― 今日は、(479)へのアクセスが、多くなってゐます。―
(01)
命題計算では、パースの法則は ((P→Q)→P)→P のことを言う。この意味するところを書き出すと、命題Pについて、命題Qが存在して、「PならばQ」からPが真であることが従うときには、Pは真でなければならないとなる。とりわけ、Qとして偽を選んだ場合には、Pから偽が従うときは常にPが真であるならば、Pは真であるとなる。
パースの法則は直観論理や中間命題論理では成立せず、演繹定理だけからでは導くことができない(ウィキペディア)。
(02)
1 (1) (P→Q)→P A
2 (2) ~P∨Q A
2 (3) P→Q 2含意の定義
12 (4) P 13MPP
1 (5) (~P∨Q)→P 24CP
1 (6)~(~P∨Q)∨P 2含意の定義
7 (7)~(~P∨Q) A
7 (8) P&~Q 7ド・モルガンの法則
7 (9) P 8&E
ア(ア) P A
1 (イ) P 679アア∨E
(ウ)((P→Q)→P)→P 1イCP
従って、
(01)(02)により、
(03)
((P→Q)→P)→P である所の、「パースの法則」は、 「A、含意の定義、MPP、CP、ド・モルガンの法則、&E、∨E」によって、「証明」出来る。
然るに、
(04)
―「含意の定義」の証明。―
(ⅰ)
1 (1) P→Q A
2 (2) ~(~P∨Q) A
3(3) ~P A
3(4) ~P∨Q 3∨I
23(5) ~(~P∨Q)&
(~P∨Q) 24&I
2 (6) ~~P 35RAA
2 (7) P 6DN
12 (8) Q 17MPP
12 (9) ~P∨Q 8∨I
12 (ア) ~(~P∨Q)&
(~P∨Q) 29&I
1 (イ)~~(~P∨Q) 2アRAA
1 (ウ) ~P∨Q イDN
(ⅱ)
1 (1) ~P∨ Q A
2 (2) P&~Q A
3 (3) ~P A
2 (4) P 2&E
23 (5) ~P&P 34&I
3 (6)~(P&~Q) 25RAA
7 (7) Q A
2 (8) ~Q 2&E
2 7 (9) Q&~Q 78&I
7 (ア)~(P&~Q) 29RAA
1 (イ)~(P&~Q) 1367ア∨E
ウ (ウ) P A
エ(エ) ~Q A
ウエ(オ) P&~Q ウエ&I
1 ウエ(カ)~(P&~Q)&
(P&~Q) イオ&I
1 ウ (キ) ~~Q エカRAA
1 ウ (ク) Q キDN
1 (ケ) P→ Q ウクCP
(05)
―「ド・モルガンの法則」の証明(Ⅰ)。―
(ⅰ)
1 (1) ~( P& Q) A
2 (2) ~(~P∨~Q) A
3 (3) ~P A
3 (4) ~P∨~Q 3∨I
23 (5) ~(~P∨~Q)&
(~P∨~Q) 24&I
2 (6) ~~P 35RAA
2 (7) P 6DN
8(8) ~Q A
8(9) ~P∨~Q 8∨I
2 8(ア) ~(~P∨~Q)&
~P∨~Q 29&I
2 (イ) ~~Q 8アRAA
2 (ウ) Q イDN
2 (エ) P& Q 7ウ&I
12 (オ) ~( P& Q)&
( P& Q) 1エ&I
1 (カ)~~(~P∨~Q) 2オRAA
1 (キ) ~P∨~Q カDN
(ⅱ)
1 (1) ~P∨~Q A
2 (2) P& Q A
3 (3) ~P A
2 (4) P 2&E
23 (5) ~P&P 34&I
3 (6) ~( P& Q) 25RAA
7(7) ~Q A
2 (8) Q 2&E
2 7(9) ~Q&Q 78&I
7(ア) ~( P& Q) 29RAA
1 (イ) ~( P& Q) 1367ア∨E
従って、
(04)(05)により、
(06)
「含意の定義」と「ド・モルガンの法則」は、
「A、∨I、&I、RAA、DN、MPP、&E、CP、∨E」によって、「証明」出来る。
従って、
(03)(06)により、
(07)
((P→Q)→P)→P である所の、「パースの法則」は、
「A、含意の定義、MPP、CP、ド・モルガンの法則、&E、∨E」によって、「証明」出来、
「含意の定義」と「ド・モルガンの法則」は、
「A、∨I、&I、RAA、DN、MPP、&E、CP、∨E」によって、「証明」出来る。
従って、
(07)により、
(08)
((P→Q)→P)→P である所の、「パースの法則」は、
「A、MPP、DN、CP、&I、&E、∨I、∨E、RAA」によって、「証明」出来る。
然るに、
(09)
((P→Q)→P)→P である所の、「パースの法則」は、
「E.J.レモンの、自然演繹の規則」である所の、「原子規則(10 primitive rules)」である、
「A、MPP、DN、CP、&I、&E、∨I、∨E、RAA」によって、「証明」出来る。
然るに、
(10)
