 2    (4)  Q                 2&E
 2    (5)    R               2&E
 2    (6)      S             2&E
 2    (7)        T           2&E
12    (8)  Q→(R→(S→(T→P)))   13MPP
12    (9)     R→(S→(T→P))    48MPP
12    (ア)        S→(T→P))    59MPP
12    (イ)           T→P      6アMPP
1     (ウ)             P      7イMPP
      (エ)(P&Q&R&S&T)→P       1ウCP(演繹定理)
(ⅱ)
1     (1)(P&Q&R&S&T)→P       A
 2    (2) P                  A
  3   (3)   Q                A
   4  (4)     R              A
    5 (5)       S            A
     6(6)         T          A
 23   (7)P&Q                 34&I
 234  (8)P&Q&R               47&I
 2345 (9)P&Q&R&S             58&I
 23456(ア)P&Q&R&S&T           69&I
123456(イ)          P         1アMPP
12345 (ウ)            T→P     6イCP(演繹定理)
1234  (エ)         S→(T→P)    5ウCP(演繹定理)
123   (オ)      R→(S→(T→P))   4エCP(演繹定理)
12    (カ)   Q→(R→(S→(T→P)))  3オCP(演繹定理)
1     (キ)P→(Q→(R→(S→(T→P)))) 2カCP(演繹定理)
従って、
(11)により、
(12)
①  P→(Q→(R→(S→(T  →P))))
②(P&  Q&  R&  S&  T)→P
に於いて、
①=② である(移入律・移出律)。
従って、
(11)(12)により、
(13)
①  P→(Q →P)
②(P& Q)→P
に於いて、
①=② である(移入律・移出律)。
然るに、
(14)
①  Pならば(Qならば、Pである)。
②(PであってQである)ならば、Pである。
に於いて、
② は、「当然」であるが、
① は、「奇異」である。
然るに、
(15)
因みに、
① P→(Q→P)
① Pならば(Qならば、Pである)。
は、「ルカジェヴィッツの公理(Ⅰ)」である。
然るに、
(16)
(ⅰ)
1(1)      P  A
1(2)   ~Q∨P  1∨I(選言導入)
1(3)    Q→P  2含意の定義
 (4)P→( Q→P) 13CP(演繹定理)
(ⅱ)
1(1)      P  A
1(2)    Q∨P  1∨I(選言導入)
1(3)  ~~Q∨P  2DN
1(4)   ~Q→P  3含意の定義
 (5)P→(~Q→P) 14CP(演繹定理)
従って、
(15)(16)により、
(17)
① Pならば(Qであるならば、Pである)。
② Pならば(Qでないならば、Pである)。
に於いて、
① が、「ルカジェヴィッツの公理(Ⅰ)」であるならば、
② も、「ルカジェヴィッツの公理(Ⅰ)」である。
従って、
(15)(17)により、
(18)
① P→(Q→P)
である所の、「ルカジェヴィッツの公理(Ⅰ)」は、
① Pならば(Qであるなしに拘はらず、Pである)。
といふ「意味」に、他ならない。
従って、
(13)(14)(18)により、
(19)
①  P→(Q →P)
②(P& Q)→P
に於いて、すなはち、
① Pならば(Qであるなしに拘はらず、Pである)。
②(PであってQである)ならば、いづれにせよ、Pである。
に於いて、
①=② である(移入律・移出律)。
然るに、
(06)により、
(20)
もう一度、確認すると、
1(1)              P     A
1(2)           ~T∨P     1∨I(選言導入)
1(3)            T→P     2含意の定義
1(4)        ~S∨(T→P)    3∨I(選言導入)
1(5)         S→(T→P)    4含意の定義
1(6)     ~R∨(S→(T→P))   5∨I(選言導入)
1(7)      R→(S→(T→P))   6含意の定義
1(8)  ~Q∨(R→(S→(T→P)))  7∨I(選言導入)
1(9)   Q→(R→(S→(T→P)))  8含意の定義
 (ア)P→(Q→(R→(S→(T→P)))) 19CP(演繹定理)
従って、
(06)(11)(12)により、
(21)
「移入律・移出律」が成り立つためには、「∨I選言導入)」が、「不可欠」である。
然るに、
(22)
我々は、普段、「今日は土曜である(P)。故に、今日は天気が悪いか、または、今日は土曜である(~T∨P)。」
といふやうな「推論(選言導入)」を、行ふことはない
従って、
(20)(21)(22)により、
(23)
「今日は土曜である(P)。故に、今日は天気が悪いか、または、今日は土曜である(~T∨P)。」といふやうな「推論(選言導入)」は、「役に立たない」やうでゐて、その一方で、「命題論理」といふ「体系」に於いては、「不可欠な推論」である。
といふ、ことになる。