(01)
① 弟子必不レ如レ師=
① 弟子必不〔如(師)〕⇒
① 弟子必〔(師)如〕不=
① 弟子は必ず〔(師に)如か〕不=
① 弟子は必ず、師に及ばない。
(02)
② 弟子不二必不一レ如レ師=
② 弟子不[必不〔如(師)〕]⇒
② 弟子[必〔(師)如〕不]不=
② 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕不んば]あら不=
② 弟子は必ずしも、師に及ばない。といふわけではない。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 弟子必不レ如レ師。
② 弟子不二必不一レ如レ師。
に於いて、
②は、「①の否定」である。
然るに、
(04)
① 弟子は必ず、師に及ばない。
であれば、
① ∀x∀y(弟子xy&師匠yx→~及xy)≡
① すべてのxとすべてのyについて(xがyの弟子であって、yがxの師匠であるならば、xはyに及ばない)。
といふ「述語論理式」に、相当する。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
② 弟子は必ずしも、師に及ばない。といふわけではない。
であれば、
② ~∀x∀y(弟子xy&師匠yx→~及xy)
といふ「述語論理式」に、相当する。
然るに、
(06)
(ⅱ)
1 (1)~∀x∀y(弟子xy&師匠yx→~及xy) A
1 (2)∃x~∀y(弟子xy&師匠yx→~及xy) 1量化子の関係
1 (3)∃x∃y~(弟子xy&師匠yx→~及xy) 2量化子の関係
4 (4) ∃y~(弟子ay&師匠ya→~及ay) A
5(5) ~(弟子ab&師匠ba→~及ab) A
5(6) ~{~(弟子ab&師匠ba)∨~及ab) 5含意の定義
5(7) (弟子ab&師匠ba)& 及ab 6ド・モルガンの法則
5(8) (弟子ab&師匠ba&及ab) 7結合法則
5(9) ∃y(弟子ay&師匠ya&及ay) 8EI
4 (ア) ∃y(弟子ay&師匠ya&及ay) 459EE
4 (イ) ∃x∃y(弟子xy&師匠yx&及xy) アEI
1 (ウ) ∃x∃y(弟子xy&師匠yx&及xy) 14イEE
(ⅲ)
1 (1) ∃x∃y(弟子xy&師匠yx&及xy) A
2 (2) ∃y(弟子ay&師匠ya&及ay) A
3(3) (弟子ab&師匠ba&及ab) A
3(4) (弟子ab&師匠ba)& 及ab 3結合法則
3(5) ~{~(弟子ab&師匠ba)∨~及ab) 4ド・モルガンの法則
3(6) ~(弟子ab&師匠ba→~及ab) 5含意の定義
3(7) ∃y~(弟子ay&師匠ya→~及ay) 6EI
2 (8) ∃y~(弟子ay&師匠ya→~及ay) 237EE
2 (9)∃x∃y~(弟子xy&師匠yx→~及xy) 8EI
1 (ア)∃x∃y~(弟子xy&師匠yx→~及xy) 129EE
1 (イ)∃x~∀y(弟子xy&師匠yx→~及xy) ア量化子の関係
1 (ウ)~∀x∀y(弟子xy&師匠yx→~及xy) イ量化子の関係
従って、
(06)により、
(07)
② ~∀x∀y(弟子xy&師匠yx→~及xy)
③ ∃x∃y(弟子xy&師匠yx& 及xy)
に於いて、すなはち、
② すべてのxとすべてのyについて(xがyの弟子であって、yがxの師匠であるならば、xはyに及ばない)といふわけではない。
③ あるxとあるyについて(xはyの弟子であって、yはxの師匠であっ、 xはyに及んでゐる)。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(08)
③ ∃x∃y(弟子xy&師匠yx&及xy)≡
③ あるxとあるyについて(xはyの弟子であって、yはxの師匠であって、xはyに及んでゐる)。
といふことは、
③ ある弟子は、師匠よりも優れてゐる。⇔
③ ある師匠は、弟子に及ばない。
といふ「意味」である。
cf.
孔子は郯子・萇弘・師襄・老耼・を師としたが、郯子の仲間は、その徳のすぐれていること、孔子には及ばなかった。
(明治書院、新釈漢文大系 70、1926年、88頁)
従って、
(01)~(08)により、
(09)
① 弟子不二必不一レ如レ師。
② 弟子は必ずしも、師に及ばない。といふわけではない。
③ A disciple is not always inferior to his master.