命題計算の規則は、本質的にゲンツェン(G.Gentzen)」に由来するものである。
(E.J.レモン 著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、序ⅲ)
従って、
(09)(10)により、
(11)
((P→Q)→P)→P である所の、「パースの法則」は、
「E.J.レモンの、自然演繹の規則(ゲンツェンの自然演繹に由来する)によって、「証明」出来る。
従って、
(01)(11)により、
(12)
((P→Q)→P)→P である所の、「パースの法則」は、「演繹定理」だけでは導くことができない(ウィキペディア)。」
とは言ふものの、「パースの法則」は、「ゲンツェンの自然演繹」だけで、導くことができる。
従って、
(01)(02)(12)により、
(13)
「パースの法則は直観論理や中間命題論理では成立しない(ウィキペディア)。」
とは言ふものの、
1 (1) (P→Q)→P A
2 (2) ~P∨Q A
2 (3) P→Q 2含意の定義
12 (4) P 13MPP
1 (5) (~P∨Q)→P 24CP
1 (6)~(~P∨Q)∨P 2含意の定義
7 (7)~(~P∨Q) A
7 (8) P&~Q 7ド・モルガンの法則
7 (9) P 8&E
ア(ア) P A
1 (イ) P 679アア∨E
(ウ)((P→Q)→P)→P 1イCP
といふ「証明」からすれば、「パースの法則」は、「ごく普通の、恒真式(トートロジー)の一つ」に、過ぎない。
(01)
すべての正の整数が奇数ではなく、またすべての数が偶数でもない。この場合には、自然な試みを差しとめるのは「UIに対する制限」である。
1 (1)∀x(Fx∨Gx) A
1 (2) Fa∨Ga 1UE
3(3) Fa A
Fa∨Ga を(1)から結論し、そして第1の選言項Faを(3)の行に仮定する。しかし(3)は「a」を含む故、ここで、「UIに対する制限」が、∀x(Fx)を結論とすることをさしとめる。
(E.J.レモン 著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、156頁改)
従って、
(01)により、
(02)
次の「計算」は、「UIに対する制限」を満たしてゐないが故に、「マチガイ」である。
1 (1)∀x(Fx∨Gx) A
1 (2) Fa∨Ga 1UE
3 (3) Fa A
3 (4)∀x(Fx) 3UI(はマチガイである。)
3 (5)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 4∨I
6(6) Ga A
6(7) ∀x(Gx) 6UI(はマチガイである。)
6(8)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 7∨I
1 (9)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 23568∨E(はマチガイである。)
然るに、
(03)
次の「計算」は、「UI」自体が無いため、「正しい」。
1 (1)∀x(Fx∨Gx) A
1 (2) Fa∨Ga 1UE
3 (3) Fa A
3 (4)∃x(Fx) 3EI(は正しい。)
3 (5)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 4∨I
6(6) Ga A
6(7) ∃x(Gx) 6EI
6(8)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 7∨I(は正しい。)
1 (9)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 23568∨E(は正しい。)
従って、
(03)により、
(04)
① ∀x(Fx∨Gx)
② ∃x(Fx)∨∃x(Gx)
に於いて、少なくとも、
① ならば、② である。
然るに、
(05)
(ⅱ)
1 (1)∃x(Fx)∨∃x(Gx) A
2 (2)∃x(Fx) A
3 (3) Fa A
3 (4) Fa∨Ga 3∨I
3 (5)∃x(Fx∨Gx) 4EI
2 (6)∃x(Fx∨Gx) 235EE
7 (7) ∃x(Gx) A
8(8) Ga A
8(9) Fa∨Ga 8∨I
8(ア) ∃x(Fx∨Gx) 9EI
7 (イ) ∃x(Fx∨Gx) 78アEE
1 (ウ)∃x(Fx∨Gx) 1267イ∨E
(ⅲ)
1 (1)∃x(Fx∨Gx) A
2 (2) Fa∨Ga A
3 (3) Fa A
3 (4)∃x(Fx) 3EI
3 (5)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 4∨I
