―「昨日(令和03年04月11日)の記事」を書き直します。―
(01)
1(1)∃x(Fx) A
2(2) Fa A
といふ「仮定」は「妥当」であり、それ故、
連式 ∃x(Fx)├ Fa
といふ「連式」も「妥当」でなければ、ならない。
然るに、
(02)
連式 Fa├ ∃x(Fx)
は妥当であると受けいれるが、
連式 ∃x(Fx)├ Fa
を妥当であるとは考えず、aは任意に選ばれているが、与えられたFをもつ対象の一つではないかも知れないから、この連式を受け入れないのである。
(E.J.レモン 著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、149頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
① ∃x(Fx)├ Fa
② ∃x(Fx)├ Fa
に於いて、
① は「妥当」であって、
② は「妥当」ではない。
といふ風に、「矛盾」する。
然るに、
(04)
(α)「あるxはF」なので、取り合へず、「aがFである」と仮定して、「Fa」としよう。ところが、
(β)「すべてのxについて(xがFであるならば、xはGである)。」といふことからすれば、
(〃)「FaならばGaである」といふことは、「事実」であり、
(〃)「FbならばGbである」といふことも、「事実」であり、
(〃)「FcならばGcである」といふことも、「実事」であるため、「Fa」ではなく、
「Fb」であったとしても、
「Fb」ではなく、
「Fc」であったとしても、いづれにせよ、
(γ)「あるxは、Fであって、尚且つ、Gである。」といふことには、変はりがない。
といふのが、
(ⅰ)
1 (1)∃x(Fx) A
2 (2) Fa A(代表的選言項)
3(3)∀x(Fx→Gx) A
3(4) Fa→Ga 1UE
1 3(5) Ga 24MPP
123(6) Fa&Ga 25&I
123(7)∃x(Fx&Gx) 6EI
1 3(8)∃x(Fx&Gx) 6EI
といふ「計算」の、「その心(意味)」である。
(05)
(α)「あるxはF」 なので、取り合へず、「aがFである」 と仮定して、「Fa」 としよう。
(β)「あるxはF→G」なので、取り合へず、「aがF→Gである」と仮定して、「Fa→Ga」としよう。ところが、
(〃)「FaならばGaである」といふことは、「仮定」に過ぎないため、
(〃)「FbならばGbである」といふことが、「本当」なのかも知れないし、
(〃)「FcならばGcである」といふことが、「本当」なのかも知れないため、この場合は、
(γ)「あるxは、Fであって、尚且つ、Gである。」とは、「断定」出来ない。
といふのが、
(ⅱ)
1 (1)∃x(Fx→Gx) A
2 (2)∃x(Fx) A
3 (3) Fa→Ga A(代表的選言項)
4(4) Fa A(代表的選言項)
34(5) Ga 34MPP
34(6) Fa&Ga 45&I
34(7)∃x(Fx&Gx) 6EI
23 (8)∃x(Fx&Gx) 247EE
12 (9)∃x(Fx&Gx) 138EE
といふ「計算」の、「その心(意味)」である。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① ∃x(Fx),∀x(Fx→Gx)├ ∃x(Fx&Gx)
② ∃x(Fx),∃x(Fx→Gx)├ ∃x(Fx&Gx)
に於いて、すなはち、
① あるxは(Fである)。すべてのxについて(xがFであるならば、xはGである)。故に、あるxは(Fであって、Gである)。
② あるxは(Fである)。 あるxについて(xがFであるならば、xはGである)。故に、あるxは(Fであって、Gである)。
に於いて、
① は、「妥当」であるが、
② は、「妥当」ではない。
従って、
(01)(06)により、
(07)
連式 Fa├ ∃x(Fx)
は妥当であると受けいれるが、
連式 ∃x(Fx)├ Fa
を妥当であるとは考えないにしても、
(ⅰ)
1 (1)∃x(Fx) A
2 (2) Fa A(代表的選言項)
3(3)∀x(Fx→Gx) A
3(4) Fa→Ga 1UE
1 3(5) Ga 24MPP
123(6) Fa&Ga 25&I
123(7)∃x(Fx&Gx) 6EI
1 3(8)∃x(Fx&Gx) 6EI
といふ「計算」に於ける、
1 (1)∃x(Fx) A
2 (2) Fa A(代表的選言項)
といふ「仮定」に関しては、「妥当」である。
といふ、ことになる。
然るに、
(08)
われわれはつぎのように証明をはじめるであろう。
1 (1)∃x(Fx)&∃x(Gx) A
1 (2)∃x(Fx) 1&E
1 (3) ∃x(Gx) 1&E
4 (4) Fa A
5(5) Gb A
45(6) Fa&Gb 45&I
45(7)∃x(Fx&Gx) 6EI
存在命題(2)および(3)に対して、われわれは
代表的選言項(4)(5)を仮定し、それらから、
∃x(Fx&Gx)
を導出した。しかし、EEを適用するどのようなくわだても、こんどはうまく行かない。
(7)の行の結論は(4)と(5)に依存し、そのいずれにも「a」が現われているからである。
(E.J.レモン 著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、154頁)
従って、
(05)(08)により、
(09)
(ⅱ)
1 (1)∃x(Fx→Gx) A
2 (2)∃x(Fx) A
3 (3) Fa→Ga A(代表的選言項)
4(4) Fa A(代表的選言項)
34(5) Ga 34MPP
34(6) Fa&Ga 45&I
34(7)∃x(Fx&Gx) 6EI
23 (8)∃x(Fx&Gx) 247EE
12 (9)∃x(Fx&Gx) 138EE
といふ「計算」と、
(ⅲ)
1 (1)∃x(Fx)&∃x(Gx) A
1 (2)∃x(Fx) 1&E
1 (3) ∃x(Gx) 1&E
4 (4) Fa A(代表的選言項)
5(5) Ga A(代表的選言項)
45(6) Fa&Gb 45&I
45(7)∃x(Fx&Gx) 6EI
14 (8)∃x(Fx&Gx) 357EE
1 (9)∃x(Fx&Gx) 248EE
といふ「計算」は、両方とも、「マチガイ」である。
従って、
(09)により、
(10)
(ⅱ)
1 (1)∃x(Fx→Gx) A
2 (2)∃x(Fx) A
3 (3) Fa→Ga A(代表的選言項)
4(4) Fa A(代表的選言項)
(ⅲ)
1 (1)∃x(Fx)&∃x(Gx) A
1 (2)∃x(Fx) 1&E
1 (3) ∃x(Gx) 1&E
4 (4) Fa A(代表的選言項)
5(5) Ga A(代表的選言項)
がさうであるやうに、「2つの存在命題」から、
(ⅱ)
12 (9)∃x(Fx&Gx) 138EE
(ⅲ)
1 (9)∃x(Fx&Gx) 248EE
のやうに、「1つの存在命題」を、「結論」することは、出来ない。