④ ~∀x∀y(弟子xy&師匠yx→~及xy)
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(10)
「論理」は、「すべての人類」にとって、「共通」である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
「初めに(エン アルケー)」、
④ ~∀x∀y(弟子xy&師匠yx→~及xy)
といふ「論理(ロゴス)」が有って、その「翻訳」として、
① 弟子不二必不一レ如レ師。
② 弟子は必ずしも、師に及ばない。といふわけではない。
③ A disciple is not always inferior to his master.
といふ「諸言語」が有るのかも知れない。
と、思ったりするのであるが、果たして、「本当に、さうなのだらうか?」。
(01)
3 つぎの定理を証明せよ。
(a)├ ∀y(∀xFx→Fy)
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、203頁)
(02)
― 私による「解答」―
1 (1) Fα A
(2) Fα→Fα 11CP
3(3) ∀xFx A
3(4) Fα 3UE
3(5) Fα 24MPP
(6) ∀xFx→Fα 35CP
(7)∀y(∀xFx→Fy) 6UI
従って、
(01)(02)により、
(03)
(a)├ ∀y(∀xFx→Fy)
といふ「連式」は、「定理(トートロジー)」である。
然るに、
(04)
{α、β、γ}が{変域(ドメイン)」である場合、
(a)├ ∀y(∀xFx→Fy)
といふ「連式」は、
① (Fα∨Fβ∨Fγ)→Fy
② ~(Fα∨Fβ∨Fγ)∨Fy
③ (~Fα&~Fβ&~Fγ)∨Fy
④{(~Fα&~Fβ&~Fγ)∨Fα}&{(~Fα&~Fβ&~Fγ)∨Fβ}&{(~Fα&~Fβ&~Fγ)∨Fγ}
といふ「形」に、「展開」できる。
然るに、
(05)
④{(~Fα&~Fβ&~Fγ)∨Fα}&{(~Fα&~Fβ&~Fγ)∨Fβ}&{(~Fα&~Fβ&~Fγ)∨Fγ}
といふ「それ」は、
⑤ &E(連言除去)
⑥ &E(連言除去)
⑦ ∨E(選言除去)
⑧ 含意の定義(Df.→)
⑨ &I(連言導入)
により、
⑩{Fα→Fα}&{Fβ→Fβ}&{Fγ→Fγ}
といふ「型」に、「書き換へ」ことが出来る。
然るに、
(06)
⑩{Fα→Fα}&{Fβ→Fβ}&{Fγ→Fγ}
といふ「式」は、
⑩{αがFであるならば、αはFであり}&{βがFであるならば、βはFであり}&{γがFであるならば、γはFである}。
といふ「意味」である。
然るに、
(07)
{α、β、γ}が{変域(ドメイン)」である場合、
⑩{Fα→Fα}&{Fβ→Fβ}&{Fγ→Fγ}≡
⑩{αがFであるならば、αはFであり}&{βがFであるならば、βはFであり}&{γがFであるならば、γはFである}。
といふことは、
⑩ ∀x(Fx→Fx)≡すべてのxについて(xがFであるならば、xはFである)。
といふことに、他ならない。
(08)
「E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、203頁」でいふ所の『定理(theorem)』とは『恒真式(トートロジー)』に他ならない。
然るに、
(09)
⑩ ∀x(Fx→Fx)≡すべてのxについて(xがFであるならば、xはFである)。
といふ「同一律」は、『恒真式(トートロジー)』である。
従って、
(01)~(09)により、
(10)
1 (1) Fα A
(2) Fα→Fα 11CP
3(3) ∀xFx A
3(4) Fα 3UE
3(5) Fα 24MPP
(6) ∀xFx→Fα 35CP
(7)∀y(∀xFx→Fy) 6UI
といふ「計算」、並びに、
① (Fα∨Fβ∨Fγ)→Fy
② ~(Fα∨Fβ∨Fγ)∨Fy
③ (~Fα&~Fβ&~Fγ)∨Fy
④{(~Fα&~Fβ&~Fγ)∨Fα}&{(~Fα&~Fβ&~Fγ)∨Fβ}&{(~Fα&~Fβ&~Fγ)∨Fγ}
といふ「それ」により、
(a)├ ∀y(∀xFx→Fy)
といふ「連式」は、『定理(恒真式)』である。