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今回は「うちなぁぐち(おきなわ語)」と「うちなぁやまとぅぐち(おきなわ日本語)」の違いついて書きたいと思います。その違いをわかりやすく表にしてみました。
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これを見て驚かれた方もいらっしゃると思いますが、「おじぃ」、「おばぁ」はうちなぁぐちではないんです。「おじぃ」、「おばぁ」と言う言葉は戦前、昭和期に入ってから流行り始めたようです。また、「にーにー」、「ねーねー」と言う言葉はどうやら戦後から使われているようです。いずれにせよ「おじぃ、おばぁ、にーにー、ねーねー」などは、日本語が混じった言葉で、日本語でもないし、おきなわ語でもない言葉で、「うちなぁやまとぅぐち(おきなわ日本語)」と呼ばれるものです。
戦後日本で、「パパ」、「ママ」という言葉が流行ったことと同じようなことだと考えて下さい。「おじぃ、おばぁ」は日本語を借用して流行っている言葉、「パパ、ママ」は英語を借用して流行っている言葉という共通点があります。
あるサイトの調査では、61パーセントの方が「パパ、ママ」と呼ばせていて、「お父さん、お母さん」と呼ばせる家庭は27パーセントとありました。現在では圧倒的に「パパ、ママ」と言う呼び方が日本の家庭では一般的になっているようです。
しかし、だからと言って、日本語の教科書や辞書、また日本語を外国人に教える時に「Father」を「パパ」、「Mother」を「ママ」とは訳さないし、また、教えないでしょう。やはり「Father」は「父、お父さん」、「Mother」は「母、お母さん」でしょう。「パパ、ママ」とは俗的なもので、本来の日本語ではないのです。これとまったく同じで、「おじぃ、おばぁ」は俗的に呼ばれていて、本来は上の表にあるように、「おじいさん」を「たんめー(士族)、うすめー(平民)」と呼び、「おばあさん」は「ぅんめー(士族)はーめー(平民)」と呼びます。「おじぃ、おばぁ」は言語的に分類すると「うちなぁやまとぅぐち」と言えるんですね。
二つの言葉を比べてみると、「うちなぁぐち」には敬語があり、「うちなぁやまとぅぐち」にはほとんど敬語がないと言え、それが二つの言葉の大きな違いだといえるんです。
その証拠に表5番の言葉「だからよー」を例にあげてみましょう。これは敬語に直せません。強いて言えば「だからよーですよね」と語尾に「ですよね」という日本語をくっつけることしか出来ないのです。ただ、「だからよーですよね」とはまず言わないのですが。
その「だからよー」をうちなぁぐちに直すと「やくとぅよー」と言います。「やくとぅよー」は、友達や年下に使う言葉ですが、それをうちなぁぐちならば、いくらでも敬語に直すことが出来ます。まあ普通の敬語ならば「やいびんやー」で良いのですが、もう少し丁寧に言うのならば「あん、やみしぇーびんやー」と言えます。同じく他の言葉も「うちなぁやまとぅぐち」は敬語に直せず、うちなぁぐちはすべて敬語に直せます。
わかっていただけましたでしょうか?「うちなぁぐち」は言語なので、丁寧語、謙譲語、敬語など、すべて存在します。しかし、「うちなぁやまとぅぐち」には、それらはほとんどありません。
「うちなぁぐち」は学校、県庁、市町村役場、テレビのニュース、県や市町村議会、警察、裁判所、国や県や市町村の機関などの公的機関では話すことは出来、また教育をすることも可能ですが、「うちなぁやまとぅぐち」をこれらの機関で使用するというのは、まず、ありえないと言えると思います。
少し学問的なことも書いておきますが、「うちなぁやまとぅぐち」は言語学では「ミクストランゲージ(Mixed Language)」と分類されるようです。言語学で「ミクストランゲージ」とは「スラング(俗語)」と同じような言葉だと定義されていているようです。それをもう少しくだけて言うと「タメぐち」のようなものだと思って下さい。仲間うちで使う、仲間だけしか知らない言葉のようなものです。それは、目上の人や学校の先生などには使えないし、ましてや、「だったばー」とか「違うやしー」と言う言葉を、学校の教科書に載せて子供たちに教えたいと思うでしょうか?
うちなぁやまとぅぐちは、ほとんどタメぐちなので、同級生同士で話をしていると、とても楽しいでしょうが、それを学校の先生、また、会社に就職し、そこの社長さんへ、また怖い上司へ使うなどと言うのはありえないんですね。
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※写真について
私の担当しているラジオ沖縄の番組「民謡の花束・光龍ぬピリンパラン日曜日」ですが、土曜日も民謡の花束はやっていて、そのパーソナリティーの「当銘由亮・新垣小百合」のコンビとスペシャルということで私は土曜日にゲスト出演し、二人は日曜日にゲスト出演してもらいました。ゆんたくが大盛り上がりで、私が演出、脚本をした「仲島ぬ吉屋」という題の短い芝居を、写真のメンバー5人で日曜日の3時の時報とともに20分ほどやりました。皆、芝居のプロなので、初めてとは思えないほど、とても素晴らしい出来でした。リスナーからの反響が良かったです。1枚目の写真の前列右が「新垣小百合」左が「藤田佳子」後列右が「高宮城実人」後列中央が「当銘由亮」で後列左が私。2枚目、3枚目の写真はちょうどそのお芝居を生放送で演じている所、皆、真剣です、はい。
text:比嘉光龍
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オジーとオバーが
うちなぁやまとぅぐち
だったとはビックリです...。
うちなぁぐちだけを
使いたいとこだわっている
僕には非常に勉強になりました。
にふぇーでーびる!
また、陽光さん、そうですね、スペースの都合上、書くことができませんでした。那覇では「はんしー」のほか「ぱーぱー」とも呼ぶこともあります。また、島尻方面では百姓のおじいさんは「うすめー」のほか、なぜか士族のおばあさんの呼び方「ぅんめー」をそのまま使い「おじいさん」と呼んでいます。なぜだか知りませんが。
また、陽光さん「わんぬたーりー」という言い方はしません。「わったーたーりー」と言います。
比嘉光龍(ふぃじゃ ばいろん)
>「わんぬたーりー」という言い方はしません。「わったーたーりー」と言います
うわーーお恥ずかしいです。。
懲りずに琉球語で書きこむこともあると思います…
自分が知らないからって「聞いたことない」などと乱暴な言い方して申し訳ありませんでした。これからも記事楽しみにしてます