6 (6) Ga A
6 (7) ∃x(Gx) 6EI
6 (8)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 7∨I
2 (9)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 23568∨E
1 (ア)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 129EE
従って、
(05)により、
(06)
② ∃x(Fx)∨∃x(Gx)
③ ∃x(Fx∨Gx)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
① ∀x(Fx∨Gx)
② ∃x(Fx)∨∃x(Gx)
③ ∃x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② であって、
② は、 ③ に等しい。
が故に、
① ならば、③ である。
従って、
(07)により、
(08)
「番号」を付け直すと、
① ∀x(Fx∨Gx)
② ∃x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(09)
(ⅰ)
1 (1)∀x(Fx∨Gx) A
1 (2) Fa∨Ga 1UE
1 (3)∃x(Fx∨Gx) 2EI
といふ「計算」は「正しく」、
(ⅱ)
1 (1)∃x(Fx∨Gx) A
2(2) Fa∨Ga A
2(3)∀x(Fx∨Gx) 2UI(はマチガイである。)
1 (4)∀x(Fx∨Gx) 123EE(はマチガイである。)
といふ「計算」は、「UIに対する制限」に対する「違反」であるため、「マチガイ」である。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① ∀x(Fx∨Gx)
② ∃x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① である、ではない。
(11)
例へば、
① ∀x(Fx∨Gx)≡すべての自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
② ∃x(Fx∨Gx)≡ ある自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(12)
例へば、
②「2」といふ、「一つの自然数」が「偶数」である。
ならば、それだけで、
② ∃x(Fx∨Gx)≡ ある自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
といふ「命題」は、「真(本当)」である。
然るに、
(13)
①「2」以外にも、「無数の自然数」が存在する。
が故に、
②「2」といふ、「一つの自然数」が「偶数」である。
としても、
① ∀x(Fx∨Gx)≡すべての自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
といふ「命題」は、「真(本当)」には、ならない。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
例へば、
① ∀x(Fx∨Gx)≡すべての自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
② ∃x(Fx∨Gx)≡ ある自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① である。ではない。
従って、
(10)(14)により、
(15)
「結論」として、
① ∀x(Fx∨Gx)
② ∃x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① である、ではない。
(16)
(ⅰ){∀x(Fx)→Fa}→∃x(Fx)
(ⅱ) Fa →∃x(Fx)
(ⅲ) ∃x(Fx)→Fa
(ⅳ){∃x(Fx)→Fa}→∀x(Fx)
(ⅴ) Fa →∀x(Fx)
に於いて、
(ⅰ)は「正しい」。
(ⅱ)は「正しい」。
(ⅲ)は「正しくはない」。
(ⅳ)は「正しくはない」。
(ⅴ)は「正しくはない」。
(17)
「UIに対する制限」といふのは、
(ⅳ){∃x(Fx)→Fa}→∀x(Fx)
(ⅴ) Fa →∀x(Fx)
は、両方とも、「正しくない」にも拘らず、
(ⅳ){∃x(Fx)→Fa}→∀x(Fx)
(ⅴ) Fa →∀x(Fx)
を、「正しい」と、することをいふ。
ただし、
(18)
(ⅲ) ∃x(Fx)→Fa
については、「説明」を、必要とする。
cf.
代表的選言項(typical disjunct)